誤植の話(3)「ミステリー! 1行なくなる話」 by ひと目でわかる六法入門さん @ichimoku_roppou

現在の電算写植(要はパソコン入力)以前の、版下へ貼り付ける方式時代のおはなし。 大変な作業だったんですね。
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ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

おはようございます!「ひと目でわかる六法入門」です。きょうも誤植のお話をしたいと思います。

2014-07-28 07:59:26
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

題しましてミステリー!1行なくなる話

2014-07-28 07:59:41
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

現在、六法の組版(原稿データをページに組む仕事)は、電算写植という方法で行われています。みなさんがワープロを使うのと全く同じ方法です。

2014-07-28 08:00:03
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

ワープロの画面に、別に作った文章のデータを流し込むとどんどんページが増えていきますね、それと同じことができるわけです。

2014-07-28 08:00:49
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

改訂版の作業を始めるときは、昨年のデータに、新しく収録する新法令や、改正法のデータを入れていけばよいわけです。

2014-07-28 08:02:01
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

ちょっと出かけなくてはならなくなりました。続きはのちほど。

2014-07-28 08:59:22
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

最近、六法の編集者の方から聞いた話ですが、電算写植時代になり、携わる人たちが努力を重ねた結果、誤植はものすごく減っているそうです。

2014-07-28 21:57:14
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

数を聞きましたが、私がやっていた電算写植前の技術でやっていた時代の半分以下。「間違いのない六法はない」と先日申し上げました、「しかし、誤植はゼロに近づいている」と言っていいと思います。

2014-07-28 21:57:54
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

私が六法編集者をやっていた時代、既に電算写植は使われていましたが、私が担当する六法はコストダウンを目的に古くからの原始的な方法で制作していました。

2014-07-28 21:58:42
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

どういう技術かって?「版下」という、六法のページと同じものを印刷し、台紙に貼り付けることで手作りしてページを作るのです。

2014-07-28 22:00:25
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

この作業は、毎年戦場でした。全部新しく作り直すのではなく、前年の版下を出してきて、法改正や新設の部分に手を加えていくのです。

2014-07-28 22:01:37
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

法改正は頻繁にあり、そのたびに条文の文字数は必ず増減します。まず、官報と首っ引きで改正された条文を作り、六法の一段の文字数と行間に合わせて印刷したパーツを作って、昨年の版下に貼り付けてある改正前の部分をはがして切り抜きはめ込むのです。

2014-07-28 22:03:12
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

改正前と改正後が同じ行数になるならば、くり抜いてそこにはめこめば仕事がすみますが、そんな甘いことはありません。たいていは行が増えてしまいます

2014-07-28 22:04:14
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

そうすると、行が増えた分、改正に関係なかった分の行を順番に送っていく必要がありますね。1行増えたとしましょう。すると、その段の一番最後の行が余って1行はみだしますどうしたらいいのでしょうか。

2014-07-28 22:05:52
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

六法編集者は、その余った1行分をカッターナイフで切り取って次の段の頭に持ってくるのです。次の段を1行分ずらします。

2014-07-28 22:07:02
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

すると当然、その段の最終行が1行余ります。その1行分をカッターナイフで切って、さらに次の段の頭に貼り付けます。当然、その段の最終行が1行余るので、その1行分をカッターナイフで切って、次の段の頭に貼り付けます。これを延々と繰り返していくのです。

2014-07-28 22:08:02
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

のうち、また改正の部分が増えてきて、行が3行、4行と余っていきます。それを次の段の冒頭に貼り付けて……。

2014-07-28 22:09:00
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

この、賽の河原みたいな作業が終わるのはいつなのでしょう?その法律の収録が終わって、余白ができるところまで続けなければならないのです。

2014-07-28 22:10:12
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

かつては、大型六法も全部そういう方法でやっていました。だんだん作業に疲れてきて、途中で切り取った1行をうっかりなくしてしまい、しかしそのことに気づかなければ、突如1行が欠落した六法ができあがります。

2014-07-28 22:11:43
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

他社さんでも同様の事故が起きた、という話を聞いたことがあります。自動で行が送られていく現在では、こんな事故は絶滅しています。

2014-07-28 22:12:53
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

私にとって六法編集者時代の8月は、カッターナイフと、版下を剥がすヘラとの格闘でした。おしまい。

2014-07-28 22:14:08
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

フォロワーの方が100人に達しました。嬉しい!ありがとうございます!これからもくだらなくて少しだけ役に立つ情報の発信に努めます!

2014-07-29 23:47:53