- hurutaka_CA
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「な、深海棲艦か・・・?」 「はわわ、今の武装じゃまともに戦えませーん!」 「・・・偵察機を飛ばしすぎたかしら・・・交戦になる前に海域から出ましょう」 言って艦隊が反転する。 「瑞雲隊、敵艦の数を」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:27:39『―――敵艦数・・・6 巡洋艦隊と推測・・・』 瑞雲の報告を受けながら扶桑がゆっくりと艦隊に続く。 「ありがとうございます、直ぐにこちらに・・・」 『・・・え? なんで・・・? これは・・・』 「・・・? どうしました?」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:30:03普段からは想像できない瑞雲隊の動揺に、扶桑が思わず立ち止まる。 気付いた艦隊も思わず立ち止まった。 「扶桑殿? 何か・・・?」 「・・・瑞雲隊が・・・」 『・・・敵深海棲艦・・・信号・・・ 駆逐ロ級 2隻 駆逐ハ級 2隻 軽巡ヘ級 1隻 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:33:29「え? なんです?」 最後の部分でノイズが走り、扶桑が聞き返す。 『敵旗艦―――ザ・・・ザザ――― ザ―重―――カ』 「え・・・?」 確かに聞いた。 だからこそ聞き返した。 『―――敵艦隊重巡級 信号――― ――重巡 古鷹』 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:36:50「気分ハドウ・・・カナ?」 少女が声に振り返った。 黒い艤装の少女。 その左目は見えないのか、片目だけ閉じられている。 少女は自信の掌を見、握り―――開いた。 そして何も告げぬまま背を向ける。 「イイダロウ、出撃ダ」 低い声が響く。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 19:59:54―――『交戦』 「どういうこと! 敵艦隊に古鷹さんがいるって・・・!」 海域に扶桑の声が響いた。 それを聞いた艦隊達にも戦慄が走る。 「扶桑殿! どういうことじゃ! 古鷹殿が囚われておるのか?!」 利根の問いに、扶桑が首を振る。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:02:38「・・・わかりません。 ですが・・・この様子では・・・」 これに利根は挙げかけた手を下ろし・・・。 「―――っ」 再び上げた。 そう、主砲を握り締めて。 「姉さん」 筑摩もまた、それに倣う。 「・・・止めてくれるなよ、扶桑殿」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:04:40しばしの沈黙の後、 「指揮は、お任せ致します」 扶桑もまた頷いた。 「睦月、燃えてきたかも!」 「潜水艦隊は雷撃戦に備えるのじゃ。 敵艦に水雷戦隊が多い、気をつけるんじゃぞ」 「了解!」 「はーい!」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:08:01「陣形! 複縦陣! 止まるでないぞ! 一気に駆け抜けよ!」 同時に一瞬で海域の空気が変わる。 ピリピリとした風が流れた。 『前方! 発砲炎!』 「砲撃! 来ます!」 瑞雲からの伝達に扶桑が反応する。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:13:09「そうそう先手はやれんて・・・ 潜水艦隊! 今じゃ!」 利根の号令。 同時にギラリと何かが水面下で輝いた。 刹那、利根たちのすぐ真横に水柱が上がる。 「ひぇぇ!」 「っく、睦月さん、大丈夫?」 「はい、被弾はありませんー」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:15:38また、同時に敵艦隊側でも大きく水柱が上がった。 『敵艦被弾! 駆逐艦二隻の損傷を確認!』 「お見事じゃ」 「どう? うまくいった?」 「ぷはー! ごーやの魚雷はお利口さんなのでち」 浮上した潜水艦二人がぶサインを見せる。 利根が大きく頷いた。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:18:11「全艦全速全身! 敵艦隊に立て直す猶予を与えるでないぞ!」 「睦月の出番なのねー! しゅばー!」 敵艦隊の砲撃をかいくぐり、一気に睦月が距離を積める。 「見つけた。 姉さん!」 「うむ!」 睦月に続き利根が速度を上げる。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:21:22ゴウッという風を凪ぐ音と同時に、艦隊同士がすれ違う。 艤装の隙間から、僅かに見えるそれ。 左目を閉じた黒い艤装の重巡 「・・・」 やはりあれはどうみても・・・。 「―――姉さん! 危ない!」 筑摩の声にハッとなる。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:25:17が、遅かった。 一瞬で利根の視界が黒く染まる。 「な、なんじゃ・・・!」 叫ぶが直後に理解する。 黒い重巡がすれ違い様に利根を捉えたのだ。 「距離を・・・詰め過ぎた?!」 「利根さん!」 「姉さん・・・!」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:28:01慌てて扶桑と筑摩が援護に向かおうとするが、直後に海面が爆発する。 敵軽巡が扶桑達の足を止めていた。 「っく! 睦月さん!」 「ダメなのね! 間に合わない!」 最先頭を先行していた睦月が叫ぶ。 「・・・潜水艦隊も距離が遠い!」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:30:24艤装を引っ掛けられた利根が、背中から海面に叩きつけられる。 グッと息をつまらせるが、利根は目を細めながらソレを見る。 「・・・囚われの姫君という感じじゃ・・・ないの」 苦し紛れに軽口が出た。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-10-05 20:32:44―――そして 「・・・姉さん!」 重い音が響くと同時に、利根に突きつけられた主砲が火を噴いた。 ―――『交戦』 了 #ミッドウェーに消えた古鷹
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