- hurutaka_CA
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「・・・だから、古鷹は『兵器であることを選んだ』」 「それは私達だって・・・!」 思わず青葉が叫ぶ。 加古は頷くことでこれを制した。 「そう、勿論あたし達だって一緒だよ。 ただ古鷹の場合『今でもそれは変わらない』んだよ」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-28 16:29:11「・・・正直言って、あたしは戦ってるときの古鷹はちょっと怖いよ。 戦果のためなら、こんなにも無情になれるんだって・・・」 言って、加古は腰を上げた。 「まぁ、だからってわけじゃないけどさ、古鷹は何があっても任務を遂行するはずなのさ」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-28 16:35:37「・・・そう、わかった」 応え、衣笠が腰を上げる。 「加古がそういうのなら、きっとそうなんだろうね。 うん、私も古鷹を信じて待つよ」 言う衣笠に、青葉も小さく頷いた。 「にっへへ、らしくないこと言っちゃったから疲れたよ」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-28 16:39:05―――執務室 「あら、利根さん。 加古さんのところに行ってたんじゃ?」 執務室へ戻ってきた利根を見、扶桑が言う。 言われ利根は小さく首を振った。 「・・・今は伝える雰囲気じゃなかった」 「・・・そうですか」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-28 16:42:03先ほど妖精さんから当時の戦況が説明された。 結論から言えば、交戦は確かにあった。 あったのだが、それは余りにも一方的なものだった。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-28 16:43:36妖精さんが語ったのはここまで。 その後古鷹がどうなったのかはわからない。 わからない、が・・・。 余りにも状況は絶望的過ぎた。 「・・・潜水艦隊の子達にも、声をかけてきます」 言って扶桑が腰を上げる。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-28 16:47:39「・・・その方が良さそうね」 脇で聞いていた伊勢が壁に背を預けたまま応えた。 「伊勢殿・・・古鷹殿の連装砲、我輩に預けてはくれんか?」 「・・・良いけど、どうするの?」 「・・・戒め、かの」 言う利根は、じっと海を睨み付けていた。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-28 16:52:25―――【兵器のプライド】 了 次回の部隊を編成します。 今回部隊編成の募集予定でしたが、前回抽選からもれてしまった方だけで今回の編成分が埋まってしまった為、今回の編成は見送りとさせて頂きます。 ご了承下さい。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-28 16:54:35「艦隊が出撃していくか」 窓の外に目線だけやりながら、戦艦武蔵が呟いた。 「そのようですね・・・」 同じく横で大和が応える。 そんな大和を見、武蔵は小さく息を吐いた。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 20:36:23「・・・大和よ。 待ち時間は余りやれぬな」 言って、武蔵がこつこつと指を打つ。 先には将棋盤があった。 「え、あぁ・・・ごめんなさい」 「不服か? 此度の編成が」 声だけで武蔵が問う。 再び大和の手が止まるのがわかった。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 20:39:14「仕方がありませんよ。 あの空襲を考えれば昨日の今日。 いつ同じことがあっても不思議ではありませんから」 しかしすぐにその手を動かし始めた。 「・・・まぁ、そうだな」 「何か含みがありますね?」 言われ、今度は武蔵がその手を止めた。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 20:41:54「・・・大和よ。 戦果とはなんだろうな」 息を吐くように、武蔵の口からこぼれた言葉。 「敵艦を倒すことでしか自己を示せなかった我々だ。 ならば敵艦がいなければ、我々はどうしたらいい」 「―――っ 戦う以外にだって方法は・・・!」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 20:44:35「そうだ、その通りだよ。 だが事実、我々はこうして待機命令の元、暇を持て余している」 反論しようとし、大和が口を噤んだ。 代わりに・・・ 「武蔵は、古鷹を助けたくは無いんですか?」 直後―――大和と武蔵の前に甲高い音が響く。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 20:48:27. 武蔵が駒を打った音だ。 「・・・そう、見えるか?」 唖然とした大和であったが、やがて小さく首を振った。 「こうして待機命令に従っている以上、何を言われても一緒だ。 だが不測の事態に備えるのもまた、嘘じゃない」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 20:50:12「・・・ですが、この大事なときに何も出来ないのはやはり・・・悔しいですね」 「古鷹を信じるしかあるまい」 小さく大和が頷いた。 「重巡古鷹・・・彼女は、そう・・・武蔵、あなたに似ていましたね」 「・・・そうか? 気にしたこと無いが」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 20:54:45「強く、気高く―――誰よりも危うい存在」 言う大和に、武蔵は何も応えなかった。 代わりに静かに武蔵の手元が動く。 「大和よ」 「・・・はい?」 「王手だ」 「え”」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 20:56:39―――【邂逅】 「瑞雲隊! 何よりも索敵を優先して!」 「別働隊との連絡は怠るなよ! 常に連絡が取れる状態にしておくのだ!」 打って変わって晴れ渡る海域に指示が飛び交う。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 20:59:37「扶桑殿、別働隊からだ」 利根から電文を受け取り、扶桑が小さく頷いた。 「やはり、前に妖精さんがいた場所にはもう手がかりらしいものはありませんか」 「そのようじゃな、潜水艦隊の報告を待つ他無いかもしれん」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:01:41「利根姉さん、睦月隊の皆からの報告は?」 合流した筑摩が言う。 利根は頷くとすぐさま電文を飛ばした。 「んー・・・戦果無しですねぇ。 一度そっちと合流していいかにゃあ?」 「そうじゃな。 一度合流して潜水艦隊からの報告を待とう」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:04:22「・・・嵐の時と比べれば、倍以上広い範囲で艦載機を飛ばしている筈ですが・・・」 着艦した瑞雲を見ながら、扶桑が呟いた。 「不気味と言うほかありませんね・・・」 筑摩もまた、同じ感想を漏らした。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:07:59「おお? 168さんたちが戻ってきたかにゃ?」 不意に、睦月が声をあげる。 ハッと顔を上げた扶桑達が期待の混ざった目線を送った。 「伊号潜水艦伊168、伊58戻りましたー」 「やっぱりここの海は苦手でち・・・」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:13:28「おかえりなさい、お二人とも」 「・・・早速で悪いが、どうじゃった?」 問う利根に、168と58が目を合わせた。 そして、静かに首を横に振った。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:16:44「おかしい・・・うん。 私もそう思うわ・・・でも・・・」 「・・・何度潜っても一緒なんだよね」 利根と扶桑が顔を見合わせた。 「こんなことって・・・あるのかしら」 その後ろ、筑摩もまた小さく呟く。 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:19:43「・・・どうします? もう少し探索するのかな?」 言う睦月に扶桑が首をひねった。 「一先ず今偵察に向かっている瑞雲隊が戻ったところで区切りを入れましょうか」 「・・・そうじゃな。 一度母港に戻って編成を見直すのも手か」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:22:02「・・・そういうわけで、現在偵察に向かっている瑞雲隊へ、全機帰投を―――」 言いかけ、扶桑の表情が変わる。 「・・・? 扶桑さん、どうかなさいましたか?」 気付いた筑摩が声をかける。 「・・・瑞雲隊より入電、左弦に敵影多数」 #ミッドウェーに消えた古鷹
2014-08-31 21:24:34