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難儀な男に話を振ってしまったと自分は心底後悔したのだがときすでに遅く 友人は自分がしゃべりたいことだけを話すと一方的に通話を切った
2014-09-04 00:10:39それでその次の日の夜にも友人からの電話はあった 「地元の住民に聞き込んだり、役所とか回ったりしてたんだけど、 どうもここらいったいには巨人伝説があるみたいなんだ」 友人は面白そうにそう語った
2014-09-04 00:14:40「昔大陸からとてつもなく巨大な鬼たちが押し寄せてきて悪さをしたらしい それでここの連中は総出でその鬼と戦って沖にある小島に封じ込めたらしい ほらキャンプ場の目の前に島があっただろ、俺があそこで ダイビングしたいなあって言ってたあの島だよ」
2014-09-04 00:15:46「それでその島は今でも地元では鬼が島と言われているそうだ」 そういう島は確かにあった だがその話を受け自分はおやと思った その島の上には確かに人工構造物のようなものが見えたからだ
2014-09-04 00:25:59自分がそのことについて問うと友人は 「確かにそこには人が住んでいたことがあるらしい。だけどそれがまたやばいらしいんだ 詳しいことはまだよくわからないから明日また話す」 と言って再び一方的に通信を切った
2014-09-04 00:27:29翌日の夜またしても友人から連絡が入った 聞くところによれば丸一日かけて町中を聞いて歩いていたと言う 「住民から聞いたんだけどさ、巨人はほんの8年までは生きてたらしいぞ」
2014-09-04 00:29:18「決して昔話上の存在ではなく戦前戦後とちょくちょく目撃例は 報告されていたらしい。このへんは漁民が多いからな、船の上から島で踊る姿が見えていたそうだ それで8年前のがどうやらその最新の事例らしいな」
2014-09-04 00:30:58「直近での報告例はないようだけど、それでも決して死に絶えたというわけではなくて 地元のやつらの話を総合して推測すると、そいつはすでに違う時限に存在することが可能になっていて だからなかなか現実世界の人間に存在を感知されることはないらしい」
2014-09-04 00:33:42「すでにこの世のものではなくなってしまっているらしいんだな。 住人はひたすら『鬼』『鬼』と形容しているが そもそもそいつはもはや鬼ですらなくて、別な存在と化した何かになってるらしいんだわ そしてその事実は彼らも薄々自覚しているらしい」
2014-09-04 00:36:55長く島で暮らすうちにそう変化してしまったのか あるいはもとからそういう異世界の生命体であったものを鬼と呼称していただけなのかはわからないけどな」
2014-09-04 00:40:00「後者が正しいとするなら日本各地に言い伝えのある鬼やその他妖怪と呼ばれる化け物どもの正体も 案外そんなところになるのかもしれないけど」 友人はとうとう基○外のようなことを言い始めた
2014-09-04 00:40:27「鬼といえば異民族がその正体だといわれることも多いけど 大陸から攻めてきたという言い伝えがある以上、そっちのほうが可能性としては高いんじゃないの?」 自分は何とかして思考が異世界へ飛んでしまった友人を諭そうと試みた
2014-09-04 00:44:06「ああ、そういう説もあるようだね なまはげだってその実像は大陸人らしいし だから鬼の「原型」が大陸から流れ着いた異民族で そいつらとの戦いがあの浜や島を舞台に繰り広げられたかもしれないと言うのも あながちありえない話ではないね」
2014-09-04 00:45:29「ただ何にせよ近年にいたるまで、こと8年前まで目撃され続けてきた鬼は その異民族そのものではありえないよ 彼らが現代まで生き延びているわけが無いのだからね」
2014-09-04 00:46:19そもそも目撃されたという鬼自体が、住民たちの幻覚あるいは作り話上の産物ではないかと言う可能性については 友人の中では発想として沸きいずることすらないらしい。 友人はますます得意気に話を進める
2014-09-04 00:50:43「そうだあと昨日お前が言っていた『鬼が島』上の人工構造物だけどさ あれは18年位前にあの島に住み着いた『芸術家』が残したものらしいんだ。 その人は島の一部の土地を購入し、そこで得体の知れないモニュメントを作りつつ一人で暮らしていたらしい」
2014-09-04 00:51:33場所が場所なだけに 住民からいい顔はされなかったそうだがね。どうもその彼らしいんだ。 ここ最近でもっとも多くの回数鬼を見たと主張していたのは。 まあ当の鬼が島に住んでいたわけだからさもありなむだが」
2014-09-04 00:52:14「じゃあ近隣住民などではなくその芸術家とやらに直接話を聞けばいいじゃないか」 と自分が突っ込むと、友人は 「それが無理なんだな、その芸術家は10年位前から所在が知れないらしい」 とだけ返し、その日の友人からの電話はそこで終わった。
2014-09-04 00:55:58