♭7 協奏曲 ♪ NO perfect One gOes (1次予選編前半)

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勇矢の邪悪な笑みに向けて、高校生は拳を叩き込んだ。 「!?」 …筈だった。その腕が止まった。横合いから第三者によって掴まれていた。 「何時の間に?」 近くで見ていたつもりの裕岐も、それ以前に、彼を眼前にしている勇矢も全く気が付かなかった。 48

2014-09-20 03:00:14
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乱入者は勇矢達と同年代に見える少年だった。その整った顔は無表情。腕を掴む手も軽く添えているだけに見える。その実、高校生は巨人に締め上げられるような圧迫を感じていた。右腕以外は自由だというのに、少年や勇矢に攻撃する意思は完全に失せていた。一秒も早くこの場を去りたかった。 49

2014-09-20 03:06:24
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「その辺にしませんか。『チーム・ライジングイースト』の部長さん」 話しかけたのは腕を抑える少年では無い。彼の後ろから来たもう一人、穏やかそうな少年である。 「この借りは来年返しましょう。ここで騒いでも良いことないですよ」 彼が話しかけると同時に、拘束が外された。 50

2014-09-20 03:16:55
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「あ、ああ…おう。『チームガルーダ』!来年覚えとけよっ!」 高校生達は捨てゼリフを残すと席に戻り、すごすごと帰り支度を始めた。説得だけでは大人しく引き下がらなかっただろう。だが、無言のプレッシャーというムチを受けた後のそれはアメに等しかった。逃げ帰る口実にもなった。 51

2014-09-20 03:20:06
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「覚えとけ?うん、それ無理…うぐほっ!?」 勇矢の腹を裕岐の拳が抉る。 「オゴーッ!?」 両膝を床に付く。激痛で蹲る。 「おま…おま…ころっ…すきか…」 殺意に満ちた目で裕岐を睨む。 「うるさい。やり過ぎなんだよ勇…」 見つめ返す裕岐の目は底冷えのする様なものだった。 52

2014-09-20 03:27:32
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「ゴメン。助かったよ」 裕岐は二人に礼を言う。 「良いのかい…浅空君は」 「良いんだよ…あの」 「言わないよ。変装してるんだろう?…でもまあ」 「…手遅れっぽいけど一応頼むよ」 2人の少年は既に勇矢達に気付いていた。それだけならいいが観客の注目も集まりつつあった。53

2014-09-20 03:35:06
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「分かったよ。七橋裕岐君」 「…どうして俺のことまで?」 勇矢や引率者の優祈は既に有名人、星護もゲーム大会で有名であるが、裕岐には自分のことを知られる心当たりが無かった。 「君だって県の弓道大会で優勝したり有名なんだよ?まあ僕が知ったのは浅空君の関係者としてだけどね」 54

2014-09-20 03:42:14
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「そんなもんか?それより…」 「ごめん。そろそろ僕達も準備しないと。良かったら昼を一緒にどうかな?」 「ああ大丈夫だと思うが、皆と相談しとく…えっと」 「自己紹介がまだだったね。僕は観崎智明。彼が源瀬隆光」 紹介された隆光が頷く程度に軽く頭を下げる。 55

2014-09-20 03:45:32
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「知り合いの人の引率で2人で参加してるんだ」 「2人?」 最大20名参加出来るアクトボットでは異常な少なさだ。尤も自分達の3人というのも大概であるし、去年の勇矢の1人という暴挙の前には可愛い物だが。2次以降を捨てていれば少人数も有り得るが、この2人がそうだとは思えなかった。 56

2014-09-20 03:53:59
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「おーい裕岐ぃ」 片手を上げて優祈が寄ってくる。もう片手で勇矢の首根っこを掴み、引き摺るように歩かせている 裕岐が話している間に審判に謝らせに行ったのだ。敵チームの下へは行っていない。勇矢が謝る訳がないので無駄だからだ。 「あ、すいません任せちゃって」57

2014-09-20 03:59:14
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「それじゃあ、また後で」 智明が後ろを向き片手を上げて去っていく。隆光は無言で優祈を見つめていたが、智明に呼びかけられて我に返り、彼に付いて行った。 「ありゃ。礼を言いそびれちまったな」 「大丈夫ですよ。昼食に誘われましたから…行くよな勇」 有無を言わせぬ口調で裕岐が言う。58

2014-09-20 04:05:13
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「えー…」 裕岐が拳を握る。 「行きます」 片手で抑えていた腹を両手で庇い直す。 「子安も良いか?」 「…まあ、こっちの正体が割れちゃってるんなら良いんじゃないかな」 既に周囲も勇矢の存在に気付き始めている。いくら変装しようと注目されれば、ばれる確率は自然と上がるのだ。 59

2014-09-20 04:10:03
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「せっかくだから、向こうのブロックであの2人の試合を見ながら待ってようか?」 星護が提案する。 「え?そりゃ気になるけど、ずっと見てる訳にも…」 「大丈夫だよ。どうせ暇になるから」 「?」 星護の言葉の意味は程なく明らかとなるのだった。 60

2014-09-20 04:15:12
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ミストルティン編 第十八話 「壊縁 ♪ ~ホワイトのショータイム~インディヴィジュアリスツ・エイム~」 ♭7 協奏曲 ♪ NO perfect One gOes 中編(1次予選編)前半 了 後半へ続く 専用タグ #evlst 

2014-09-20 04:20:16