手塚リミテッドはどう宮崎駿によって消化されたか

先のつぶやきhttp://togetter.com/li/720125に噛みつく方がおられたので、粉砕しておきます。
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プチもりみ⋈ @petitmorimi

手塚(アトム)がリミテッドアニメの先駆者と言ってる人は、不勉強過ぎて話にもならない。

2014-09-17 22:45:07
プチもりみ⋈ @petitmorimi

50年代後半〜60年の「おとぎプロ」が作っていたCMなど見ていても、↓同様な紙芝居的なリミテッドアニメーション作品が多い。 リミテッドはアニメーションの手法の1つとして、手塚が始める以前から当たり前に使用されていた。

2014-09-17 23:02:18
It happens sometimes @ElementaryGard

そういう反論が必ずあるので面倒なのですが…手塚のリミテッドはですね、「アニメーションのまんが化」なんですよ。久里とかUPAのあれとはDNAが全然違うのです。@petit_molly

2014-09-18 02:42:18
It happens sometimes @ElementaryGard

これ、よくある反論なのですが、手塚が編み出したのは「まんがのアニメーション化」を「アニメーションのまんが化」と同時に成立させてしまう技。津堅の『アニメ作家としての手塚』はここを見落としています。@petit_molly

2014-09-18 02:46:47
It happens sometimes @ElementaryGard

「アニメーションのまんが化」とは、今でいうコミカライズのことではありません。アニメーション映画を、いわゆるストーリーまんがの文法で構成してしまう技のことです。反例として提示された作品にそれがないことは言うまでもない。@petit_molly

2014-09-18 02:49:06
It happens sometimes @ElementaryGard

宮崎は手塚リミテッド(いいですかリミテッドではなく手塚リミテッドですよ)をしっかり使いこなしています。『ナウシカ』のここなんかそうですね。巨大輸送船が連なって飛んでいます。思い出したかな。 pic.twitter.com/DvJWmSBuyR

2014-09-18 02:55:34
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It happens sometimes @ElementaryGard

ここで輸送船の絵が数枚重なって、それぞれが一定の周期で上下に揺れます。スライド移動です。アニメートはしていない。船の絵が上下に振れる。手抜きです。しかしながら望遠レンズ撮影という実写っぽい設定で、この手抜きは手抜きではなくリアリズムに昇華される。

2014-09-18 02:58:37
It happens sometimes @ElementaryGard

こういうのはアニメ史研究者がきまって言う「手塚以前にリミテッド技法はもう確立されていた」のリミテッドとは別物。ちなみにlimited animationとは作画枚数を減らすという意味ではもともとなくて、むしろ描き線や美術の描き込みを簡略化することです。

2014-09-18 03:00:31
It happens sometimes @ElementaryGard

ここもそうですね。アニメートはゼロ。飛行機のスライド移動。望遠撮影という設定でリアリズムに昇華させている。DVDのオーディオコメンタリーで片山と庵野の二人が「うわ手抜きー」とか言い合ってるのが印象的です。 pic.twitter.com/QkXZus6eIs

2014-09-18 03:03:18
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It happens sometimes @ElementaryGard

この技は、宮崎の天才的リアリズム画面構図能力によって手塚リミテッド技法がみごとに消化され昇華されたものです。

2014-09-18 03:04:27
It happens sometimes @ElementaryGard

悪いのですが、不勉強なのはあなたの方なんですね。これでわかっていただけたでしょうか。@petit_molly

2014-09-18 03:05:28
It happens sometimes @ElementaryGard

手塚リミテッドは、UPAなどの血もむろん入ってはいます。事実『アトム』第一話はUPA的表現主義の血が濃厚。ですが、むしろストーリーまんが(「映画を見ているようだ」とまで言われた手塚まんがは、かつてこう呼ばれた)のDNAを強く感じる。

2014-09-18 03:11:11
It happens sometimes @ElementaryGard

せっかくなのでもう一例。『ハイジ』のOP。ハイジと子ヤギ(としっぽに小鳥)が歩いています。リピートだから作画は楽です。手前下の草原はブックで左→右に引っ張りだからやはり作画は楽。アルプスの山と青空はほぼ静止。 pic.twitter.com/1qtjQ1VWPQ

2014-09-18 03:16:05
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It happens sometimes @ElementaryGard

引っ張りの速さの違いでアルプスの雄大さを表現しつつ、歩きはリピートで済ませる。最小の手間で最大のリアリズム効果。これも手塚リミテッドを、宮崎のリアリズム画面構成能力で消化・昇華した一例です。

2014-09-18 03:18:34
It happens sometimes @ElementaryGard

まんが史をわかっていないひとがアニメ史を語ると、「手塚リミテッドは新しくない、先例はいくらでもある」式の理屈が生まれてしまうのです。もうそういうの勘弁してほしいです。

2014-09-18 03:20:31
It happens sometimes @ElementaryGard

プカドン交響楽 "That's Where The Music Comes From": youtu.be/inIUruZDGAo あのディズニーもUPAに刺激されてこんなの作ってます。1953年。パブリックドメインなので紹介しておきます。

2014-09-18 03:34:06
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It happens sometimes @ElementaryGard

youtu.be/KGq6z1mEU9Q 鉄腕アトム第一話から。飛行自動車の運転席からの視線のカット。これはUPA的リミテッドとは違う遺伝子を感じます。手塚まんがの遺伝子です。

2014-09-18 03:38:33
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It happens sometimes @ElementaryGard

後者の遺伝子は、第二話、第三話と続くにつれて濃くなっていきます。

2014-09-18 03:39:32
It happens sometimes @ElementaryGard

ああ、ああ、こんなことまでいちいち説明してあげないと「手塚は日本のアニメの恩人だ」式のクールジャパンな妄説を駆逐できないのかと思うと、頭が痛くなります。いえ彼女がそういう説を述べてるってことではなくて、その手の説に結果として加担してしまうのだってことです。

2014-09-18 03:48:17
It happens sometimes @ElementaryGard

いえ、リミテッドは自然主義から表現主義への移行(という大義によって大掛かりな制作スタイルを避ける)で、手塚リミテッドはストーリーまんが文法でアニメーションを再構成する(手抜きともいう)ことです。@ka_nu_ka 大雑把に言えばリミテッドは工程の単純化

2014-09-18 03:57:55
It happens sometimes @ElementaryGard

こうして日本のアニメーションはまんが帝国の傀儡国家「アニメ」となった。大日本帝国と満州国の関係に似ている。 pic.twitter.com/XZ4Tlugvp8

2014-09-18 04:03:40
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