【トワイライト・オブ・ザ・シークレット・リリー・ガーデン】#1

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物とは一切関係ない、「アイドルマスター ミリオンライブ」の二次創作小説。 前作はアリサ=サン(@arisa765_fake )が纏めて下さった『アイドル・アンド・ハリセン・ライブ』http://togetter.com/li/701861 #2 → http://togetter.com/li/726373
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ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

更にシズカの無防備背中に突きを打ち込む!「イヤーッ!」「ンアーッ!」吹き飛び倒れたシズカを追い、シホのストンピング攻撃!シズカはワーム・ムーブメントで避ける!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」!「イヤーッ!」「イヤーッ!」シズカが一瞬の隙を突き立ち上がる!2

2014-09-25 21:10:10
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「「イイイイヤアアアアア!」」ミニマルな木人拳めいたカラテの応酬!有効打皆無!「イヤーッ!」「イヤーッ!」両者の腕が十字に組み合い、静寂が訪れる。…パチパチパチ。シホとシズカから僅かに離れたところに座っていたミライが拍手した。二人の張りつめた緊張が解ける。 3

2014-09-25 21:15:07
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「スゴイ!もう『アイドル戦争特に宇宙』のタテシーンは完璧だよ!」ダンス・ウェアを着た二人のアイドルはミライの差し出す飲料水を受け取り座り込んだ。「殺陣が一番不安だったけど、流石シホ=サン。上手く合わせてくれたわ」とシズカ。「この程度、当然のことだから」シホは無感情に水を呷った。4

2014-09-25 21:20:09
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「はいはいそうね」毎度の共演者の口ぶりに閉口しシズカも水を飲む。「そういえば、他の班は撮影だっけ?」ミライが言うのは他のアイドル達の事だ。彼女達は現場へと赴き撮影を行っている。事務所のアイドルは幾つもの現場に散らばっている。「…確か、アンナ=サンの班がそろそろ帰って来るのでは」5

2014-09-25 21:25:06
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「そうね。あの子達なら順調だと思うけど」心なしかシズカの顔が曇る。「どうかしたの?」「…いえ、私の杞憂よ」シホが言う。「何かあるなら言った方がいいんじゃない?」「…そういうシホ=サンこそ、何かあるの?」たちまち一色触発のアトモスフィアが立ち昇る。「ちょっとやめようよ」とミライ。6

2014-09-25 21:30:08
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「ほら、私達も撮影近いんだから台本の読み合わせでもしよう!休憩したら!」「あなたはまだ何もしてないじゃない…」アイドル達は立ち上がり、広いドージョーの出入り口へと向かった。ふとシズカの足が止まる。「何してるの。早く…」「…何か、来る」「え?」7

2014-09-25 21:35:07
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CRAASH!轟音と共にドージョーの天井が破れ、多数の質量存在の気配が溢れた。「アイエエエ!?なになに!?」ミライが床を転がりガレキを回避する。巻き上がった煙が収まると、そこには…巨大な招き猫像が鎮座していた。「…ナンデ」茫然とシズカが見上げる。シホもまた呆気にとられていた。 8

2014-09-25 21:40:09
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『NAAAGOOO』巨大招き猫は一声鳴くと、大きく飛び上がり夕空へ消えて行った。三人のアイドルは慌てて飛び出した。外では更なる異変が起こっている。まずワータヌキ像が飛行している。地面を小人が行進し、ビルの壁面をピンクの象が歩いている。その他多くの悪夢めいた幻想的光景!フシギ! 9

2014-09-25 21:45:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

一早く正気を取り戻したシホが叫ぶ!「とにかく建物の中に…」そこへワンハンドレッド・デーモン・パーティーめいてファンシー生物の群れが突進!緑のタヌキ、時計ウサギ、ドードーなど非現実的存在!「私に任せて!」ミライが仁王立ちしカラテを構える。古代ローマカラテの型の一つ、獅子の構え!10

2014-09-25 21:50:05
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「イヤーッ!…アイエッ!?アイエエエエエエエ!」ミライのポン・パンチは虚しく怒涛の如き群れに飲まれ、彼女自身もまた飲み込まれて、揉まれて姿が見えなくなった。「ミライ=サン!」シズカは咄嗟に追い掛けるが、シホの制止を受け引き下がった。「もう手遅れよ。それより、あれ」 11

2014-09-25 21:55:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

指し示す方向には、先程と同じくファンシーモンスターの群がり。球状に膨れたそれは内部に何らかの質量を抱えているようである。「もしかして…」シズカとシホは駆け出し、ファンシー球体にカラテを打ち込んだ。「「イヤーッ!」」ボムン!球体は雲散霧消し、中から二人の少女が転がり出した。 12

2014-09-25 22:00:15
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「アイエエエ!アイエエエ!…あれ?」体を丸めて悲鳴を上げていた少女が顔を上げる。「カナ=サン」シホが声を掛けるとカナは目を潤ませて叫んだ。「シホ=サン!アイエエエ!」シズカはカナが庇っていたもう一人に注目した。「…アンナ=サン。何があったの?」カナの腕の中で少女が震える。 13

2014-09-25 22:05:06
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

ウサギの耳のフードが付いたパーカーの少女、アンナが顔を上げた。今日の撮影の同じ班だったカナとアンナ。そしてもう一人。ここに居ないのは。「……ユリコ=サンが…暴走した」 14

2014-09-25 22:10:10
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【トワイライト・オブ・ザ・シークレット・リリー・ガーデン】#1

2014-09-25 22:15:04
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

……四人のアイドルはそこら中を飛び回るファンシー生物を避け建物の陰に身を寄せた。彼らは明確な意思を持っている訳ではなく、何かをしているようではない。その証拠に、目の前を虹色の蝶が飛び過ぎたが襲い来る様子はない。「…これはユリコ=サンのクウソウショウジョ・ジツ」アンナが語る。 15

2014-09-25 22:20:08
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「だけど、こんな大きいのは見たことない…」「どうして暴走を?」アイドルたちは強大な力を持つが、それを制御することは至難の業だ。ましてや経験の浅いアイドルともなれば、易く暴走を許してしまう。「今日の撮影で…なかなかOKが出なくて…最近ずっと撮影上手くいってなかったから」 16

2014-09-25 22:25:06
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

カナが俯いたアンナの言葉を引き継ぐ。「それでね、みんなでガンバロって言ってたんだけどね、ユリコ=サン辛そうで…事務所に着いたら様子がおかしくなって」「それでユリコ=サンはどこに?」「分からない…私達も逃げるのに精いっぱいで…」警戒していたシホが頭上を見上げる。 17

2014-09-25 22:30:03
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「増えてきた。動かないと」「でもどこに?ユリコ=サンも見つからないのに!」カナが悲鳴を上げる。モンスターの襲撃が堪えているのか。「あの人を止めに行かないと。…アクシスが帰って来る前に」現在事務所にいるアイドルは彼女達だけ。早急な対処が必要だ。「……監視カメラ」アンナが呟く。 18

2014-09-25 22:35:08
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「カメラ?モニター出来るのは事務所だけよ」とシズカ。「なら…行かなきゃ…」決断的に立ち上がり、アンナが建物内に入って行く。慌ててシズカとカナが続く。最後にシホが飛来した笑い猫をチョップで撃退し、扉を閉めた。 19

2014-09-25 22:40:09
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

建物内にも怪物は点在していた。だが外に比べればその数は実際少ない。アイドル達は安堵した。彼女らが侵入した建物はレッスン棟であり、裏口に回れば事務所のあるビルへの近道となる。宙を泳ぐ熱帯魚の群れを避けながら一行は前進する。敵意を感じることはない。「…あれ」カナが足を止めた。 20

2014-09-25 22:45:04
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「どうしたのカナ=サン」シホが尋ねる。先頭のシズカ、そしてアンナも立ち止まる。「今、鏡にユリコ=サンが映ってたような…」カナはダンススタジオの強化防弾ガラス越しに見える鏡を指差した。「…何もないよ?」スタジオ内に入り全員が見渡す。「おっかしいなー。確かに…なにこれ?」 21

2014-09-25 22:50:08
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

カナの手に触れたモノ、それは白い花のようであった。「…キレイ」「危ないッ!」ギャリン!花に見惚れたカナをシズカが突き飛ばす。その0コンマ2秒後、鋭い爪を備えた歪な腕が床を削った!「アイエエエ!」アンナが叫ぶ。鏡の中から暗褐色の鱗を纏った腕が生えている。鏡面が波打つ。 22

2014-09-25 22:55:05
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

やがてもう一本の腕が生えると、ナ、ナムサン!窮屈そうに巨大なトカゲめいた怪物が上半身を露わにしたではないか!「GYAAAAA」赤い瞳の醜い怪物が吼え、アイドル達に再び爪が伸びる!「イヤーッ!」シホが右腕を蹴りつける!「イヤーッ!」シズカが左腕を蹴りつける!「「イヤーッ!」」 23

2014-09-25 23:00:09
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

シホとシズカが怪物の長い首を蹴り上げる!「GYAAA」怪物は呻いて鏡の中に引っ込んだ。「今のうちに!」少女達はスタジオを飛び出し、裏口へ走った。「い、今のなに!?」「あれは多分童話の怪物…」「そうじゃなくて!なんで私達が狙われてるの!?」「ブッダに訊いたら?」裏口を飛び出す!24

2014-09-25 23:05:05
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

タタミ5枚程の距離を駆け抜け扉の鍵を閉める。追手の気配はない。アイドル達はへたり込んだ。「ハァーッ…ハァーッ…助かった…」「カナ=サン、油断するにはハヤイ過ぎるわ。気を抜かないで」「そうよ。まだ何も解決してない」シホとシズカに言われ、カナはよろめきながら立ち上がった。 25

2014-09-25 23:10:09