ヨコスカ・アサイラムVSラブホテル鎮守府 ～チキチキ ポロリもあるよ！ドキドキ合同演習 in なんばパークス～ その３

キタユキ @k_t_y_k

必死の呼びかけ虚しく、ながもんはあちらの提督の押したトラップボタンにより、どこからともなく流れる私の音声と共に発射されたボールを追いかけて元きた道を引き返していった。何故か夕立も一緒に。 本能のままで大丈夫か艦娘達よ。お前らサバンナだったら死んでるぞ。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

そして告げられるリタイア・アナウンス……結局道が逸れたことによりレースは無効になってしまったようだ。まあ、犬だし仕方ないな。 ところで前回といい、引き分け時の勝敗は提督同士のじゃんけんできめられる闇ルールのようだ。まあいい、あのイケメンに一泡吹かせてやる。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

ーー狩りをする獣は優れた目を持つものが多い。 それは単純な「視力の良さ」だけではなく、獲物を捉え、確実に追跡するための動体視力も当てはまる。 そして家猫が動くものに手を出してしまうように、家畜化されてもその能力は衰えることがない。本能と機能はセットなのだ。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

このアサイラムの提督、普段は業務でポシャる、加賀に食われるなどの貧弱な面が目立つが、人より優れた所もギリギリ存在するのだ。 それが、動体視力。 山で暇つぶしに鳥に石を投げる生活の長かった彼…いや彼女に取って、動くものを目で追うことなど造作もないこと。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

そう、動くものを目で追うことは、彼女にとって造作もないことなのだ。 たとえそれが、「あっちむいてホイ」であってもーー #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

負けた。 癖で振られた指を目で追ってしまった。自己弁明しても清々しいくらいにしょぼい理由で負けた。ま、まあまだ二戦目だし？あと三人いるし？ とりあえず今はながもんを褒めてやろう。よーしよしよく頑張ったあっちょっと待って勢い凄い勢い凄いね君そのまま来られたら死 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

…肋骨全部イッた♂気がする。いつも飛びつく時は折れないように遠慮してくるながもんだが、大興奮で加減を忘れているらしい。後で洗ってやらないとなあ、と背中を叩いてやると、泥の塊の下はいつの間にか人の骨格をしている。飼い主をぺろぺろ舐め回す鼻面もいつもの戦艦長門だ。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

もしかしてあのワンワンレースするためだけに無理矢理犬にしてたのか？誰か知らないけど、手の込んだことをするやつもいるものだ。フンフン鼻を鳴らすながもんの頭をわしゃわしゃしながら、よくやったと背を叩いてやる。ところで肋骨折れてんだけど、誰かその、医者。 #加賀さん観察日記

高峯みやび @sukamelancholy

ながもんも戻ってきた。さらに泥だらけだ。アサイラム提督の元へ一目散だ。あ、やべえ。逃げた方が――「ぐえっ」みしみしぼきっ。嫌な音と共に、アサイラム提督はながもんに飛びかかられ倒れる。「ただいまー！」そして夕立も俺の方へ……。ああもう、いいや。頑張ったしな。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

べろべろべろべろ。「夕立頑張ったっぽい！ 褒めて、褒めてー！」べろべろべろべろ。「褒めてー！」ああ、うん。わかったから。べろべろべろべろ。「はふっはふっ♪」舐めるのを一旦やめようか。べろべろべろべろ。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

『第三死合は今からまた30分後に。それまでを前半戦としてインターバルを長めにおきます。第四死合は第三死合終了から二時間後に開始しまーす』謎の女こと科学者は巨大モニターの前から姿を消し、骨が折れているらしいアサイラム提督の前に現れる。彼女、大丈夫だろうか。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

まぁ、時間もないし大丈夫だと思いたい。彼女、高速修復材、通称バケツで治るらしいし。泥だらけの夕立に飛びかかられて俺まで泥だらけだ。先に夕立とシャワーを浴びて泥を落として、着替えるか。……ところで、ながもんは戻ってるのになんでうちのは戻ってないんだ？ #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

出来るだけ事前に泥を落としたものの、後でホテルの人に怒られそうなくらいシャワーで泥が流れた。……なぁ夕立、なんで元の姿に戻らないんだ？　ミニチュアダックスの夕立に話しかける。「んー、わかんないっぽい」ですよねー。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

「司令、お疲れさまでした」バスルームの外から不知火の声。……と、何だか不機嫌なビスマルクの声。「ズルいわ、私も誠士郎と……ぶつぶつ」「阿賀野さんを呼んできましたので、お風呂から上がり次第、会場へ」お、サンキュー。「羨ましくない羨ましくない……ぶつぶつ」 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

不知火「ところで司令」 提督「んー？」 不知火「獣姦はされましたか」 提督「してねーよ！」 夕立「？」 不知火「そうですか」 夕立「てーとくさん、じゅーかんってなに？」 提督「あ、いや、気にすんな」 #変態不知火さん

キタユキ @k_t_y_k

医務室で高速修復剤を貰い、折れた肋骨を戻す。明石も来ているので開胸手術ができないこともないのだが、奴には今別のことをやってもらっている。皮膚の下を掻き毟りたくなるのを堪えながら、地下闘技場のさらに下へ向かう。次の試合まではインターバルがあるので、今のうちに。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

最下層、物々しく紋様の刻まれた岩の扉が独りでに開くのを待ってから、再び階段を降りていく。通路は狭く、手を広げれば壁に触れられるほどだ。実際に行うと、紋様がびっしりと刻まれているので指先がなぞった部分が蛍光の青を発する。文字だろうか。古書で見たものに似ている。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

十分程進んでいくと開けた箇所に出る。多段に置かれた蝋燭が橙に部屋を染め、奥に湛えられた泉の前には明石が腕組みをして立っている。様子は、と声をかけると薄紅梅の頭が振り向いた。 「間に合うかは本人次第、ですね」 背に負うクレーンは泉の縁に置かれ、自動で動いている。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

二つのクレーンには大きな筒が両脇に取り付けられ、薬品を絶え間無く混ぜ込み続けている。薄青の泉に翡翠の緑が溶け出す先には、大きな龍の像とその足元に頭を乗せ、突っ伏す加賀がいた。髪は一房の白を覗いて栗色を取り戻し、水色が映り込む肌も血が通っている。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

「本当なら数週間かけて毒を抜いてやらんといかんを、修復剤の原液で無理矢理細胞も神経も、身体には大分負担がかかってますし、寿命もぐんと縮まることでしょうね。いつ酷い副作用に襲われるとも限らない」 全くもって馬鹿な選択肢です、と明石は続ける。 #加賀さん観察日記

キタユキ @k_t_y_k

「あなた達提督がそう望むから、彼女達艦娘は命を燃やしてまで戦うのかもしれない。ですが、常にその輝かしい忠誠心が最良の選択をするとは限りません。止められるのは、物を使う人間だけです」 俯く明石に、返事が返せない。 「試合は私も付き合います」 頷くしか、できない。 #加賀さん観察日記

高峯みやび @sukamelancholy

──気配を消す事は容易である。 後は呼吸をどうにかすれば完全なる擬態など朝飯前。だがそれを自慢気にするなど有り得ない。手の内──ましてや切り札なら尚更だ──を明かす程浮かれてもいないし驕りもない。一切の私情なく、与えられた任務を遂行する。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

任務を与えた者ですら、彼女の切り札を知りはしない。だが知る必要もないだろう。彼は彼女を信頼しているし、彼女も司令官として認めているからだ。 気配を殺し、存在感を殺し、彼女は目の前の状況を“観察”する。報告の余地あり。彼女はそのまま移動を始める。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

恐らくはここが本来の“なんばパークス”と呼ばれた聖地だろう。数十年前、名だたる哲学者が己の信念をぶつけ合った、文字通りの聖域。何故彼女らがそれを知っているかは不明だが調べる必要もない。下準備を早めるか、もしくは繰り上げが必要であろう。──彼ならそう判断する。 #変態不知火さん

高峯みやび @sukamelancholy

脱出路なら先程見つけた。成人男性なら余裕で通り抜けられるような横穴だ。自然の産物とは考えづらい。ならば哲学者の誰かが……？　聖域を覗き見られるような横穴から彼女は擬態したまま下がる。 完全に離脱するまで呼吸を止めていた彼女は新鮮な空気を肺に取り入れる。 #変態不知火さん