東浩紀『弱いつながり 検索ワードを探す旅』批判 再々応答とその検討

東氏による弱いつながりにおけるグラノヴェッターに関する新しい見地と、その検討 著者からの5つの反論に、再反論しています。
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須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)「強い紐帯」の意味するところは、章によって一定しません。「リアルな人間関係」(0章)「親子や同僚」(5章)「小学校や中学校の同級生」(7章)という説明は、グラノヴェッターの概念「強い紐帯」とほぼ同義です。(続く)

2014-10-15 23:54:40
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)一方、グラノヴェッターから離れた東浩紀オリジナル概念としても「強い絆」は登場します。7章では「計画性の世界」と再定義しています。5章で強い絆と定義した親子関係を7章では弱い絆とするなど、矛盾した記述もあります。 しかし、これを再定義だとする宣言は存在しません。(続く)

2014-10-15 23:56:06
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)「強い絆」の概念は、グラノヴェッターの概念と東浩紀オリジナル概念が入り乱れていますが、そのことについて特に説明はありません。「弱い絆」をグラノヴェッターの概念だと明言している以上、「強い絆」も同様であるとしか、テクスト中では判断できないでしょう。(続く)

2014-10-15 23:57:01
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)『弱いつながり』の最終段落、最も重要なまとめとなる箇所は、以下の文章です。 >「強い絆をより強くするためにこそ、弱い絆に身を晒す。 > 本書はそんな逆説を訴えるために書かれた本です。」 これはグラノヴェッターが提唱した「弱い紐帯の強さの逆説」の本歌取りに他なりません。

2014-10-16 00:08:07
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)まとめ:グラノヴェッターは参考として序文で触れただけである? ・名前については、序文で触れただけである。 ・しかし、グラノヴェッターの概念として説明している「弱い絆」は、全編を貫く最重要キーワードである。 ・グラノヴェッターの概念「強い絆」も多用している。

2014-10-16 00:09:53
須藤玲司 @LazyWorkz

まとめ:東浩紀氏の主張「グラノヴェッターは参考として序文で一瞬触れただけである」 反論→グラノヴェッターの名前は序文にしかないが、最重要キーワード「弱い絆」は、グラノヴェッターの概念として、全編にわたって使用している。参考として一瞬触れただけ、というのは詭弁でしかない。

2014-10-16 00:12:29
須藤玲司 @LazyWorkz

【主張2-aへの反論:「弱いつながり」の背景は、ルソー・カント・デリダ・ローティである。グラノヴェッターではない?】

2014-10-16 00:13:32
須藤玲司 @LazyWorkz

『弱いつながり』のおおまかな要旨は、以下のようなものです。 (1)ネットでは見たいものしか見えない。 (2)ネットの限界を超えるため、ノイズが必要。 (3)ノイズ源として弱い絆を活用しよう。 (4)弱い絆はリアルで見つけるべき。 (5)だから観光旅行に出よう。

2014-10-16 00:15:18
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)『弱いつながり』の最大の特徴は、(4)の「リアル重視」の思想です。これは東氏の主張どおり、ルソーやデリダやローティといった哲学者の思想を背景としています。(5)の「観光」では、ドゥルーズも背景にしているようです。(続く)

2014-10-16 00:16:12
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)(1)のネットの限界は、大前提として扱われています。これはおそらくローレンス・レッシグあたりを背景とし、キャス・サンスティーン(『インターネットは民主主義の敵か』)やイーライ・パリサー(『閉じこもるインターネット』)などの影響下にあるのでしょう。(続く)

2014-10-16 00:16:53
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)問題は(3)(4)の「ノイズ」と「弱い絆」です。「弱い絆」はグラノヴェッターの概念ですが、著者はそれを「ノイズ」と結びつけ、偶然性の源泉と再定義しています。 そして(1-a)反論で明らかにしたように、なぜかそれをグラノヴェッターの概念と称しています。(続く)

2014-10-16 00:18:06
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)「ノイズ」は「弱い絆」とともに最重要キーワードとされています。「ノイズ」(偶然)を重視する思想の背景は、サルトルや九鬼周造あたりなのかもしれませんが、ここではそれは問いません。(続く)

2014-10-16 00:19:00
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)その後、グラノヴェッターの「弱い紐帯の強み」理論を紹介し、そのうえで重要性をアピールしています。 >この「弱い絆」の話は、社会のダイナミズムを考えるうえでとても重要な概念で(以下略) この時点では「ノイズ」の概念はなく、原典に忠実な紹介です。

2014-10-16 00:20:48
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)その後、ノイズと「弱い絆」を結びつけます。この理論は東浩紀オリジナル要素が強いと疑われますが、著者は以下のようにはっきりと言い切っています。 >弱い絆はノイズに満ちたものです。そのノイズこそがチャンスなのだというのがグラノヴェターの教えです。(0章)(続く)

2014-10-16 00:21:34
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)他の誰でもなく「グラノヴェターの教え」と明言して本書の核となる論を提示している以上、背景にはグラノヴェッターがあるとみなすしかないでしょう。 たとえそれが実際はグラノヴェッターの教えではなかったとしても、テクストから読み取ることは不可能です。(続く)

2014-10-16 00:23:07
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)そもそも、『弱いつながり』という書名は、明確にグラノヴェッターの「弱い絆(ウィークタイ」を元ネタとしています。最重要キーワード「弱い絆」は、そのままグラノヴェッターの提唱語です。これでグラノヴェッターを背景としていないと主張するならば、それは単なる剽窃でしょう。(続く)

2014-10-16 00:23:54
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)まとめ: ・リアルを重視する思想は、ルソー等の哲学者を背景としている。 ・グラノヴェッターの理論を「とても重要」と紹介している。 ・ノイズ=弱い絆の重視を「グラノヴェッターの教え」と明記している。 ・そもそもタイトルと最重要キーワードの元ネタであるのは明白。

2014-10-16 00:24:30
須藤玲司 @LazyWorkz

まとめ:東浩紀氏の主張「『弱いつながり』の背景は、ルソー・カント・デリダ・ローティである。グラノヴェッターではない」 反論→ルソー等の哲学を背景とするが、グラノヴェッターも背景としている。そもそも書名と最重要キーワードの元ネタであり、背景でないと主張するなら、単なる剽窃である。

2014-10-16 00:25:09
須藤玲司 @LazyWorkz

【主張3への反論:著者を疑う人は哲学書を読むべきでないのか】

2014-10-16 00:26:42
須藤玲司 @LazyWorkz

「おれにわからないところがあるのは著者が悪いって発想の人は、哲学書とか読まないほうがいいよ」 これは論理的にみて完全に自己矛盾した文章です。(続く)

2014-10-16 00:27:30
須藤玲司 @LazyWorkz

・新しい哲学書を書く人は、既存の哲学書を読んで、その正しさがわからないと批判する人である。 ・既存の哲学書が正しくないのは、その主張が誤っており、著者が悪いからである。 ・しかし、著者が悪いと発想する人は、哲学書を読むべきでない。 ・よって、新しい哲学書は、永遠に書かれない。

2014-10-16 00:28:28
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)東浩紀氏の主張は、非常に稚拙なパラドックスです。この解は、論理的に2つしかありません。 (1)哲学書は、哲学書を読まない天才が書くしかない。 (2)哲学書を批判してはいけない。盲信的な原理主義が正しい。(続く)

2014-10-16 00:29:58
須藤玲司 @LazyWorkz

(承前)最近の東浩紀氏は、新しい読者グループを開拓すると同時に、著書を批判した人を非難して関係を断つという行動をとっています。 発言を論理的に考えると、(2)の妄信的な原理主義を目指しているのかもしれません。(続く)

2014-10-16 00:31:52
須藤玲司 @LazyWorkz

まとめ:東浩紀氏の主張「おれにわからないところがあるのは著者が悪いって発想の人は、哲学書とか読まないほうがいいよ」 反論→論理的に自己矛盾。このパラドックスの解は、天才が書いた本を盲信し、一切の批判を許さない原理主義セクトである。発言者がそれを理想とする場合のみ、主張は正しい。

2014-10-16 00:33:12
須藤玲司 @LazyWorkz

以上、『弱いつながり』に関する東浩紀氏の発言について、5点の反論をしました。 もし東氏がこれを目にした場合(目にしないのは不自然ですが)、何らかの発言をすることも、あえて無視して沈黙することも、自己責任において当然の自由です。自らのもっとも利益になる行動を選択すればいいでしょう。

2014-10-16 00:40:09
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