魔法少女まどか☆マギカSS「ゾンビ・オートパイロット」

悪魔ほむらの指の動きの色気ってたまらないものがあります。
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夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

杏子の体温が、魔法でできたものだと思うとさみしい気がした。その熱も、やわらかい体も、彼女の魂から生まれたものじゃない。身体はかたくて冷たい石になってしまい、魂だけがその中にある。 だけどわたしは?わたしはどうなのだろう。 M25

2014-09-02 20:27:25
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

あまりにも唐突な思いつきだ。わたしの魂も杏子とおなじようにソウルジェムのなかにあるはずなのに。でも、その思いつきはなにか、確信をついているような気がする。そうだ、確信だ、わたしは確信した。これがわたしをさいなむ不安の正体だ。 M26

2014-09-02 21:36:54
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

杏子とわかれた後、わたしはいてもたっていられず、丘のうえの公園へむかった。わたしの魂がどこにあるかなど、知っていそうなのは一人と一匹しかこころあたりがない。そしてそいつらはおおむねセットでこの公園にいる。 M28

2014-09-04 00:02:25
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

そらには半分に割れた月がくっきりとうかんでいる。アンダー・ア・グラスムーンなんてことばがよく似合う。 目的の少女は、どうやって持ち込んだのやら、やたらと大きくてクラシカルなイスに座っている。なんていうの?ロココ調?わたしはそういうのを表すことばをそれぐらいしか知らない。 M29

2014-09-04 17:55:06
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

ひざのうえに乗せたキュウべぇを撫でているすがたが、月明かりにくっきりとうかぶ。悪魔となのるくせに、そのすがたが神々しくみえ、わたしは気圧された。悪魔ならもっと悪魔らしく、もっと足とかむねが見える服を着ていてほしい。 M30

2014-09-04 23:07:17
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「やあ、これでそろそろ来るころだと思ったよ。きみがほむらに正解を聞きに来るのは、これで511回目かな」 「回数をかぞえるのは無意味なことよ」 M31

2014-09-05 00:43:23
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「円環の理のなかで、わたしたちは何度もなんども同じことを繰り返すの。観覧車とおんなじね。いちばん上までいったら、今度は下がって、けっきょく同じところに戻るの。それを繰り返すの、なんどもなんども…」 M32

2014-09-06 11:16:11
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「その円環の理とかいうのがそんな不毛ななにかだっていうなら、わたしは真っ先に降りるわ。いまはそんなことを聞きにきたんじゃない」 「せっかちね、回数をかぞえるのは無意味だけど、ほんとに同じことを繰り返していてはあきてしまうわ」 M33

2014-09-07 17:15:14
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「わたしも、あんたにはぐらかされるのには飽き飽きしてる。」 やっぱり、ほむらはなにかを知っている。今夜はそのなにかを話すまで逃す気はない。いつまでもなにかから逃げ続けるなんて、わたしらしくない。さあ、はなして、あなたはなにを知っているの? M34

2014-09-09 18:03:21
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

そしてほむらはいった。わたしはまどかだと。 「おかしいと思ったのよ?わたしの知っている美樹さやかはもっと不器用な子のはずだって。もっと、迷って、悩んで、ほんとうにだいじなことはだれにも相談できないような子だったはずよ」 M35

2014-09-09 23:25:42
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

それは暁美ほむらからみた美樹さやかだ。 「でも、いまのあなたは、強くて、思い切りがよくて、ひつようなら嘘もつける子よ」 それも本来の美樹さやかではない、だれかからみた美樹さやかだ。では、だれがみるとそんな美樹さやかになるのだろう。 M36

2014-09-10 00:11:28
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

ほむらはそれを簡単にいってしまった。彼女の言うとおりだ、確かに、言わないですむのなら言わないでおいた方が良いにちがいない。別に、それが彼女の優しさなんていわないけど。 「美樹さやかをそんなふうに思っているのは、鹿目まどか、彼女だけよ」 M37

2014-09-10 23:09:35
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「いまのあなたは、鹿目まどかのみている夢なのよ。ほんとうのあなたは、とうにこの宇宙のどこにもいなくなってしまっているのよ。円環の理に取り込まれてしまったのだから、概念の一部になって、誰からも観測することのできないなにかになってしまっているの」 M38

2014-09-10 23:17:53
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「それは百江なぎさも同じね、ほかのだれがあんなに都合のいい夢をみたがるっていうのよ」 吐き捨てるようでもあり、優しさのこもってもいるような不思議な響きがあった。 「きっと、強くてかっこいい美樹さやかがいて、百江なぎさが巴マミの心の支えになっていて、M39

2014-09-10 23:33:15
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

そんな世界がまどかの理想なの」 ほむらの両手がわたしの頬に触れた。 「ねえ、だからさやか?ずっと強くてかっこいいさやかのままでいてね?ずっとまどかの友だちでいてね?そしたらまどかはよろこぶわ」 M40

2014-09-12 11:33:21
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

まるで、子どもをあやすみたいな調子。ほむらはまどかの夢であるわたしをまどかの一部だと思っているのだろう。ああ、彼女にとって世界は本当にまどかのためだけにあるんだ。まどかと、まどかの愛したもの全て。世界はそれだけでてきている。 M41

2014-09-12 12:27:55
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

だというのに、とうのほむらの表情は、幸せな母親の表情というまのではなかった。「ねえ、ほむら。あんた、自分がいま、どんなかおしてるかわかってる?」ほむらは変な顔をしている。ま、そうでしょうね。毎朝、男の子からどう見えるかを気にして鏡とにらめっこをするような子にはみえないもの M42

2014-09-22 00:34:20
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「ずっと泣きそうな顔してるのよ」 「泣きそうな?」 「そうよ」 わたしは、ほむらの頬を両手でつつんだ。そのまま、むにむにと両手で頬をもむと、冷たい肌が、わたしの体温で少しづつ温まっていき、こわばりがとれていく。 M43

2014-09-24 22:44:49
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「あんたが悪魔になったあと、ずっとつらそうに見えたわ。」 そうだ、つらそうに見えたのだ。わたし達を嘲笑っている時も、まどかが笑うのをみているときも、つらそうな表情をしていた。なにもかもが自分の思い通りにいく世界に生きる人にはみえなかった。 M44

2014-09-25 01:42:47
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「辛かったら話してよ、苦しかったら話してよ。なんど同じ時間を繰り返したって、悪魔になったって私たちは中学生なんだ。一人で抱え込んで幸せになんかなれるはずない」そんなハードボイルドは暁美ほむらには似合わない。もちろん私にもマミさんにも。杏子にはちょっと似合うかもしれないけど M45

2014-09-27 21:33:48
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

気づくとほおが濡れていた、泣いているのはわたしのほうだった。 「前にも言ったじゃない!一人で抱え込まないでって何度も言ったじゃない!」 泣いてることに気付いたからだろうか。急にいろんなことに腹が立って、いらいらして、悔しくて悲しくなった。 M46

2014-10-01 19:45:02
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「ほんとは、みんなほむらの事を嫌ってなんかない。わたしも、杏子もマミさんも、なぎさだって!」 なんでほむらはその事に気付いてくれなかったんだろう。まどかの友だちだからっていうだけで、みんながほむらを助けようとしたわけじゃない。 M47

2014-10-02 18:41:04
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「ほむらが本当にいやなやつだったら、こんなに世界を作らない。どんな形だとしても、ここはみんなが幸せな世界なんだ。」 M48

2014-10-04 20:18:57
夏頭悠@にんぱくファイナルR02 @N_Halka

「ほんとうの美樹さやかもそう思ってくれればいいわね」 きっとそうに決まってる。ほむらが手をのばす。 「でも、みんなが幸せなら、」 ほむらの手がわたしの頬にふれる。 「これ以上、なにを変えろっていうのよ」 わたしの意識がうすれていく。ほむらはこの会話の記憶も消すのだろう。 M49

2014-10-09 00:19:56