【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(2-1)【パロ】

アナとチビ九尾エルサ(略してエルコン)の第二部?みたいなのが始まるぉー!今度はアナさんのお家でほのぼのするよ!たぶん!恐らく!そうだったいいな……(予定は未定)。こっからは色々キャラが増えて来ると思うよ。私書き分けとか苦手だけどまったりやってくよ。なんとかなるなる( ˇωˇ )
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万屋和風愉菓子店@絶滅種のポンデ @yorozuya753

エルコンちゃん第二部のマーライオンをするぉ。第一部についてはピクシブとかタンブラーをご覧くださいませ( ˇωˇ ) [Pixiv]pixiv.net/novel/member.p… [Tumblr]ponderabbit.tumblr.com

2014-11-08 01:36:33
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【アナとチビ九尾エルサ(2-1)】 ■注意 現代ファンタジーパロ。エルサちゃんがロリ化して九尾の耳と尻尾が生えてます。アナちゃんは大人です。ロリコンアレルギー、ケモノアレルギーがある方はお気を付け下さい。あ、私はロリコンじゃないです。本当だよ!!

2014-11-08 01:39:48

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ざわざわと囁き合う真っ黒な森の中で、黒いドロドロした塊がざわざわと蠢き、真っ白な狼を囲んでいた。 「ダメだよ。こっから先は行かせられないよ」 白狼は悲しい声で唸っていた。低い悲しい声で鳴いていた。 「君たちが苦しいのは分かってるさ。でもあの子を取り込んでも楽にはなれないんだ」

2014-11-08 01:48:04
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悲しい声で鳴いて唸って。白狼は黒い塊の中心で遠吠えを上げる。誰かに「だいじょうぶだからね」と伝えるような、透き通った力強い遠吠えを上げ、真っ白な毛並が波打つ。 白い尾が一陣の雪風のように真っ黒な塊の間で舞った。 * * * * *

2014-11-08 01:52:16
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* * * * * ――いい子ね。やれば出来るじゃない。 そう褒める音が聞こえた。優しくて甘ったるくて刃のように冷たい声が頭に響いた。 「……っ!!」 小さな身体がビクンッと跳ねる。でも軽い体はベッドのスプリングをほんの少し揺らしただけ。

2014-11-08 02:13:36
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華奢な体躯の腰辺りから生えている九本の尻尾が毛布の下でぶわっと膨張し、耳は何かを必死で聞き取るようにピルピルと震えていた。 狐のような大きな耳に九本の狐の尻尾を持ったその子は、大妖怪である『九尾』の子。名前をエルサという女児は、知らないベッドの中で震えながら周りを見回した。

2014-11-08 02:15:15
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見慣れない天井、見慣れない壁、見慣れない家具、見知らぬ調度品。知らない場所。知らない匂い。パキリとシーツが凍る。ふわりと舞う雪。知ってる匂い。柔らかな腕の感触。温かな体温。知ってる温度。 「ア、ナ……?」 その人の名前を口に出してみると、混乱した頭が少しだけ落ち着いた。

2014-11-08 02:22:07
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けれど凍らせてしまったシーツを見て、エルサははっとしてアナの腕から慌ててするりと抜け出した。またやってしまったと、叱られた子供のように顔を歪めてベッドの上でずるずると後ずさると、もうそれ以上は下がれない位置にまで来ていて。 「きゃんっ!?」 エルサはベッドから転がり落ちた。

2014-11-08 02:27:05
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背中と肩を打ち付けて、それ以上の痛みにエルサはその場でカラダを丸めた。九本の尻尾も丸まる。 「っ、っ、はっ、ぅ、ぅ……!!」 全身に激痛が走って声も出せない。骨が軋んでいるような、筋肉が悲鳴を上げているような、皮膚が引き攣るような、鋭い槍で串刺しにされているような、

2014-11-08 03:05:06
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鋸で切り裂かれているような、そんな様々な痛みが体中を駆け巡る。冷たいような熱いような寒いような感触が背筋の上と背骨の中を行き来して、呼吸なんてしたら崩れそうだった。 「くっ、ふっ、ぅ、つぅぅ……!!」 ビクビクと震えてること数分。ズキズキと痛む全身をそろそろと動かし、

2014-11-08 03:06:12
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なんとか起き上がって自分の体を見下ろす。ダボダボのTシャツの下から覗いているのは、血が滲んでいる包帯に包まれた自分の体。消毒液の匂いと血の匂いと氷の匂いと、アナの匂いが自分からする。大きなTシャツからもアナの匂いがして、これはアナの服だと反射的に理解した。

2014-11-08 03:11:45
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エルサはキョロキョロと部屋の中を見回す。すんすんと匂いを嗅ぐ。知らない部屋にはアナの匂いでいっぱいなのに、知らない人の匂いもした。 痛まないように慎重に立ち上がる。けれど足に鮮烈な痛みが走った。片足の脹脛がパックリいっているんだと思い出して、

2014-11-08 03:15:20
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その足を引き摺りながらベッドの周りをゆっくりと歩く。丸まった尻尾を抱き締めて、恐る恐る。びっこを引きながら恐る恐る。すんすん鼻を動かして匂いを嗅ぎながら、おずおずと足を引き摺る。 ベッドの周りをアナの匂いを辿るように半周。転がり落ちた場所とは丁度逆。アナが寝ている側。

2014-11-08 03:18:11
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ベッドの端っこに手を掛けて背伸びをして、ベッドの上を覗き込む。そこには大の字になってぐーぐーと泥のように眠っているアナがいて、エルサの尻尾が控えめに揺れた。 「ぅ~ぅん……エルサぁ~、これおいしいよぉ~」 涎を垂らしながら寝言を零して寝返りを打って、アナの体がこっちに向く。

2014-11-08 03:24:17
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手がベッドの外に飛び出ていて、エルサはその手に鼻先を近付けた。すんすん匂いを嗅いで、投げ出された手の平に頬を寄せる。すりすりと顔中を擦り付けて、首を振って耳や頭も押し付ける。 アナの匂いを付けているのか、自分の匂いをつけているのか。

2014-11-08 03:27:15
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判別はつかないが、エルサの尻尾はさっきよりは揺れていた。 アナから「にへへ」という間の抜けた笑い声。くすぐったかっただけだろうが、エルサはぱっと顔を離して、申し訳なさそうに眉尻を下げた。 足を引き摺ってピョコッピョコッと歩く。ベッドを丁度一周してから、エルサは窓に近寄った。

2014-11-08 03:30:20
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そろそろと窓に近付いて、遮光カーテンの隙間に鼻先を入れる。硝子の冷たい感触を鼻の頭に感じながらエルサは外を眺めた。 窓の位置は高くて、外に広がっているのは太陽に照らされた美しい庭園。庭の真ん中には噴水があり、水が宙を楽しそうに踊っていた。 「……?」 知らない場所。知らない景色。

2014-11-08 03:36:42
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エルサは小首を傾げて、後方のベッドを見て、アナの寝息を聞き取って。それからカーテンの隙間に潜り込むように窓辺に体を寄せた。窓ガラス伝いにずるずると腰を下ろして、コテンと横になる。遮光カーテンとガラスの合間の小さな日向。外眺めながらちょこんと丸まって、お日様の光を全身に浴びる。

2014-11-08 03:38:00
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尻尾を抱き締めて鼻を埋めると自分の匂いしかしなくなる。あとはTシャツからアナの匂いがするだけ。お日様があたたかくて、体中痛いのにポカポカとしてくる。その内うとうとしてきて、エルサは逆らわずに目を瞑った。

2014-11-08 03:40:25
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知らない部屋。知らない場所。知らない風景。でもお日様がたくさんで、不思議とこわいとは思わなかった。 * * * * *

2014-11-08 03:41:19
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* * * * * 『どうして!?』 訴える。訴える。誰かが誰かの言い分に必死に訴えていた。 『足りないってどういうこと!?どうして足りないとダメなの!?』 広い裁判場みたいなところで、被告人席みたいな場所で、高い場所にいる……たぶんとっても偉い人に向かって声を荒げていた。

2014-11-08 16:16:03
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いくら訴えてもいくら叫んでもいくら泣き喚いても、その偉い人は「うん」とか「いいよ」とは言ってくれない。首を横に振って溜息を混じりに「ダメ」というだけだった。誰かはイラだったように拳を振り上げて、ガツンと自分の席を殴りつける。涙が溜まってた眼はそこにはもうなくて、

2014-11-08 16:19:14
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燃え上がる怒りと悲しみを湛えた決意の目があった。その瞳の色には見覚えがあった。鏡の中で見覚えがあった。 『足りないっていうなら探しに行く』 低い唸り声で宣言する。偉い人の制止の声なんて無視して、その人は、 「んぁ?」 自分の間抜けな寝言であたしは目を覚ました。

2014-11-08 16:25:10
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