#完全ノープラン艦これ与太話 【アイアンクラッド・フライング・ブッダ】 #1～#2

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【アイアンクラッド・フライング・ブッダ】#1 #KZNPLN

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「カーッ！」「グワーッ！」ナムサン！ザゼン姿勢を崩した軽空母に対し、色黒の駆逐艦による情け容赦のない根性バー打撃が打ち据えられる！「アイエエエ！もうちっと加減してやキミィ！」「カーッ！」「グワーッ！」「カーッ！」「グワーッ！」夜戦連撃めいた無慈悲な殴打！コワイ！ #KZNPLN

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「アイエエエ……堪忍してや……」軽空母はよろめいて四つん這いになり、失禁しながらノソノソと逃亡する。「いけませんよ龍驤＝サン！まだ修行は始まったばかりではないですか」「ブ、ブッダ……」駆逐艦はふう、と息をつき、根性バーを置いた。「仕方が無いですね……」 #KZNPLN

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駆逐艦の名は綾波。キョート府マイヅルの辺境に位置するヤセン・テンプルのアークボンズである。先代である師の失踪後、廃墟となっていたこのテンプルを改めて引き取った。ちょうど同時期、ボンズ志願者の軽空母龍驤もまた、廃テンプルの管理を押し付けられた所であった。 #KZNPLN

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「今日はここまでとしましょう。まだまだ精進が足りませんよ」「アイエエエ……ブッダエンジェル……」龍驤は床を這い、居間に向かった。綾波は台所へ向かう。「お食事にしましょう」「ヤ、ヤッター！」慎ましやかに暮らす2隻を、『夜戦主義』のショドーがいかめしく見守っていた。 #KZNPLN

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「なあ綾波＝サン」「どうしました？」龍驤は質素な料理をモソモソとつつきながら、綾波に問うた。「あの絵、何なん？なんや、空母が発艦しとるような……」龍驤が指し示したのは、テンプルの本堂に飾られた大きなスミエだ。空母と思われる艦娘が描かれている。 #KZNPLN

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「ああ、あの絵はヤセン・テンプルに代々伝わるものです。なんでも、このテンプルを開いた軽空母が描かれているとか」「軽空母？ヤセンなのに軽空母が？」龍驤は首をひねった。夜戦は巡洋艦や駆逐艦のホームグラウンド。空母は蚊帳の外が通例だ。 #KZNPLN

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「まあ、私も又聞きの又聞きですから、よくは知らないのですが……」綾波は戦災孤児である。師の川内はかつて傭兵であったが、動力部を損壊し引退。戦地で出逢った綾波と共に、流れ着いたこのテンプルで暮らしていた。「なんでも、甲板が特別なのだとか」 #KZNPLN

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「かつてキョートには恐ろしい妖怪がおり、夜な夜な人々を襲っていました。そこへある日、黄金に光り輝く聖なるマキモノ飛行甲板をもった軽空母が現れました。軽空母は夜を照らす飛行甲板で妖怪を退治し、犠牲となった人々のためテンプルを建てました。このテンプルに伝わる伝承です」 #KZNPLN

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「ほへぇー」龍驤はぼーっとしながら伝承話を聞いていた。「何でしたら、見に行きますか？」「アイエッ？」龍驤が素っ頓狂な声で返事した。「聖なるマキモノ飛行甲板。実際にこのテンプルの、地下倉庫に保管されています。とても綺麗なマキモノですよ」 #KZNPLN

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重巡洋艦は左手を握り、開き、また握る。「どうです？実際違和感がないでしょう。我が社の最新鋭戦闘用義手、五式テッコ改二です」ツインテールの軽巡洋艦は仰々しく自社製品をアッピールした。「悪くない」「あたりまえよ。貴女の身分では、一生かけても手に入らない高級品だもの」 #KZNPLN

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「私は安物で良いと言った筈だ。予算もない」コンバットスーツの重巡洋艦は油断ない瞳で、恐るべき死の商人を見据える。「無償で構わないわ。前金よ」「前金？」「ええ、ランドグリーズ＝サン。我がオミナント・メディテック社から、貴女に依頼があるの。これはその前金」 #KZNPLN

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「……成程な。暗黒メガコーポ。噂にたがわず悪どい連中だ」傭兵ニンジャ、ランドグリーズこと重巡那智はふうと溜め息をついた。「私も安く見られたものだ。いいだろう。用件を言え」「アラ、クライアント相手に随分横柄なのね」「狭量な客は早死にしやすい。ウチの業界のジンクスだ」 #KZNPLN

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「……我々はある廃テンプルを探索し、安置された宝物を保護しなくてはならない。その護衛を頼みたいの」死の商人、五十鈴は言った。「何かと思えば、コソ泥のお手伝いか」「何とでも言いなさい。報酬は弾むわよ」「……いいだろう。カネさえ寄越せば、内容は問わない」 #KZNPLN

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日本最大の警備会社、オミナント警備。その裏の顔は、世界各国の武装勢力にカネで協力するＰＭＣ（民間軍事企業）。世に言う暗黒メガコーポである。オミナントは本社のＣＥＯ、原子力空母キョウリョク・カンケイを筆頭とし、その周囲を7隻の幹部艦娘が固める。 #KZNPLN

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彼女らはオミナント・アドミニストレイターと呼ばれ、各々が担当部署や傘下企業の代表を務める。オミナント系列企業、医療法人オミナント・メディテックの代表たる五十鈴も、恐るべきオミナント・アドミニストレイターの1隻だ。 #KZNPLN

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アドミニストレイター同士は一枚岩でこそないが、利害の一致で協力する事はままある。この日も、五十鈴は別のアドミニストレイターへ入電。協力を要請していた。『ドーモ、メディテックの五十鈴です。代表をお願いします』「アイエエエ！」電話妖精が失禁！ #KZNPLN

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妖精は腰を抜かしながら、代表の下へ電話機を届けた。「ドーモ、社長！五十鈴＝サンから入電です！」「アー？何だよ。クソメンドくせェー」代表室でくつろぐ駆逐艦は、気だるそうに眼鏡を直し、受話器をとり、会話した。「アー、ハイハイ。望月でぇーす」 #KZNPLN

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「……アー、アー。了解した。後始末すりゃイイんだな？」駆逐艦、望月は左右にはべらせた奴隷艦娘の首輪をぐいと引き、乱暴に胸を掴んだ。「ンアーッ……」『そうよ。話が早くて助かるわ』「参ったなァー、五十鈴ネエサンには頭が上がらねえや」奴隷艦娘には片腕と目玉がない。 #KZNPLN

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望月は机からガスマスクめいた物体を取り出し、奴隷艦娘の口に押し当てた。「ア……？アババーッ！ゴボーッ！」奴隷艦娘は口から血を吐き、死んだ。「アー、了解。メンドくせェから、毒ガスでイチモ・ダジーンでイイよな？どうせ、出すのはバイオ艦娘だろ？」 #KZNPLN

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「アー、アー、OK。任せとけって」望月は電話をガチャリと切り、奴隷艦娘の死体を投げ捨てた。「五十鈴＝サンにはお世話になってるからなァー。このコ、結構カワイイだったよ。前より質が向上してる！」望月は代表室の裏口を開けた。巨大航空機が出迎える。 #KZNPLN

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オミナント・アドミニストレイターは皆、互いにすら殆ど明かさぬ裏の顔をもつ。駆逐艦望月は航空機用の呼吸マスクを懐から取り出し、装着した。おお、ナムサン……。顔面を覆う黒いマスク。これは、何かに似てはいないか……？たとえばそう、メンポ……。 #KZNPLN