#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０６００【リヴァーサル・オブ・コンパス・オブ・フォーチュン】#5～#6

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】１２２５０６００【リヴァーサル・オブ・コンパス・オブ・フォーチュン】#5 #KZNPLN

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（これまでのあらすじ：マイヅル鎮守府総司令・長波の指揮するオミナント警備の電撃壊滅作戦は最終局面に突入。社内クーデターや大本営の思惑が交錯し、ついに残る幹部級以上の艦娘は異形バイオニンジャと化した五十鈴と、双胴空母ＣＥＯ姉妹が妹カンケイを残すのみとなった） #KZNPLN

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「イヤーッ！イヤーッ！」ロケット発射時の衝撃がいまだ抜けぬ薄明るい廊下に、鈍い打撃音が響く。「ハァーッ！ハァーッ！……イヤーッ！」ハガネ色の瞳をぎらつかせ、不知火は強化ゴム製ノンリーサル・カタナをコケシカット艦娘の頭部に強く振り下ろす。「マッタ！」「グワーッ！？」 #KZNPLN

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ノンリーサル・カタナによる過剰カイシャク攻撃は、突如間に割り込んだ巨大なドラム缶にヒットし、その反動で不知火は大きく後方へ跳ね飛んだ。「ア、アア」「落ち着いてください不知火＝サン！それ以上やったら、この子死んじゃいます！」不知火はへたり込み、ガタガタと震える。 #KZNPLN

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不知火のノンリーサル・カタナによるイアイ攻撃で、コケシカット艦娘、高波は既に意識を喪失していた。ドラム缶娘、春雨は不知火を警戒しつつ、高波の船体へと視線を落とした。手首や頭部などの少ない露出箇所だけでも、十数箇所の真新しい打撲痕が確認できる。異常なオーバーキルだ。 #KZNPLN

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不知火はマイヅル最高戦力の名に恥じぬカラテと、参謀早霜に次ぐ冷静な思考力を併せ持つ精鋭だ。春雨は恐怖した。ここに倒れているコケシカットの少女は、一体、不知火に何をした。不知火は一体、彼女に、何を見た。全身に薄ら寒いものを感じながら、春雨は2隻を缶内に背負い込んだ。 #KZNPLN

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ロケット発射の振動は、聴覚を奪われたゲノムレギオン艦隊の指揮系統をさらに撹乱した。「「アアアアア！オノレー！オノレーッ！」」猛り狂った暴風雨のごとく、あるいは、駄々をこねる幼児のごとく、ゲノムレギオンは咆哮とともに螺旋状に周囲を廻り、瓦礫を無作為に破壊していく。 #KZNPLN

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意思すら感じえぬ破壊そのものとなった怪物は、ただそれだけで、一個機動艦隊に匹敵する抑止力をはらんでいた。そこに、先刻までの余裕や謀略は感じられない。指揮系統の断絶。旗艦五十鈴は完全に孤立した。奴はもはや艦隊ではない。ただの雑多な艦の集合にすぎない。 #KZNPLN

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那智は身の丈ほどもある擲弾銃を担ぎ上げる。列車砲とすら見紛うその長大な銃身の最奥には、スケールサイズ80cm口径のVT信管榴爆弾。その構造は強大にして単純明快。今は亡きグレート・クジラ社の生んだ傑作対艦娘兵器、零式長筒重擲弾銃『マッコウクジラ』。 #KZNPLN

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那智はごく短いバースト通信を綾波に送信。『後ろに跳べ』。すぐに返答。『5秒後』。マッコウクジラの黒く静かな一ツ目が、怪物の頭部を睨みつけ、怪物もまた、蒼く虚ろな四ツ目で巨鯨を照準した。那智はカウントダウンを開始する。破壊の渦がこちらに迫る。3、4、巨鯨が天を仰ぐ！ #KZNPLN

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最大仰角で吼えたマッコウクジラの擲弾は、前方にカラテ破壊力を防壁じみて展開するゲノムレギオンをひと跳びに越え、その頭上、天井の穴に接近したことでVT信管が作動！榴弾片、爆轟、そして天井構造物の破砕片が絨毯爆撃じみて大艦隊に降り注ぐ！エアバースト！「「グワーッ！」」 #KZNPLN

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ゴウランガ！49cm砲斉射と先の銃撃戦で耐久限界を超えた天井装甲はマッコウクジラの一撃で破壊され、天から本物の夜空が降り注ぐ！暁を迎えつつある白んだ夜空が！その中心に、浅黒く影を穿つ駆逐艦あり！「ヤセン！イヤーッ！」綾波は破砕片と共に大艦隊の直上へ！ #KZNPLN

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「「ＡＡＲＲＲＲＲＧＧＧＨＨ！！！」」爆轟の嵐をうけ、大艦隊が悲鳴をあげる！(((動け！なぜ動かない！バカメ！)))旗艦五十鈴の叫び声が、彼女自身の心の闇へと虚しく吸い込まれてゆく。「先の爆撃で何隻沈んだ、旗艦殿。プランを練り直せ。戦略の基本は被害管理だ」 #KZNPLN

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「イイイヤアアアアアーーーーッ！」「アバーーーーッ！」綾波の右脚が、ゲノムレギオンの右頭部を踏み砕いた。続けざま、わずかな跳躍からの後方回し蹴りが左頭部を撥ね飛ばした。「ナムアミ、ダブツ」綾波は小さくオジギした。「……サヨナラ！」五十鈴の左頭部は爆発四散した。 #KZNPLN

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綾波は怪物の骸を蹴り、三回転して那智の傍らに着地した。そして深々とオジギした。「……ランドグリーズ＝サン、ありがとうございます」「気にするな。私も、お前とならやりやすい。昔を思い出す」「……そうですか」「そうだな。その奥ゆかしさだけは、似てないな。ハハ」ＤＯＯＭ！ #KZNPLN

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緩みかけたアトモスフィアを、轟音がシビアに引き戻した。2隻のニンジャはぎらりと殺気を纏い、背を合わせて音を睨んだ。頭部を失った怪物の骸が、4本の大腕を振り回し、瓦礫片を砕き割った。旗艦を失った雑兵の群れが、49隻98本の視線が、2隻のニンジャに殺到した。 #KZNPLN

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最早その艦隊は五十鈴ではない。恐らくは、オミナントですらない。あらゆる統制から解き放たれた無貌の艦隊が、ずかずかと、瓦礫を踏み砕きながらこちらへ迫る。「どうするヤセンスレイヤー＝サン。こいつは契約にないぞ」「では、追加報酬に期待しましょう」「いいね。稼ぎ時だ！」 #KZNPLN

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「想定内だ。放り置け」ドクロじみて真白い顔をカタカタと揺らし、不快感を催す四白眼がジロリと、レーダー上の大型飛行物体を指し示した。「大本営直下の戦力は本件になんら積極的関与を行わない。対オミナントは飽くまで長波以下のマイヅル戦力である。それが重大なのだ」 #KZNPLN

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真白い顔の艦娘はグルグルと上機嫌に司令室を徘徊し、部屋の隅々までもを丹念に不快感で満たしてゆく。「マイヅルがオミナントを潰す。潰される覚悟で潰すのだ。そして我等がマイヅルを潰す。そうあれかしと彼奴等が望み、故に羅針盤がそう指し示すのだ。斯くあるべしと路を指すのだ」 #KZNPLN

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オミナント本社から飛来する大型反応はスピードをさらに増し、ネオヨコスカ北の空港跡へと一直線に向かっている。「帝都近郊の迎撃準備は」「不要。オミナントもまたトランプを切った。死に急がせろ。世界は斯くも正しくあるのだ。正しくあれ。絶対の平和の礎となるがよろしい」 #KZNPLN