#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】12250444【ワイピング・ダムネイション・オール・アウト】#3~#4

ニンジャスレイヤーをリスペクトした艦これファンジンSSです。 舞風と野分、互いの運命を変える邂逅。 before:http://togetter.com/li/837266
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春魔解丼 @vespiking

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2015-07-15 23:04:14
春魔解丼 @vespiking

#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】12250444【ワイピング・ダムネイション・オール・アウト】#3 #KZNPLN

2015-07-15 23:04:40
春魔解丼 @vespiking

「ドーモ。野分です」「ランダマイザです」銀髪の駆逐艦と、長髪の深海棲艦はそれぞれオジギした。「ドーモ、秋月です」「朧」焼き鉄色髪の駆逐艦と、濃い茶髪の駆逐艦もそれぞれアイサツを返す。このような貧民街であっても、アイサツをしないのはスゴイ・シツレイにあたる。 #KZNPLN

2015-07-15 23:08:07
春魔解丼 @vespiking

野分は秋月の警戒を解きつつ、彼女が持ち込んだビズについて探った。秋月を案じていた朧は野分らに協力的であり、詮索を大いに助けた。ビズの内容はこうだ。オミナント警備社が、新兵器のテストをマイヅルで実施する。その影響力を、部外者の観点から評価し、担当者に報告する。 #KZNPLN

2015-07-15 23:20:19
春魔解丼 @vespiking

新型兵器の詳細は完全社外秘であるため、細かな指示は、秋月が話を聞いたという担当者より、現地で行われる。報酬は他言無用を絶対条件として、マイヅル工業区画における平均的な日雇い労働のおよそ20倍。これがメガコーポと貧民街の、金銭感覚の差というものか、あるいは。 #KZNPLN

2015-07-15 23:24:04
春魔解丼 @vespiking

「やめとこうよ。秋月=サン、アブナイだよ」朧が頭の中で言葉をこね回しながら、比較的中庸な表現をかいつまんで口から押し出す。「高いし、金額。何かあるよ。……たぶん」「大丈夫ですよ!この時代です!多少アブナイなビズをしなきゃ、飢え死にです!」秋月が快活に朧を否定する。 #KZNPLN

2015-07-15 23:27:47
春魔解丼 @vespiking

「フーム……」あたふたする朧を片手間にフォローしながら、ランダマイザの視線が野分に向いた。「どう思う」「そうですね……裏のある大企業ですし、胡乱な貧民を適当に使い走って……というのは、考えられなくは、ない。……ただ」「ただ?」ランダマイザはいぶかしんだ。 #KZNPLN

2015-07-15 23:35:37
春魔解丼 @vespiking

野分の濃く濁ったクロームシルバーの瞳はその時、その奥底に幽かな、だが力強い灯火を燃やしていたのを、ランダマイザは今でも覚えている。今までに感じた事のない、強く激しい情動の芽。野分は平時よりもやや力の籠った声色で、ぽつりと呟いた。「チャンスかも、しれない」 #KZNPLN

2015-07-15 23:42:19
春魔解丼 @vespiking

「チャンス?」「ええ。リスクは高い。でも」野分は両手の指を組み合わせ、強く押し付けあうように、手袋を指の根元まで押し込んだ。「オミナントの艦艇が来る。こちらに。こちら側に……」そこまで言い終え、野分の声が急にトーンダウンし、平時のそれに戻った。「打破する。現状を」 #KZNPLN

2015-07-15 23:50:22
春魔解丼 @vespiking

ランダマイザの違和感を、すぐに快活な声が押し流した。秋月だ。「そうですよ!アナタ話がワカル!ドラゴン・クエスト・ダンジョンというコトワザも」「タイガー」朧が横から割り込み、秋月の引用したコトワザの誤りを訂正した。口下手ではあるが、高いインテリジェンスを感じさせる。 #KZNPLN

2015-07-15 23:54:18
春魔解丼 @vespiking

「ここ最近、オミナントによる寡占がひどい。内部の人間と接触して、何か運よく探れれば、大収穫。もし割に合わないアブナイなら、そこで断る。担当者とやらに会ってみる価値は、十分にある」野分は秋月に続くように、饒舌に述べた。今にして思えば、らしくない言動だった。 #KZNPLN

2015-07-15 23:57:36
春魔解丼 @vespiking

「さっきは疑ってスミマセンでした!私たちは仲間です!是非ともヤマワケしましょう!」「アイ、ドーモ」ランダマイザは片手間に生返事しながら、朧を見た。知り合って間もない艦だが、彼女が秋月を案ずる心はどうやら本物だ。利害関係ではない。アブナイ・ビズなら止めるだろう。 #KZNPLN

2015-07-16 00:06:09
春魔解丼 @vespiking

秋月も朧に対し、かなりのソンケイを抱いている様子が見られる。ソンケイとは日本社会を支える重要な概念であり、いうなれば不可視の甲殊勲賞ポイントめいたシステムだ。ソンケイを持つ朧の口下手な部分を自分達がフォローすれば、秋月も諦める。水際で退くための要素は揃っている。 #KZNPLN

2015-07-16 00:11:36
春魔解丼 @vespiking

「……まあ、やってみる価値は、あるか」朧がぎょっとした目でこちらを見た。ランダマイザはまあ、待てのジェスチャーで朧をなだめた。「朧=サン。あんたは賢そうだ。だから撤退の判断はあんたに任せるさ。アブナイだと感じたら、即撤退。私らも命は惜しい。つまり、あんたの味方だ」 #KZNPLN

2015-07-16 00:16:20
春魔解丼 @vespiking

朧はまじまじとランダマイザを見た。そして何度か、品定めするように首をかしげ、そして頷いた。次の瞬間、ランダマイザはほとんど反射的にチョップを突き出していた。「……うん。強いなら安心。あ、カラテの話」朧は少し早口に呟いた。秋月は困惑していた。「今の、フェイント」 #KZNPLN

2015-07-16 00:23:23
春魔解丼 @vespiking

ランダマイザの首筋を、汗が伝った。朧は何もしていない。何もしていなかった。何故私はチョップを突き出した?「強いからだよ。安心した」止まった時の中で、朧はクスリと微笑んだ。「そうだね。ウン。やってみよう。ヨロシク。野分=サン、ランダマイザ=サン」 #KZNPLN

2015-07-16 00:28:25
春魔解丼 @vespiking

かくして半ば偶然の成り行きから、駆逐艦3隻に空母水鬼1隻を加えた奇妙な艦隊が結成された。旗艦は朧。これにはランダマイザも反論の余地はなかった。ある程度のカラテを自負していたが、朧のそれは次元がワンランク違う。本能的に、彼女に指揮権を委ねるべきだと感じた。 #KZNPLN

2015-07-16 00:35:46
春魔解丼 @vespiking

その後4隻は一旦解散し、いくらか鬱屈した日々が続いた。そして指定された日。指定の場所に、4隻は再び集った。恐るべき暗黒メガコーポから、希望を剥ぎ取る為に。これはハック&スラッシュだ。「ドーモ。少し増えたんですが、この4隻で希望します」「いいよ!多い方が助かるし!」 #KZNPLN

2015-07-16 00:39:39
春魔解丼 @vespiking

秋月がまずアイサツを通し、他3隻がそれに続く形で『担当者』にオジギした。「朧です」「野分です」「ランダマイザです」「ハイ!ドーモ!きょう皆さんの担当になる、オミナント警備所属、駆逐艦の舞風っていいまーす!くらーいアトモスフィアはニガテなので、明るくいきましょー!」 #KZNPLN

2015-07-16 00:42:25
春魔解丼 @vespiking

底抜けに明るい彼女の声色を転写したような黄金色の毛髪の下に、円く大きなエメラルドグリーンの瞳がはめ込まれた、さながらアンティーク・ドールめいた現実感のない輝きを放つ駆逐艦はくるりと一回転し、深々とオジギした。その一挙手一投足は一同に、否応無く別世界を感じさせた。 #KZNPLN

2015-07-16 00:49:33
春魔解丼 @vespiking

#完全ノープラン艦これ与太話 【イン・ザ・ファイナル・デイ・オブ・オミナント】12250444【ワイピング・ダムネイション・オール・アウト】#3続き 前回:togetter.com/li/847784#KZNPLN

2015-07-29 22:05:11
春魔解丼 @vespiking

オミナントからの使節、駆逐艦舞風は間延びした口調でミッションを解説する。「えっとねー、まず、今回のお仕事は新兵器のテストです!とっても大きな、スンゴーイのが出てくるので、それを皆で観察しましょーう!」催眠術めいたテンポで踊る彼女の声は、不可思議な高揚を生じさせる。 #KZNPLN

2015-07-29 22:12:34
春魔解丼 @vespiking

ランダマイザは警戒状態を維持した。電探反応に異常なし。ケチなニンポやテックの小細工ではなかろう。恐らくは天賦の才。気を緩めれば、どこで足を掬われるかわからぬ。「で、これが地図でーす!ハイ、ちゅうもーく!」(((大丈夫)))左舷から、幽かな声。朧だ。 #KZNPLN

2015-07-29 22:22:34
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