FF6二次創作SS:鎮魂のアリア~7回目

ここから後半に入ります。…ちなみに、ピクシブに上げた分では次に更新予定の箇所までが中編でした。 第一回目:http://togetter.com/li/707429 前:http://togetter.com/li/742392/次:
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みなみ @minarudhia

「まさか、女が、人間じゃなかったとはな。蛇どころの騒ぎじゃないぜこれ………トンボって、本当の名前じゃなかったのか」 ―――――

2014-11-22 23:23:51
みなみ @minarudhia

私の中にあれがある以上、私に安寧の未来はないわ 私を生かしているのはあれに封じられたモノの力、かりそめの命となる魔力 あれがある以上、周りで生きている全ての者の命を奪ってしまう

2014-11-22 23:25:27
みなみ @minarudhia

時を永らえて生きる者達との付き合いに、誰にも関わらずに生きることに疲れてしまったの …ずっと長い時を知識を追い求めて次元から次元へ、異なる世界から世界へ移る事にのみ費やし、戦いの中に身を置いてきた

2014-11-22 23:26:53
みなみ @minarudhia

ずっと、あれを私の中から取り除き、この永久にも等しい災いの継続の鎖を断つ方法を探し続けていた 子供の頃に冒してしまった滅びの所業に泣いて誓ったこの誓い… でも、そのためには孤独を自ら強いることが必要なの……わかるでしょう?

2014-11-22 23:28:24
みなみ @minarudhia

短い命を持つ者との間にぬくもりを感じるたびに、この誓いを改めて確認していたけれど でも、今はただ寂しい、胸が痛い 初めて共にいたいと思う人を見つけたから 陽のように暖かく、強い心を持つあなたなら、きっと……

2014-11-22 23:30:15
みなみ @minarudhia

「輝竜…ワシも伝承を幾つか聞いてはいたが、生きているうちにかの姿を見ることができるとは思わなかったゾイ」 「しかし、なぜ、人間の姿に?」

2014-11-22 23:32:23
みなみ @minarudhia

「伝承の中に、かの竜が人の姿に変ずることができるというものがあったからじゃ。しかし、ケフカと三闘神によって引き裂かれたこの世界でなお輝竜が生きていたことが、ワシには…」 「はいはい。…でも、びっくりした。どー見ても人間業じゃないとあの時思ってたけど…」

2014-11-22 23:35:09
みなみ @minarudhia

リルムは言いながら、トンボ…いや、フィストにぺこりと頭を下げていた。 「あの時はありがとう。でも、どうして黙ってたの?」 「……あまり、知られても、恐がられると思って。でも良かった」 フィストはリルムに微笑みを投げかけ、それからまたマッシュの方を向いた。

2014-11-22 23:36:57
みなみ @minarudhia

「…ごめんなさい」 「いや、忘れていた俺が悪かった」 「いいの、別に。……それより」 哀愁を見せる白銀の竜は、しかしその目を鋭く光らせていた。

2014-11-22 23:39:03
みなみ @minarudhia

「それよりも重大なことがある。魂鎮めの唄を二度も失敗してしまった…彼の魂を冥府に送り出す方法の中でも最もこれが一番魂にとって安らかな方法だったのに…」 「一体あなたは何を」 セリスが言いかけた時、フィストがハッとした様子で首を男達の方へ振り向けた。

2014-11-22 23:40:54
みなみ @minarudhia

二三人程はわずかに動いているが、他は物言わぬ屍になっている。 「しまった、すぐに死体を…」 「え?」 フィストの前脚が上がり、その掌の上に浮かび上がる小さな炎にダンチョーが慌ててわめく。

2014-11-22 23:44:45
みなみ @minarudhia

「こ、このオペラ座を燃やさないでくれ!!誰か、誰か止めてくれ!」 ―――その時。 全員は首筋に冷たいものが這い上るのを感じた。 それは、あの時感じたものによく似ていた。 ――ヘンリー・マクシムの死体が立ち上がる直前のあの違和感に。

2014-11-22 23:46:05
みなみ @minarudhia

もぞり 「!」 ある死体が蠢く。 それに気づいたティナが小さく悲鳴をあげて退いた。 「まずい!」 「や、やめろ!」 「なっ」

2014-11-22 23:49:06
みなみ @minarudhia

炎を放とうとしたフィストだったが、ダンチョーがわめきながら彼女の前脚にとりつく。 そのおかげで彼女は完全に炎を出すことができなくなった。 ダンチョーを力づくで払いのけることもできずにいる彼女の耳に、絶叫にも等しい声が届いた。 「スコットォォオオオオオオオオオオオオオオ!!」

2014-11-22 23:50:30
みなみ @minarudhia

叫びをあげながら立ち上がったのは、先程フィストによって両手首を曲げられていた男だった。 その手首はぶらぶらとだらしなく振られ、腹は大量の血にまみれそこから白いものが数本突き出ている。 目は異常なほど落ち窪み、口からは唾に混じり血の泡が吹き出した。

2014-11-22 23:52:57
みなみ @minarudhia

「ひいっ!」 その様子を見たダンチョーがフィストの前脚にさらに取り付く。 異常な状況に対応しきれず自分が何をしているかわかっていない。 「誰か―――誰か、ジュリアス・フーパーを止めて!!」 「ジュリアス!?」

2014-11-22 23:54:23
みなみ @minarudhia

その瞬間。 死体は尋常な程素早く動いたかと思うと、背後に開いていた窓に向かって跳躍した。 「…っ…どいて!!」 ダンチョーを力を加減しながら跳ね飛ばし、炎を死体に向かって飛ばす。

2014-11-22 23:56:51
みなみ @minarudhia

炎は矢のような形状に変化しながら飛んでいくが、それよりも早く死体が窓から外へと飛び出していた。 炎もそのあとを追うように飛んだあと、何かが焦げるような匂いが風に乗って漂ってきた。 「しまった…!」

2014-11-22 23:58:29
みなみ @minarudhia

フィストが窓へ走りより、前脚を窓枠に掛けて乗り出す。 その後ろからロック達が走り寄る。 「おい、今お前、ジュリアスとか名前を言ってたが…」 セッツァーが言葉をかけたが、フィストは彼の方を向くやその目を見据えて答えた。 「あなたに一つだけ訂正をさせていただきたいことがある」

2014-11-23 00:00:09
みなみ @minarudhia

さっと光が彼女を包み込み、縮小する。 黒髪を風になびかせ、銀の瞳を細めながら彼女は言う。 「役者はまだ後三人揃っていない。二人はすでに故人のジュリアス・フーパーとヘンリー・マクシム。残りの一人は今ジュリアス・フーパーが殺そうと居場所へ向かっている人物―――パック・スコットよ」

2014-11-23 00:01:29