俳誌を読む by @k551_jupiter さん

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青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

今月の俳誌「円虹」12月号の連載は、尾崎放哉と山口誓子の「手」に関する作品を取り上げつつ、俳句がどのように人との別れを詠んできたかを綴りました。機会などございましたら、ご一読下さい。

2010-12-06 20:40:13
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

また、俳誌「秋草」(山口昭男主宰)12月号に「『ホトトギス雑詠選集』礼讃」として、高浜虚子選の「ホトトギス」雑詠欄の魅力や特徴を綴りました。機会などございましたら、ご一読下さい。

2010-12-06 20:42:20
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

また、俳誌「翔臨」(竹中宏主宰)69号に、連載「批評家達の「写生」(三)」として保田与重郎の正岡子規観を取り上げつつ、私たちが抱きがちな「写生」のありかを論じさせて頂きました。機会などございましたら、お読み頂ければ幸いです。

2010-12-06 20:45:41
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

俳誌「翔臨」が連載している「わたしにとって「有季定型」とは」シリーズ、今回の69号では加藤かな文さんの「「私から最も遠い私」から遠く」でした。これがまた、素晴らしい。

2010-12-06 20:49:08
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

「語るべきことなど何も持ち合わせていないという事実を前に、以後口をつぐむために俳句形式を選んだに違いない。(略)いわば人生の店仕舞いとして私は俳句をつくり始めた気がする。私と俳句との愛はこうして始まった」(加藤かな文)。と同時に、「「語れない」はずの私達はお喋りが止まらない」。

2010-12-06 20:56:08
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

「語るべきことなど何も持ち合わせていないという事実を前に、以後口をつぐむために俳句形式を選んだに違いない。(略)いわば人生の店仕舞いとして私は俳句をつくり始めた気がする。私と俳句との愛はこうして始まった」(加藤かな文)。と同時に、「「語れない」はずの私達はお喋りが止まらない」。

2010-12-06 20:56:08
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かな文さんの文章には、「有季定型」になぜ携わっているのか、その意味がついには存在しないことに対する言い訳や納得、あるいは俳句そのものに対する逡巡や願望が見え隠れしている。そして、いくら否定しても拭いようのない自己表現、その中身の貧しさと空虚さとを、微妙な肯定とともに吐露している。

2010-12-06 21:04:56
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

かな文さんの文章には、「有季定型」になぜ携わっているのか、その意味がついには存在しないことに対する言い訳や納得、あるいは俳句そのものに対する逡巡や願望が見え隠れしている。そして、いくら否定しても拭いようのない自己表現、その中身の貧しさと空虚さとを、微妙な肯定とともに吐露している。

2010-12-06 21:04:56
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

しかも、かな文さんは「有季定型」の枠組を守って自己表現を続けることに、全く答え(または必然性)を見つけられていない。下手に理屈をつけることなく、開き直るでもなく、最後まで「そういえば何でだろう…」と歯切れ悪いまま筆を置いている。それこそ「有季定型」のありようではないか、と感じる。

2010-12-06 22:02:48
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

表現すべき必然性のない人間が、それでも表現=有季定型を捨てられない小心さ、それが文章の歯切れの悪さそのものに現れている。あるいは、句作をやめた時に否応なく現れる「語るべきもののない私」に直面することを避けようと、沈黙を恐れるように俳句業界に携わり続ける、その諦めと居直りも。

2010-12-06 22:34:34
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

かな文さんご本人にとっては、「わたしにとって「有季定型」とは」というテーマは、答えようのない厄介なテーマだった…はず。なぜなら、この問いを正面から受け取ると、「答えようがない」ことの厄介さというより、「答えるべき何ほどのものも「わたし」は持ち合わせていない」ことが露呈するからだ。

2010-12-06 22:45:30
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

それにしても、実作者に「わたしにとって「有季定型」とは」というテーマを投げかけるとは、竹中さんも人が悪い(?)。「「有季定型」とは何か」であれば、それらしい理屈や答えも付けられるが、「わたしにとって「有季定型」とは」と投げかけられると、これはもう逃げようがない。

2010-12-06 23:01:39
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

「わたしにとって~」とあるので、とどのつまりは自分という俳人のあり方を語る以外になくなる。そうなると、自分が何をもって俳人たるべき信条としているかを語ることに直結してしまう。すると、日頃だましだましやり過ごしてきた厄介な問題と向き合わざるをえない。

2010-12-06 23:07:00
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

話は変わるが、50年、100年後に俳人が平成期俳句を振り返った時、彼らがかな文さんの一文―「語るべきことなど何も持ち合わせていない」ために「有季定型」を選んだ(ことにする)―を目に留めたとしたら、それだけで平成俳句の風景が違って見えるのでは、と感じられる。

2010-12-06 23:19:04
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

「平成期のある俳人達は、何も好きで月並句を詠み続けたわけではなかったのだ、それも十分に自覚していながら、さりとてそれ以外の自分や劇的な時代変革が訪れるわけでもない、それならば平凡であり続けるしかない。その諦めとあがきの上での類想句の山なのだ」と、見てくれるかもしれない。

2010-12-06 23:26:12
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

かな文さんの「翔臨」69号掲載文、個人的にヒットだったので連投してしまいましたが(すいません)、「月並から逃れきれるような「わたし」が存在しないのなら、せめてそのことを意識し続けることが「わたし」の務め」という現状認識は、図らずも時代の象徴にも感じられ、感銘を受けました。

2010-12-06 23:56:14
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

かな文さんの「翔臨」69号掲載文、個人的にヒットだったので連投してしまいましたが(すいません)、「月並から逃れきれるような「わたし」が存在しないのなら、せめてそのことを意識し続けることが「わたし」の務め」という現状認識は、図らずも時代の象徴にも感じられ、感銘を受けました。

2010-12-06 23:56:14
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

月並云々というのは、研究者的には(ある意味)気軽に指摘できることかもしれないが、それなりに俳句に打ち込んだ実作者が自身を月並と認める文章を記すのは、かなり苦渋の選択だったのでは。「作品=オリジナルの傑作」信仰を抱く現代の実作者としては、認めてはいけない最後のラインに近いはず。

2010-12-07 00:08:47
青木亮人@『さくっと近代俳人入門』(マルコボ)発売中 @k551_jupiter

しかも、最初から開き直った形で認めるのではなく、「月並=語るべきもののない「わたし」」を一種のポーズとして提示しようとしながら、それが図らずも本当の姿をさらけ出してしまっているところに、実作者としての誠実さが感じられた。何にせよ、さまざまなことを考えさせてくれる一文でした。

2010-12-07 00:21:22