- katakombetokyo
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(公式サイトより転載)
TYM344 (ティー・ワイ・エム・スリー・フォー・フォー)
美術家、漫画家。
「絵を描くこととは、決定された画像をつくること」として、道路標識から秩父連山まで
あらゆる不動物を手本にして、二値化された非・動画的な絵画を目指す。
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現代における絵画の絵画性とか、古くさいことを考えています。
これは今年の3月に「新井のアイちゃん展!」という個展を中野のmeee Gallery Tokyoで行ったんですが、その時につくった作品ですね。
2014-12-31 00:30:31その前に「新井のアイちゃん展!」の話ですが、meee Gallery Tokyoは当時まだオープンして半年もたっていなくて、近所だったので知り合いになりまして、何かやってみませんかということで企画した展示です。meeeは中野の「薬師あいロード」という商店街にある貸しギャラリーです
2014-12-31 00:33:45新井薬師の薬師さまは眼病に効くといういわれがあることから薬師あい(eye)ロードだそうなのですが、meeeはそれを引っ張っていて、私の漫画のキャラクター「アイ」も同じくそこから引っ張ってきていて主人公も中野区新井に住んでいる設定だったので、場所がばっちりだったのですぐ決めました
2014-12-31 00:37:35この作品はロイ・リキテンスタインのGirl in Mirrorという作品から構図を持ってきています。画面左側は女性の後頭部で、右手に持った鏡越しにカメラ目線の女性の笑顔を観ることができますが、これは女性の顔そのものではなく鏡に写った像ということになります
2014-12-31 00:41:49鏡というのは美術史の中でたびたび見つけられるアイテムなのでいつか描きたいと思っていて、さてではどうするかとアイディアを探していたのですが、リキテンスタインは鏡の中と外のあまりの違いの無さがおもしろかったのでこれをベースにしました
2014-12-31 00:44:49さて、私の絵ですが、そのころちょうど妹がiPad miniを買って使っていたので、あ、これって鏡だと思ったんですね。鏡は像を転写する、もっというと転送するもので、鏡というのは古来からそういうデバイスなんですね。
2014-12-31 00:48:46じゃあiPad miniを「鏡」と呼んでもよいだろうと思って。それで瞬時に構図が決まりました。アイがiPad miniのFacetimeで悠と会話をする、そこで鏡の中に2人の人間が描ける。これは1960年代にはない構図、けれども鏡の系譜につなげてよいんじゃないかな?という絵です
2014-12-31 00:52:24Facetime(じゃなくてもskepeでもよいんですが)は自分の顔がうつるので直接的に鏡とも言える。そして本来鏡であれば自分の顔が映るところに相手の顔がある
2014-12-31 00:56:30ちなみにiPadなどでFacetimeをすると下からのアングルになりがちで、この2人の顔もSっぽいところがこの絵の特徴です。結局描いていてそういう収穫が楽しかったりします
2014-12-31 01:04:40これも「新井のアイちゃん展!」のために描いた、小品です。絵画画面の中にいる人物の視線の問題と、作品の正面性の問題をよく考えるんですけど、これはその2つとも扱っているものです。
2014-12-31 01:11:36まず画面左にはアイがいて、絵を正面から観ています。この絵はジャスパー・ジョーンズの「ターゲット」で、具体的には軽井沢のセゾン現代美術館にある1974年のターゲットです
2014-12-31 01:13:13あ、ジャスパー・ジョーンズの話をザザッとしますが、ネオ・ダダとよばれている潮流の作家で、抽象表現主義を批判的に引きずりつつ卑近な具体物を描くという、乱暴に言うとポップアートの前段階みたいな位置にいる人です。まだご存命です
2014-12-31 01:17:24ジャスパー・ジョーンズは、「描いた瞬間それそのものになるような、オリジナルが存在しないもの」をモチーフに選ぶという大きな特徴があります。例えばキャンバスいっぱいに合衆国国旗を描く、そうするとそれは合衆国国旗でしかない。ここには「対象の再現としての絵画」という関係性もない
2014-12-31 01:22:21