「信号は赤になった」から始まる140字小説はどうですか？ #信号は赤になったで始まるSS

ゴロぉ @redmane_rider

信号は赤になった。横断歩道の前で僕は立ち止まった。走れば間に合ったなと思った。仕方なく押しボタンを押して待つ。後ろからもう一人信号待ちの人が来た。彼はしばらく僕と押しボタンを見比べてから、押しボタンを押す。すぐに信号が青になった。彼は僕を見てちっと舌打ちをし、信号を渡っていった。

くさかべかつ美 @kusakabekatsumi

信号は赤になった。カメラがキューを出す。 ププ族の青年フフは戸惑っていた。 日本人ディレクターはさっき、赤信号を見て驚けと言ったが、現代ププ族の生活には電気が浸透しているため、珍しくも何ともない。 「うわあ、あの信号、LEDだあ」 フフのコメントに、現場は苦笑いを隠せなかった。

じんのすけ☆ @Jinnosuke_Ao

信号は赤になった。直江の運転する車が止まる。助手席に座る高耶は直江から顔を背け、車窓の外を眺めたまま。乗ってから一言も口を利かない。二ヶ月ぶりやっとの逢瀬に高耶は拗ねている。直江はふいに彼の太腿に不埒な手を這わせた。驚いた高耶がこちらを向けば、後はその唇を塞ぐだけ。機嫌直してと。

akaei_nova @akaei_nova

信号は赤になった。ため息をコーヒーで流し込む。 「あなたの負けね」笑いを含んだ通信が入る。 「だから賭けにはならないと言ったでしょうに…」内心舌打ちが毀れる。 「乗ったのはどっち？」 今頃雇われ警官が落胆しているだろう。 数秒前に情報を買ったバカな女盗賊が赤いシミになった場所で。

にひるさん@ゆね @nihiru3

信号は赤になった。隣で君はマフラーで顔を隠しながら僕の方をちらちら見てる。こんな時どんな話をすればいいんだ？目的地だって決まっててそこへ向かってる途中だ。｢あ、雪降ってきた｣君が空を見ながらちらつく雪に手を伸ばす。信号は青になり僕はその伸ばした手を自分のコートのポケットに入れた。

鮭 @umemasita

信号は赤になった。私はゆっくりと立ち止まり、動き出した車の向こうで揺れる金髪をじっと見つめた。横断歩道の向こう側、先に信号を越えてしまった彼女は私に気付くこともなく歩いて行く。きっともう追いつかないだろう。ほっと一つ息を吐く。――良かった、これで彼女を追いかけない理由が出来た。

鮭 @umemasita

信号は赤になった。我が家に帰る一つ手前、この横断歩道は私が帰る時はいつだって赤になる。早く帰りたいのを邪魔するなと心の中で毒づいた。とはいえ完全に憎み切れないのはあれが赤信号だからだ。赤色、それは私にとって特別な色だ。私はメイコさんの色でとうせんぼする信号機を見ながら足踏みした。

鮭 @umemasita

信号は赤になった。俺は緑になればすぐに渡れるように前を向いていたが、隣のリンはなんだかそわそわと落ち着かない様子で横を見ている。「どうしたんだよ」と訊ねると満面の笑顔で黄色になった信号機を指さした。「あたし達の色だね、リンリンシグナル！」なんちゃって、と舌を出す。…くそかわいい。

らいちーら @lycheeeele

信号は赤になった。どうしよう、これでは彼に追いつかれてしまう。早く、早く青になって。私は祈るように色が変わるのを待った。信号は青になった。やった！再び走り出そうとしたとき、不意に誰かに腕を掴まれた。体が硬直する。「ファイツちゃん、どうして逃げるの？」#信号は赤になったで始まるSS