デヴィッド・ボウイに仕掛けられた坂本龍一の魔法

例によって楽曲分析です。
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It happens sometimes @ElementaryGard

_The Seed and Sower_出だしを分析。映画では独房のボウイをめぐって日本兵どうしが格闘になる場面でなる。これもファ(サブドミ)にラレミが重なるヴォイシング。それを増四度で進行させていく。楽譜だけで分析するともう全然訳がわからない。実際に指を置いてみるとわかる。

2015-01-27 15:23:50
It happens sometimes @ElementaryGard

テーマ曲の♪レミレラレ~♪部分を縦に圧縮すると、ファ+ラレミの連なりになる。この和音(というかヴォイシングが)映画のなかで何度も何度も変奏される。_The Seed and Sower_もそう。

2015-01-27 19:28:20
It happens sometimes @ElementaryGard

んジャんジャ、んジャんジャ!と鳴りますこの楽譜部分。最初の「んジャ」はまず左手が「ん」ですかさず右手が「ジャ」と続く。左手がファ+ファ(一オクターヴ高い)、右手がラミラ。レが抜けてはいますが先ほどのヴォイシングの音です。

2015-01-27 19:31:45
It happens sometimes @ElementaryGard

二度目の「んジャ」は一度目のより増四度高い。増四度は不安定さを演出するときの定石。

2015-01-27 19:32:46
It happens sometimes @ElementaryGard

左手はシ+シ(一オクターヴ高い)、右手は♯ラ+♯レ。このシ+シ+♯ラ+♯レの縦の連なりを増四度「下」に移すと、ファ+ファ+ミ+ラ…ああ、ファ+ラレミの連なりと同じ音を使っています!

2015-01-27 19:36:06
It happens sometimes @ElementaryGard

反対にファ+ラレミを増四度「上」に移すと、シ+♯レ+ファ+♯ラになります。坂本教授は左手用に「シ」(とその一オクターヴ高い「シ」)を使い、右手用に♯レと♯ラを選んでファは鳴らさなかった。なぜだかわかりますか。

2015-01-27 19:39:07
It happens sometimes @ElementaryGard

楽譜をもう一度見てみましょう。一度目の「んジャ!」では白鍵の音しか鳴らない。二度目の「んジャ!」でも「ん」は白鍵。ところが「ジャ!」で右手に黒鍵が鳴る。 pic.twitter.com/Uh2V7l0AID

2015-01-27 19:40:47
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It happens sometimes @ElementaryGard

白い世界に一瞬黒が混じることで、耳が反応するのです。「ん?何か混じったぞ」と。

2015-01-27 19:41:22
It happens sometimes @ElementaryGard

まとめてみます。①ファ+ラレミが映画『戦場のメリークリスマス』を貫く響き。テーマ曲からしてそう。②この音の響きが増四度で連結されると、不安が演出される。③さらにそこに黒鍵の音(つまり異物)が混じることで耳が反応する。

2015-01-27 19:43:56
It happens sometimes @ElementaryGard

小さい子が鍵盤をでたらめに叩いてるように聞こえて、ところが一貫した知性を感じさせる…そういう曲。そこに心惹かれる_The Seed and Sower_。ここでいう「一貫した知性」とは?何とか見切った。 pic.twitter.com/MKUhW04r9q

2015-01-28 23:05:46
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It happens sometimes @ElementaryGard

ハ長調(イ短調)に移調して鍵盤を叩くとわかる。たぶん龍一教授は Ⅵⅿ→Ⅶⅿ→Ⅲ/Ⅵ (Ⅰⅿ→Ⅱm→Ⅴ/Ⅰ)と弾いています。二つ目で破調して黒鍵の音が混じる。三つ目でも黒鍵の音が鳴るけれどⅢはドミナントの構成音ということで曲は元の調に戻るのです。

2015-01-28 23:29:43
It happens sometimes @ElementaryGard

Ⅲ/Ⅵは不可解に思えますか。そんなことはないと思います。『戦メリ』はⅡm→Ⅲ/Ⅵが随所に響く。坂本は「レクイエム」と後に解題しています。

2015-01-28 23:32:39