隆平　長編

クラゲ @04kurage

#101-1 ① 『丸山ー！全然飲んで無いじゃないかー！飲めー！』 「え、ええ…」 同期で経理のカスミちゃん 飲み会では可愛く 『飲めませーん』 何て言ってカクテル系のお酒しか飲まんのに 今はビールをジョッキで6杯目 『ふぁー！お代わり！』 あ、7杯目 こんな子やった？

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#101-1 ② 「もうやめとこ」 『うっさい丸山！』 この前までのカスミちゃんは か弱くて 可愛らしくて 『そんなことないですぅー』 何て言いつつ 狙った男は落とす感じ 大倉を狙いつつ 渋谷さんとおイタしちゃうような the肉食女子 「やったはずやねん…」

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#101-1 ③ 同じく同期の女の子と渋谷さんをくっつけるために協力してって頼まれて 2人が上手くいったお祝いに 彼女には不釣り合いな大衆居酒屋 『私は嬉しいのよ丸山！』 「せやな」 『でも…』 “私も幸せになりたいな…” 「え？ちょっと？おーい」 あかん… 寝てもた…

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#101-1 ④ カスミちゃんの家なんて知らんし 「おーい。とりあえずタクシー呼んだから帰るぞ」 彼女を立たせて歩く 『丸山ー！もう一軒！』 「行かへんわ」 普段きっとカクテル系のお酒をチビチビ行くのに ビール何て飲むから… タクシーに乗せるとすぐに寝た彼女

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#101-1 ⑤ 仕方ないし俺の家に連れて帰る ベッドに乗せても全然起きひんし 「おやすみ」 俺はソファでそのまま眠った ーーー 『…山…丸山…』 「ん？あ、おはよう」 『あの…』 「あぁ。潰れたし家わからんで連れてきたで」 『そう…ごめん』 「ええよ」

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#101-1 ⑥ 彼女はそのまま帰って行った 週明け 村上さんに渋谷さんが手作り弁当広げてるし 大倉は彼女とイチャイチャ中やし 1人外に出る 『丸山…』 「あ、お疲れー」 『1人？』 「うん」 『そうか…良かったら一緒に行かない？』 「え？」 2人でランチ… なんで…？

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#101-2 ① 目の前で蕎麦すする彼女 『丸山が行くところ連れてってよ』 って言われてもこんな店しか知らんし 確かにここはお母さんかやってる店やで何食べても美味しいねん やけど 彼女とは似合わん気がするねん… いやいや 俺と居るのが似合わんねん

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#101-2 ② 『何？』 「え？ううん。何もないで？」 『丸山さ、私の事変わったって思ってる？』 「え？」 はいって言ってええんかな… 「ちょっと…」 『正直だよねー。丸山って』 「まぁな。嘘はつけんねん」 『じゃあ私の事どう思ってるの？』 “ゴホッ、ゴホッ”

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#101-2 ③ 「どうって…」 『まぁ確実に女には思われてないんだねー。あの時手つけなかったし』 「それは…寝込みを襲う趣味がないだけで…」 『ははは。冗談』 彼女はゆっくり話を始めた 『大倉君の事も渋谷さんの事もそれなりに本気だったんだけどなー』 お茶を飲みながら話す彼女

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#101-2 ④ 『大倉君もあの子だったじゃない。ちょっと悔しくて維持になってて。でも落ちなくてたまたま行った飲み会に渋谷さん居て。遊びってわかってても優しいじゃんあの人』 「じゃぁ何で葛西さんとの事…」 『渋谷さんが言ってくれたから頑張るのやめれたんだ』

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#101-2 ⑤ “だから感謝してるの” と言った彼女 俺が勝手に偏見を持ってただけで 素直なええ子なんやって思った 『また飲みに行こうよ！今日のお店も美味しかったし』 って言って可愛い笑顔を向けられる あの日やって危なかった何て知らん彼女

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#101-2 ⑥ 彼女をベッドに寝かして チラッと見ると 可愛い寝顔があって “良かったねー” 何てニコってしたのを見たら 自然と顔近づけてたけど “丸山ー…” って彼女が寝言言ったから ハッと我に返った あの後も結局悶々しながら眠れんかったし 「言ったら殴られるな」

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#101-2 ⑦ 『ん？』 「何にもないで」 『あ、LINE返してよねー』 「お、おう」 それから何でかこまめに来るようになった連絡 ただの暇つぶしやんな 男おらんから俺で遊んでるんやんな？ 目の前でまた豪快にビール飲んでる彼女を見て探る俺 『丸山…帰りたくない…』

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#101-3 ① いやいや… 酔ってるだけやろ… 「ちゃんと今日は自分の家帰りや」 彼女が寝てしまわん間にタクシーに乗せる 「はい。家の場所は？」 『丸山んち』 「もう、あかんって…」 『いいじゃん。どうせ女として見てないんでしょ』 何て言った彼女

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#101-3 ② ちゃうよ 高嶺の花やから意識せんようにしてたんやん 「もし女として見てるって言ったら。それでも俺についてくるん？」 彼女は驚いた顔をした 「運転手さん、○○まで」 “はい” 走り出したタクシー 彼女は下を向いている 「さっきの元気どこいったん？」

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#101-3 ③ 『そっ、それは…』 彼女の手を握るとビクッとして俺を見た 「カスミちゃんこそ俺の事男として見てへんかったやろ？」 『そんな事…』 彼女の頬に手を当ててちゅっとキスをする 『丸山…』 俺酔ってたっけ？ まぁええや 酔ってるフリしよう

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#101-3 ④ タクシーから降りて 彼女の手を引いて部屋に ドアを開けて中に押し込む 振り返った彼女を抱きしめてキスをする 『待って…んっ…ここじゃ…』 「あかん？」 ゆっくり頷いたから 彼女抱えて寝室に運ぶ 寝かせた後 自分の着てる物の上だけ脱いでベッドに上がる

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#101-3 ⑤ 『ねぇっ…本当にするのっ…？』 「ここまで来て嫌とかなしやで」 そう言って彼女に被さる キスを深くしていくと戸惑いながらも舌を絡ませた彼女 そこからはもうむちゃくちゃにした 採用試験の時 道迷ってわからんくなった時 『そこ、私も行くんで一緒に』

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#101-3 ⑥ そう声を掛けてくれたんが彼女やった 入社式で見かけた時嬉しくて 彼女も覚えててくれたのか 『あの時のですよね？』 何て言って微笑んだ彼女に一目惚れしてん でも可愛いし直ぐに1個上の先輩と付き合いだしたし そのあとも彼女の目が俺に向くことはなかった

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#101-3 ⑦ 疲れて眠った彼女を抱きしめて 「好きやって言っても相手にしてくれませんか？」 でも伝えるだけでも… 君が目を覚ましたら… そう思って眠った…

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#101-4 ① 朝起きて おはようって言って ちゃんと想いを告げる フられてもええし その方が次に進める気がして そう思いながら迎えた朝 「え…なんで…」 隣にはもう彼女は居らんし “泊めてくれてありがとう” 何てメモだけが残ってる部屋

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#101-4 ② “なんで帰ったん？” ってLINEしたけど既読にすらならへん 会社でも全然会わへんし 「あーもう！なんやねん」 ってパソコンに八つ当たり 「丸ちゃんがイライラとか珍しいやん」 「え？うん。色々あんねん」 「何ー？話聞こうか？」 幸せ全開の大倉

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#101-4 ③ 言ってもノロケられて終わりやし 「別に何もない」 「えー気になるやん」 無視して昼休みに向かう 目の前にいる渋谷さん 「渋谷さん」 「何や丸。飯か？」 「はい」 「今日弁当ないねん。久々行くけ？」 「はい！」 渋谷さんなら何か知ってるかもしれん

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#101-4 ④ 「あのー渋谷さん」 「なんや？」 「カスミちゃんと葛西さんって仲いいんですよね？」 「え？あぁ」 「あのー」 「何も知らんで」 「そうですよね…」 「何も知らんけど、今日二人仕事終わりに○○ホテルのディナーブュッフェに行くらしいで」 してやったりの渋谷さんの顔

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#101-4 ⑤ 「ありがとうございます！」 「借りは返したからな」 死に物狂いで仕事を終わらして やっとの思いでホテルに向かう 渋谷さんの計らいで葛西さんが遅れる事にしてくれて 彼女が待ってるはずのラウンジに向かう 「カスミちゃん！」 『丸山…』