すばる長編

渋谷課長の恋
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クラゲ @04kurage

#100-1 fromすばる① “渋谷さんは結婚しないんですか?” ってついこの前に後輩に聞かれたけど そんな気も無い 独占欲とかそんなんも重いやん ドライにいきたいやん 付き合うとかもいらん 最悪飲んでお持ち帰りで一晩だけもぎょうさんおったし “すばるー今日ひま?”

2014-11-07 20:06:10
クラゲ @04kurage

#100-1 ② 何て週末にくる誰からかの連絡 女には困って無いし 別に恋愛したいなんて思わへんわ “暇やで” “じゃあ飲もっかー!” えっとこの子は… あー経理の子やな 大倉狙ってたのに彼女出来よったし俺に来てんな “ええよー” 待ち合わせて 飲んで 寝る

2014-11-07 20:10:05
クラゲ @04kurage

#100-1 ③ 俺は今日の予定をそう頭に記憶して仕事にかかった 昼休みに大倉と飯食ってたら あの子がわざわざ近づいてくる “渋谷さん!今ご飯ですか?” 「あぁ」 “あ、大倉さんお疲れ様です” 「どうも…」 “じゃあ渋谷さんまた!” 超ミニのスカートを揺らしながら去って行く

2014-11-07 20:18:25
クラゲ @04kurage

#100-1 ④ きっと大倉とおったから来ただけで 「渋谷さんあの子と話すんですね」 きっと大倉が君の事気にして聞いてくる事期待したんやろ? でも残念 「あの子苦手なんすよー。狙ってます感すごくて。今もじゃないですかー」 バレバレやで まぁそれがおもろいねんけど

2014-11-07 20:23:13
クラゲ @04kurage

#100-1 ⑤ あの子それ知ったらどういう反応するんやろか そんな事考えながら午後の仕事を済ませていく 「あ、資料いるんやった」 定時まで1時間 資料だけ取りに行って明日しよ そう思って資料室に向かう すぐに見つかる資料やけど このままサボる目的で向かう

2014-11-07 20:29:52
クラゲ @04kurage

#100-1 ⑥ 「あった」 案の定資料はすぐに見つかって 資料室の椅子に座る 少しウトウトしかけたとき “キャッ…” って聞こえて目を開ける 目の前は真っ暗で 「え?」 少し向こうに小さい灯 「誰かおるん?」 “あ、はい…” 近づいてきた子は初めて見る子やった

2014-11-07 20:33:19
クラゲ @04kurage

#100-1 ⑦ 「電気は?」 “停電で…” 「はぁ⁉︎」 資料室の扉はオートロックで 俺は入る時ちょっと開いてたの完全に閉めてもたんや 「すまん」 “いえ…” 村上に連絡するけど 「時間かかるみたいやわ。一応資料室に人おるって言ったから待っとけ」 って来た

2014-11-07 20:36:20
クラゲ @04kurage

#100-1 ⑧ 「現場におったらもっと大変な事に巻き込まれてたやろうし。まぁラッキーって事で」 “はい…” 経理の子にはキャンセルの連絡をする 「君ってどこの…」 部署聞こうって思ってみたら必死にハンカチで口抑えてちょっと震えとる 「どうしてん⁉︎」 “暗いところが…”

2014-11-07 20:38:49
クラゲ @04kurage

#100-1 ⑨ 「とりあえず大きく息しろ」 かなり震えとるし 俺は自分のジャケット肩にかける 考えた末に 「ちょっとこっちこい」 壁際に座って前に座らす 後ろから抱きしめた 『あのっ…だ、大丈夫です…』 「ええから」 この時何で俺もこんな事したんかわからへんかった

2014-11-07 20:42:18
クラゲ @04kurage

#100-2 ① しばらくして段々と落ち着いてきた彼女 『あのっ…』 って彼女は離れようとするけど 何でか離せへんくて 「誰もこんのやしええやん」 何て言ってみる 彼女を落ち着かせる為にしてたのに 抱きごこちと言うか 何か俺が落ち着いてもうてて こんなん他の女じゃありえへん

2014-11-08 22:07:40
クラゲ @04kurage

#100-2 ② 彼女はマーケティング部の子やった 『最近支社から来て…』 「そうなんや。来て早々災難やな」 『はい…』 どのくらい話してたんやろか 『あっ』 彼女が顔を上げると 明るくなった部屋 『付きましたね』 「お、おう…」 スッと彼女は立ち上がって埃をはらう

2014-11-08 22:08:20
クラゲ @04kurage

#100-2 ③ 名残惜しさが残ってる俺 『これ、ありがとうございました』 「あ、ああ」 彼女に貸してたジャケットを受け取る 『では、仕事に戻りますね』 「ああ」 彼女が部屋を出ようとする 「あ、あのさ」 『?』 「今度飯でもどう?」 初めて自分から連絡先聞いた俺

2014-11-08 22:09:24
クラゲ @04kurage

#100-2 ④ 部署に戻ると必死にパソコンに向かってる丸山がおった 「あ、渋谷さん大丈夫だったんですか?」 「ん?あぁ。真っ暗やったわ」 「もう一人いたんでしょ?」 「マーケティング部の子やったわ」 「へー」 自分のパソコンを確認して データが消えてない事を確認する

2014-11-08 22:09:34
クラゲ @04kurage

#100-2 ⑤ 特に大丈夫で 「他の奴は?」 「あ、帰られましたよ」 「お前は?」 「まだですね」 「そうか」 こいつ色々知ってるから彼女の事知ってるかなって期待したけど パソコンとにらめっこしとるし 終わりそうにもないな 「先帰るわ」 「あ、お疲れ様でした」

2014-11-08 22:17:29
クラゲ @04kurage

#100-2 ⑥ マーケティング部寄って行こうかとも思ったけど 何しに行くねんって感じやし 一応その階で降りて見たけど チラッと覗いておらんしまたエレベーターに戻る “あれー?渋谷さん?” 振り返ると経理のカスミちゃん 「まだおったんや」

2014-11-08 22:26:27
クラゲ @04kurage

#100-2 ⑦ “もしかしてお迎えに来てくれたんですかー?” 何かその語尾伸ばす感じ 今まであんまり気にならんかったけど急に鼻に付く 「お前会社でその喋り方やめ」 “えー。可愛いでしょー” 「まぁどおでもええわ」 “ねぇ。今からどう?” 気分はあんまり乗らんけど

2014-11-08 22:35:55
クラゲ @04kurage

#100-2 ⑧ 「ええよ。行こか」 そう言うと腕を絡めてくる さっき抱きしめた彼女の感覚が蘇る 全然違う 「お前会社やって。止めろや」 彼女の腕を振りほどく そのままあんまり喋る事もなく店に行く 仕事の事 上司の事 先輩の事 よくもまぁ愚痴あるなってくらい話す

2014-11-08 22:40:24
クラゲ @04kurage

#100-2 ⑨ 「へぇー」 「そうか」 って相槌を適当に打つ “この後どうする?” 「帰るわ。他当たって。もうええやろ。大倉も結婚すんねんし。もうええやん」 “え?ちょっと!” 無視して帰る俺 取り出したスマホ 彼女以外の女の名前を消して行く 消し終わっても虚しさはない

2014-11-08 22:50:34
クラゲ @04kurage

#100-2 ①⓪ むしろ清々しい 「もうお前だけやしな」 "金曜日。仕事早く終わる?" そうLINEを入れる 正直 村上や横山、大倉やって恋愛したり そっから結婚したり そんなんを近くで見てたら ちょっとめんどいって思ってた 「俺もそれの仲間入りやな」 俺恋してもてんな

2014-11-08 22:57:10
クラゲ @04kurage

#100-3 ① 久しぶりに自分の家のベッドで目覚めた土曜日の朝 "仕事が早く終われるように頑張ります" って夜遅くに来て 朝からそのLINEにニヤける俺 待ち合わせ場所と何が食べたいかを考えといてって返して画面を見つめる すぐに既読になったけど連絡はそれ以上なかった

2014-11-09 23:22:30
クラゲ @04kurage

#100-3 ② 何度も見返したけど返ってこんまま過ごした休み それでも週明けから 何が何でも金曜日に残業せんでもええようにとにかく仕事に没頭する 同期で入社した仲良い奴は二人とももう部長で 俺は出世とか興味も無くて とりあえず働いてた 「お前は本間は俺より仕事出来るやん」

2014-11-09 23:24:12
クラゲ @04kurage

#100-3 ③ 何て村上に言われるけど そんなん思った事も無いし 一生懸命働いたって仕方ないって思ってた でも何か頑張ってたらええ事あるんちゃうか何て思って仕事にも身が入る そうしたらええ事もあって 何回企画書持って出向いても首を縦に振って貰えんかった所で契約取れたり

2014-11-09 23:29:17
クラゲ @04kurage

#100-3 ④ 単純やけどそんな事も彼女に恋したからとちゃうかって思う俺 昼休みに社食に通うけど彼女は見かけんかった 週末まで待てんしちょっと見に行こうかとも思ったけど 完全怪しい奴やしやめた 資料室とかまたおらんかなとか思って 行くと必ず確認したり 「俺相当イタいな」

2014-11-09 23:37:02
クラゲ @04kurage

#100-3 ⑤ 何て思ってまう 「大倉。経理部にこれ出してきて」 って村上が言う 「え…」 戸惑う大倉 あぁ… 経理部のカスミちゃんか 「俺行くわ。下に用あるし」 「お、すまんな」 ついでにちょっとマーケティング部に… 何て考えながら階数ボタンを押す

2014-11-09 23:42:28
クラゲ @04kurage

#100-3 ⑥ 「すみません。営業一課の渋谷です」 “はーい” 「あ、これ」 “あ…渋谷さん…” いたのはカスミちゃんで 何でか気まずい顔される 「部長さんに渡しといてください」 そう言って出て行く “あの…” 追いかけて来られる 「仕事中やで」 “そうですよね…”

2014-11-09 23:46:21
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