大阪都構想について有識者の声

大阪都構想が大阪都妄想と呼ばれるゆえんである。 改革詐欺師の行き着く先は、行政に吸い付く寄生虫~。
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住友陽文 @akisumitomo

住民投票の結果は大阪市民の意思の表明だから、その結果に大阪市民以外はとやかく言えないけど、大阪市民はちゃんと何を問われているのか理解すべきだ。こうやって市民としての意思を問われるのが、今度の住民投票で最後になるかもしれない。それがイヤなら、NOなんだ。

2015-02-09 15:34:32
住友陽文 @akisumitomo

大阪市解体(維新側曰く「大阪都構想」)に対する住民投票で、迷っている人は、とりあえず「いいえ」にするべきです。「変更」を選択したあとで後悔しても、後戻りできません。ならばいったん立ち止まることです。

2015-02-09 17:53:30
住友陽文 @akisumitomo

グラフのメモリをいじったのがこれですね。 RT @otouta 維新がまたトンデモなグラフを作った!と聞いたので探してみたらホンマに堂々と自分らのサイトにアップしてました。さっそく数字を拾って「正確な」グラフを作ったので、ぜひ見比べて pic.twitter.com/wdu4gpA6SV

2015-02-13 17:17:33
拡大
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住友陽文 @akisumitomo

別に大阪府はバシバシ借金を返してない。国からの借金(臨時財政対策債)を増やして全体的にも借金増えてるね。しかしグラフのメモリをいじると臨財債以外の借金(「その他」)をバシバシ返してるように見える。

2015-02-13 17:18:16
住友陽文 @akisumitomo

ちなみに先程のデタラメなグラフは、大阪維新の会のHPに堂々とアップされてます。 bit.ly/1D2G6tF

2015-02-13 17:32:55
住友陽文 @akisumitomo

本日のMBSニュース(Voice)で気になったのが、戦時中東京都制が成立した時に「東京府と東京市の二重行政が解消」という趣旨の説明があった事。大都市行政で問題になったのは内務省と府が市を二重監督していた事だった。大都市自治体が独自の経営を推進するにはそれは非効率的だったからだ。

2015-03-13 23:56:52
住友陽文 @akisumitomo

特別区は市に準じる自治体であるとされるから、当然市よりは権限は無い。大阪市を無くして5つの特別区に分割するというのは、大阪府の「下」に5つの自治体を新たに作るということ。現行の大阪市は大阪府の「下」になく水平的関係だ。だから相互に争うのだ。

2015-03-14 00:03:40
住友陽文 @akisumitomo

東京都の特別区長のほとんどが区のあり方に不満を持ち、世田谷区長保坂展人氏が「大阪都構想」は失敗すると言ってる(Voice)のはいちおうの参考になるだろう。大阪市を解体するのは、歴史の教訓からしても、現在の東京都内の現状にかんがみても自治行政の充実からは逆行していると言える。

2015-03-14 00:04:59
住友陽文 @akisumitomo

二重監督と二重行政は違うし、戦前の東京都の首長は都長官で、公選されない国の官吏であった。だから東京市という自治体が解体されて東京都という国の出先機関に吸収された格好となった。二重監督の解消は東京市の自治権拡大ではなく、その壊滅によって達成されている。それは二重行政の解消ではない。

2015-03-13 23:59:05

藤井聡(総合政策学)京都大学大学院工学研究科教授)「『大阪市民に,自分たちの市を解体して5つに分割してもよいですか?』を問う投票」

前回のメールマガジンで,「大阪都構想:知ってもらいたい7つの事実」を配信しましたところ,大きな反響をいただきました.
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/01/27/fijii/

特に,ある政治団体からは,「間違った情報」だと断定し,抗議する文書もいただきました.
http://oneosaka.jp/news/公開討論会の申し入れ.pdf

しかしもちろん,当方の記事は,間違ってなどいません.

ついては,その中身やその他の論点については,これからさらに詳しく解説してまいりますが,それはさておき,中でも特に多くの方が驚いていたのが,その「7つの事実」以前に当前のこととして記載していた,以下の事実です.

【事実0】今回の住民投票の対象者は,「大阪市民」だけです.「府民」は投票できません.

実は,当方の多くの大阪府民の知り合いに,大阪都構想の話をすると,かなりの方々が,

「えっ? 俺,投票いかんでええの? 行く気まんまんやったのにぃ....」

というリアクションでした.

なんともまぁ....その程度の事実も,ほとんど知られていない訳ですから,この状況のまま投票となれば,トンでもない事になるのでは…と改めて感じ入ったところです.

ところで,「なぜ,大阪府民全員が影響を受けるはずの『大阪都構想』の住民投票に,大阪市民だけが対象なのか?」と言えば,今回の「構想」が甚大な直接的影響を即座に及ぼすのが「大阪市民」に限られていて,それ以外の府民にはそこまでの影響は即座には及ばない,というのが最大の理由だと思われます.

なんと言っても,前回ご指摘した様に,

【事実2】今の「都構想」は,要するに「大阪市を解体して五つの特別区に分割する」ことです.

というのが,事実なのですから,今回の投票を,より正確に表現するのなら,「大阪都構想」の投票というよりも,

『大阪市廃止分割』構想

と呼ぶことの方が,より一般の方にその趣旨が正確に伝わり安いのではないか,という指摘もしばしば耳にします.いずれにしても,こうした状況を考えれば,

「今回の投票は,『大阪市民に,自分たちの大阪市を解体して,5つに分割してもよいですか?』を問う投票です」

とも,解釈できるわけです.

是非とも,大阪の方,ご関心の方は,少なくともこの点だけでも,ご理解いただければ幸いです.

【本稿第一部】(完)

※ 以下は,「本稿第二部」.都構想についての詳細論点解説の第一弾です.詳しいところにご関心の方は,是非,下記もお読みください.タイトルは....

【第二部:『なぜ,大阪市民の税金が,大阪市「外」に使われるのか?』】

さて,この「都構想」あるいは「大阪市廃止分割」構想については,様々な論点がありますが,その論点の一つとして,前回のメルマガで,「大阪市から流出した大阪市民の税金が,大阪市『外』(例えば,千早赤阪村なども含めた自治体)に使われる」ということを指摘しました【事実4】.

この当方の指摘に対して,「デマ」「ウソ八百」と断ずる見解が公表されていますが,

https://www.youtube.com/watch?v=27iGZXbwmzE

こうした見解表明は,極めて遺憾です.言うまでも無く,当方の指摘は,デマでもウソでもなく,明確な論拠のある指摘であるからです.

ついてはこの点について,さらに詳しく解説を加えたいと思います.

まず第一に,前回の記事でも「(行政的にはもちろん,そのように説明されています)」
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/01/27/fijii/を確認ください
と当方が明確に指摘しているように,現在,「大阪府に流出した大阪市民の税金が大阪市『外』に使わることはない」と,行政的には説明されているのは事実です.
(例えば,下記の議会答弁を参照ください.
http://sazanamin.blogspot.jp/2014/11/20141022.html )

しかし,この説明は

「信頼できない」

のです(つまりその説明は,結局はウソになるのでないか? という疑義が濃厚に存在している様に思えるわけです).

これが,当方が指摘した「事実4」を理解するポイントなのですが,以下,なぜ「信頼できない」のかについて,つまり,「どうやって,結局,大阪市民の税金が,市外で使われていくようになっていくのか?」のメカニズムを解説したいと思います.

そもそも,今回の投票は,法的に言えば,行政的に定めた「協定書」の賛否を問うものなのですが,その「協定書」の中には,「流出した2200億円が大阪市「外」に使われない」ということを,保証する文言はどこにもありません.
( http://www.city.osaka.lg.jp/toshiseidokaikakushitsu/cmsfiles/contents/0000275/275299/shiryou3.pdf を参照ください)

協定書に書かれていない,ということは,いわば「確約されていない」ということです.

(例えば,かつての政権が掲げた「詐欺フェスト」とすら言われた「マニフェスト」は,結局は,厳正な契約ではなく,単なる口約束であった,という事を思い起こしてください)

ではなぜ「信頼できない」のかと言えば,それは,以前も記載したように,「所得の再分配」が行われるのが一般的だからです(つまり,財源の豊かな地域とそうでない地域とを,例えばワン大阪の理念などで一体運営すれば,個別に運営している場合よりも,豊かな地域のおカネがそうでない地域に使われるようになることは,通常は避けられないのです).

ですが,より具体的・行政的には,次のように説明できます.少々ややこしいですが,是非,ご確認ください(特に,当方の指摘が「デマ」「真っ赤なウソ」だと僅かなりとも疑った方は,下記をじっくりとご吟味いただきたいと思います).

(1)大阪市民の税金が市外に使われない様にするために「特別会計」をつくると(法定協議会の資料には)書かれてあるのだが…..

まず,大阪市民の税金が,大阪市以外に使われないようにするためには,大阪市民の税金「だけ」を管理する「特別会計」が必要です.そして,その特別会計の支出項目を一つ一つチェックして,現大阪市民から大阪府に流れた税金が,適正に「大阪市内」だけに使われているかを厳しく監視しなければなりません.

ところが,この「特別会計」を作る,ということが,今,協定書には明記されておらず,したがって,確約されたことではないのです(法定協議会の資料( http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/19163/00143167/01shiryo01-01.ppt のスライド9)には記載されているのですが,肝心の「協定書」にはその旨が記載されていないのです.これが,当方の指摘の「キモ」です).

そしてこの特別会計が実際には作られなかったとすれば,「大阪市民の税金が,大阪市『外』に使われる」ことになるのはほとんど決定的となります.そして現状では,特別会計がつくられ「ない」あるいは,作られても早晩「廃止」される可能性は,協定書に書かれていない以上,十分に存在していると言わざるを得ないのです.

(2)ただし仮に「特別会計」があっても,「厳正に監視」できなければ現大阪市民の税金が市「外」にも使われることは決定的.そして,その肝心の「厳正な監視」はほとんど無理.

一方で,もしもこの特別会計が作られたとしても,その特別会計を管理する人達が,「大阪市民から流れた税金の使い道」を厳しく監視しなければ,それが大阪市「外」に使われることになるのもまた,ほとんど決定的です.

つまり,今行政的に説明されている「大阪市外には使わない」という説明は,「大阪市民の税金が,市外に使われない様に厳密に,誰かが,監視する」と宣言しているに等しいわけです.

そもそも,府に流れた大阪市民からの税金は.「大阪府の一般会計」といって,本来なら,大阪府の裁量で自由に使用できる会計です.だから,「大阪市民の税金が市外で勝手に使われないようにするためには,大阪府のカネの使い方を,誰かが厳正に監視し続ける」ことが不可欠なのです.

しかし,問題は「そうした厳正な管理」は,極めて難しい,あるいは実質上,無理だ,という点です.

そもそも,その「特別会計」については,大阪府と特別区から選出された人達で構成される大阪版の「都区協議会」が,府や各特別区との間の「配分」を決めることになっているのですが,その協議会は府に配分された予算執行を,厳密に管理や監視を行う権限まではもってい「ない」のです.やはり,府に配分された予算の「管理」を行うのは,あくまでも「大阪府」なのです.
( http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/19163/00131518/26shiryo04-04.pdf のスライド11)

したがって,府に配分された予算の執行を,大阪市域内に「限定する」という様に大阪府が「確約」しない限り,「大阪市民の税金が大阪市外に流れることは必定」なのですが,大阪府は,そんな「確約」を毎年行い続けることはほとんど無理,と言えるでしょう(もちろん,行政に聞けば「いえ,流用しません」という「官僚答弁」を繰り返すでしょうが,それはタテマエで,実際には、以下の理由で「流用」されてしまうメカニズムが存在しているのです!).

そもそも,大阪府の判断は,7割もの大阪市外から選出した大阪府議会議員が甚大なる影響をもたらすのですから,議会の判断として,「常」に大阪市だけを優遇するようになるとは,到底考えられないのです.

もうこれだけで,「大阪市民の税金が市外で勝手に使われないようにするためには,大阪府のカネの使い方を,誰かが厳正に監視し続ける事」は,実質上不可能だとことが見えて参りますが,それ以外にも,「都区協議会」においては,府(知事)の影響力は大変に大きなものである,という点からも,そうした「監視」は難しいだろうということが見えて参ります.

仮に,協議会内では法的に対等だとしても,実際上の政治的パワーにおいて,区(長)と府(知事)とでは対等ではないからです.したがって,その「大阪市民から流れてきた税金」の使い道を,完璧に特別区のメンバー(つまり大阪市民)の思い通りに決定していくことは,この点からも絶望的に難しい,ということが見えて参ります.

さらに付け加えるなら,仮に,(実質上,それはほぼ不可能とも思える前提ですが)以上の問題を全てクリアしたとしても,2200億円にも上る巨額の大阪府の予算執行業務を,「監視」できる事務処理能力が,「都区協議会」という大阪府の外の組織体に存在していなければならないのですが,こうした実務的条件をクリアすることもまた,大変に厳しい条件だということも言うことができます.

これらの理由から,特別会計が仮にあったとしても,実質上,大阪府に配分された予算の管理は(有権者の7割の「大阪市以外」の大阪府民の付託を受けて議員が選出された)府議会が決定し,かつ,その特別会計についての各判断に(同じく有権者の7割の「大阪市以外」の大阪府民の付託を受けて選出された)知事が大きな影響力を持つことから,遅かれ早かれ結果的に,大阪市民からの税金が大阪市「外」に活用されていくことはほぼ決定的(=極めて蓋然性が高い)だと考えられるのです.

(4)そして何より,「ワン大阪」の理念を尊重すればするほどに,現大阪市民の税金を,現大阪市民のためだけに使っていくことは,ほとんど絶望的.

しかも,以上の問題を全てクリアしたとしても

(つまり,

(1)大阪市から府が吸い上げた大阪市民の税金のためだけの特別会計が作られ,かつそれが半永久的に存続し,
(2)大阪府ではなく都区協議会がその税金の『市外への流用』を防ぐためにその特別会計を厳密にチェックし,
(3)都区協議会の議論において特別区(大阪市)側の意向が最大限に尊重され,
(4)しかも,都区協議会の「監視」の下で大阪府の予算執行をコントロールできる事務処理能力が存在している,

という,超絶に細い針の穴を幾重にも通すことができたとしても ※注),

それでもやはり,大阪都構想の中心理念である「ワン大阪」の理念がある限り,大阪市民の税金が現大阪市民のため以外に使われるのは,ほとんど決定的だと言っても差し支えありません.

(※注 仮に,この四つが成立する確率が,それぞれ50%という大きな確率を想定しても,これらの内いずれかが成立せずに,結局,2200億円が大阪市「外」で使われてしまう確率は実に94%,仮に30%程度だとすれば実に99%以上,つまり実務的には実質100パー!とも言いうる水準となります.これに,下記の「ワン大阪の理念が真面目に遂行されすぎてしまう」という可能性も加味すると,その確率はさらに高まります)

そもそも,大阪都構想とは,「大阪都と大阪市との間の壁を取っ払い,大阪の都心を大阪全体で支えていこう!」という理念です.

その理念がある以上,大阪府が吸い上げた2200億円程度の税金を「必ず大阪市内だけに使う」という仕組みを続けていくことは,「理念的」に不可能だと言えます.

例えば,仮に新大阪府の初代大阪府知事が「大阪市民から吸い上げた2200億円だけは,特例的に大阪市民に使う!」と宣言したとしても,将来の都知事がワン大阪の理念により強くこだわった途端,2200億円は「現大阪市内だけ」に使われるとは限らなくなってしまいます.

あるいは,「ワン大阪」の理念に沿って,今,大阪市内にある大阪府の施設(病院,体育館,等,の整備・運用に(特にそれが十分に効率化されるでもなく),ただただ2200億円の一部が流用したというだけでも,それだけで,現在の大阪府の財政が「軽減」され,その「軽減」された分が「大阪市外」(例えば,千早赤坂村や大阪府の債務返済を含む)に使われるようになるのは決定的です(そもそも、おカネに色もなく名前も書いてはいないのです).

・・・・

いずれにしても,今,大阪市・大阪府は,「大阪市民の税金は,大阪市以外に流れることはない!」という説明を,協定書に明記しないままに,公言していますが,現実的な状況を精査すれば,その説明通りに財政を運営できるようになるためには,厳しいハードルをいくつもいくつも超えていかねばならないのです.

したがって,「協定書に,明確に保証する記述が不在である現状」において,「市外に流れた大阪市民の税金が,市外に使われることは無い」という事を長期的に保証し続けることは,実質上,ほとんど不可能であると言って良い状況にあるのです.

そういう状況にあるにも関わらず,「大阪市民の税金を,都構想実現後も,大阪市外には使いません!」と言い続けとたら,我々は

「信頼できない」

と言わなければならないのではないか,という事が,協定書や協議会資料を精査すれば,明らかになってくるのです.

なお,念のために申し添えておきますが,「信頼できない」と言っているのは,説明者の人間性故に信頼できない,という事を指摘しているのでは決してありません.状況的に,ほとんど不可能な事を「やります!」と断定しているが故に,信頼できない,と指摘しているに過ぎないという点を,是非,誤解無きようにお願いいたします.

それはまるで,かつてある政党が「事業仕分けさえやれば,このマニフェストに書いてあることは全部出来ます!」と公表しつつ選挙を戦ったという事態と類似した構図にあると考えられるのではないか,というのが,筆者の見立てです.

以上が,当方が,「府に流れた大阪市民の税金が,大阪市以外にも使われる」と指摘した根拠です.

以上を踏まえてもなお,当方の指摘が「嘘八百」「デマ」と断ずることは,はたして可能なのでしょうか? 当方は無論,それは不可能だと認識しています.それ故,過日公表した原稿の中に,この論点を「事実4」として記載した次第です.
.....最後に.....

大阪維新の会の豊中市選出のうるま府議会議員のチラシ(現時点において配布されているもの)の中には,「橋下徹とうるま譲司の豊中をよくする8つのお話」の第7番目のお話として,次のような文言が記載されているのです.

「大阪都構想の実現でさらにムダがなくなり,使えるお金が増えます(2634億円)」

この2634億円という数字は,府と市(特別区)を合わせた節約額(17年間累計)として,大阪府で試算したものです.
http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/40791959.html

ここで,この「節約額2634億円」なるものの大半(法定協議会資料では,1980~2303億円程度)は現大阪市行政の効率化によってもたらされるものです(!)(注:地下鉄民営化による税収増は,大阪市行政の効率化で増えるものと見なした場合2303億円になります).

だから,「大阪府が大阪市(特別区)から吸い上げた税金は,必ず大阪市に使う」という現在の行政的説明が正しいとするなら,「豊中市で使えるお金」は2634億円にはならないのです! なんといっても,その大半は,大阪市から来ているのですから!

したがって上記文言は,「大阪府が大阪市から吸い上げた税金の一部は,大阪市外に使う」という,「デマ」「ウソ八百」とまで断じた当方の指摘を,あろうことか,まさにその当人が「自身の主張の前提」としていた可能性が暗示されているようにも思えるのですが….いかがでしょうか?

.....

「大阪都」構想,あるいは,「大阪市廃止分割」構想は,今年の5月の投票に参加する大阪市民に甚大なる影響を及ぼします.

投票者を中心とした大阪,関西,そして日本の皆様は,上記を含めた各種情報をしっかりとご吟味願えると幸いです.

大阪市を解体・分割する「大阪都構想」についての橋下市長の「箝口令」を批判する(民主法律協会)

http://www.minpokyo.org/information/2015/02/3552/

第1 はじめに

 2015(平成27)年5月にも予定されている、大阪市の地域に特別区を設置し大阪市を廃止することの是非を問ういわゆる大阪都構想の住民投票に向けて、橋下市長は、市職員に対して、「公務員という肩書で職場内での個人的な見解の表明」や「権限を有さない立場での無責任な発言」を慎むようにと発言し、この橋下発言に留意を促す文書が、各職場の管理職に宛てて配布されている。
 橋下市長の発言は、職員がいわゆる大阪都構想(その実質は大阪市の解体・分割である)について、市民とコミュニケーションを図ることそれ自体を禁止し、橋下市長の方針について市民の理解が進むことや疑問が拡がることを阻止しようという思惑に基づくものである。この点、マスコミでも、「職員の間からは事実上の箝口令だと疑問の声も出ている」などと報じられている。
 市職員は、「全体の奉仕者」(憲法15条2項、地公法30条)であるから、本来、市民にとって重大な影響を与える大阪都構想について、市民に対し、大阪市の方針やその結果がもたらすものをできるだけ詳しく伝え、市民が大いに議論し、考えを深めることを支えるべき職責がある。
 橋下市長の発言は、これを阻害しようとするものであって、それ自体が民主主義に反するものといわざるをえない。
 なお、橋下市長の発言は、それが勤務時間内のことを問題としているのか、それとも勤務時間外のことなのか、判然としない。しかしながら、勤務時間の内外によって、市職員の置かれている法的立場はまったく異なるから、この区別をしないことは、それ自体、問題である。
よって、以下、勤務時間の内外に分けてその問題点を指摘する。

第2 勤務時間内について

1 職務命令の限界
 今回、各職場の管理職にあてて配布されている文書は、行政内部の通知であって、職務上の指示や命令ではないが、仮に同内容の職務命令がなされたとしても、それはあくまで勤務時間内についてのものである。
しかも、それは以下の限界を有している。
 ①市民から質問があっても一切答えてはならない、という指示・命令は許されない。市職員は、「全体の奉仕者」として、市民に対する説明責任を負っているのであり、行政の責任を放棄させるような指示・命令は許されない。この点、大阪市職員基本条例4条4項でも、「職員は、市政の透明性の確保に努めるとともに、自らの職務に関し説明責任を果たすよう努めなければならない。」とされているところである。
したがって、市民から、いわゆる大阪都構想(大阪市の解体・分割)に関して質問された場合に、市職員として職務上答えることができるものについては応答したうえで、自身では答えられない事項については別の担当部署に回答を求めてはどうかと助言することは何ら問題ない。
 ②市職員が、いわゆる大阪都構想(大阪市の解体・分割)に関して、客観的な事実、合理的に予想される事柄を伝えることは何ら問題ない。たとえば、市民から、「そんなこと本当にできるんですか?」との問いが発せられた場合に、現時点での進捗状況を客観的に説明したり、現時点での進捗状況から合理的に予想される実現可能性を説明することは何ら問題はない。また、「職員として、ここまではわかりますが、これ以上はわかりません」と応答したり、あるいは、現場の職員自身が十分な情報を与えられていない場合には「十分な情報がありません」と伝えることは当然のことである。

2 市民に事実を伝えることは職員の責務
 事実に反することを述べることは許されないとしても、市民に対する説明責任を負っていることをふまえれば、客観的な事実や合理的に予想される事柄を伝えることは、推奨されるべきことである。
 大阪市が解体・分割されることになれば、市民生活にどのような影響を与えることになるのかは、市民として、当然、知っておきたい事柄である。そのためには、市長やその側近からだけではなく、現場レベルの市職員からの情報発信が不可欠である。いわゆる大阪都構想(大阪市の解体・分割)に関する現時点での見通しや想定される事態について、「事実」を率直に語ることは、市民に対する責務でもある。
 したがって、市職員がその責務を果たすために事実に関する情報を発信することは、それがことさらに虚偽を述べたような場合でない限り、問題とされる余地はない。
 この点、橋下市長は、何かにつけて「市民が誤解する」と述べるが、市民は、ある市職員の意見が、個人としてのものか、大阪市を代表してのものかを判断する能力を持っている。「市民が誤解する」という主張は、市民の健全な能力を軽視するものと言わざるをえない。

第3 勤務時間外について

1 勤務時間外については職員の言論活動は原則として自由
 勤務時間外については、職務上の指示や命令が及ばないことは明らかであるから、市職員は、法令の制限に反しない限り、いわゆる大阪都構想(大阪市の解体・分割)についても、自由に言論活動をすることができる。この場合、肩書きを付すか、付さないか、場所がどこであるかは、問題とはならない。

2 地公法36条の制限
 市職員は、地方公務員であり、地公法36条により一定の政治的活動が禁止されている。
 今回、問題となっている住民投票は、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」7条に基づくものであるところ、これは、地公法36条1項の「公の選挙又は投票」に該当すると思われる。そうなると、「特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的」で、同条2項各号の政治的行為をすることは許されないということになる。
 しかしながら、同号各号で禁止されている「政治的行為」は、憲法適合性の見地から、限定的に解されている。
 たとえば、同号1号「公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること」にいう「勧誘運動」については、一般に、「組織的、計画的、又は継続的に、勧誘すること」(人事院事務総長発「人事院規則14-7(政治的行為)の運用方針について」)、ないしは「その行為が、組織的計画的にして継続的かつ相応の規模を有するもの」(東京地判昭和40年9月30日判例時報433号56頁)とされており、「選挙に際したまたま街頭であった友人に投票を依頼するような行為は該当しない」ものとされている(前掲「人事院規則14-7(政治的行為)の運用方針について」)。
同条2項2号以下の政治的行為についても同様であり、そこで禁止されている各行為は、組織をバックにしたかなりの規模のものに限られている。
 したがって、個々の市職員が、住民投票に対して、個別の機会に、個人的な見解を表明したり、賛成、反対の意思を表明したとしても、それだけでは、何の問題も生じない。
 それは、公務員の肩書きを付す・付さない、(庁舎管理権による制限を受けない限り)職場の内・外、あるいは何らかの権限を有する・有しないによって変わるものではない。

3 いわゆる政治活動制限条例について
 大阪市は、地公法36条2項5号の根拠に、「職員の政治的行為の制限に関する条例」を制定した。同条例は、同項1~4号の規制に加えて、市職員に対し、「職名、職権又はその他の行使の影響力を利用すること」などの一定の政治的行為を禁止している。これは、市職員に対する禁止対象となる政治的行為を国家公務員と同じ範囲に拡大したものである。
 しかしながら、国家公務員の政治的行為を列挙した人事院規則14-7も、憲法適合性の見地から、これまでも限定的に解されてきた。
 たとえば、「職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること」を禁止しているが、それは、「上官が部下に対し、選挙に際して投票を勧誘し、あるいは職員組合の幹部が組合員に対し入党を勧誘するためにその地位を利用するような行為」をいうものとされている(前掲「人事院規則14-7(政治的行為)の運用方針について」)。
 したがって、市職員が、市民に対して、政治的意見を表明したとしても、それが市民に対する具体的な職務権限を背景に働きかけたような特別の場合でない限り、「公私の影響力を利用すること」にはあたらない。
 なお、社保庁職員の政治的行為(政党機関紙配布行為)が国公法及び人事院規則14-7違反かどうかが問われた事案で、堀越・世田谷事件・最二小判平成24年12月7日判例時報2174号21頁は、たとえ、これらの法令で禁止されている政治的行為に形式的には該当するように見える場合でも、禁止されるのは「公務員の職務の遂行の中立性を損なうおそれが実質的に認められるもの」に限られるとした。この解釈は、大阪市の「職員の政治的行為の制限に関する条例」の解釈にもそのまま妥当する。
 橋下市長の発言は、こうした一般的な解釈と法的理解を何ら考慮せずに、市職員の政治的行為を、一律に全面的に制限しようというものであって、不当というほかない。

4 地公法の適用されない職員に対する制限はない
 もとより、地公法36条及び大阪市「職員の政治的行為の制限に関する条例」の規制は地公法適用職員に限られており、地方公営企業職員、現業職員、特別職非常勤職員については適用はなく、何ら制限はない。

5 市長と異なる意見を表明しても信用失墜行為にはあたらない
 橋下市長は、みずからの意に反する事実や意見を市職員が表明することは信用失墜行為(地公法33条)に該当するかのように考えているふしがある。
 しかしながら、信用失墜行為とは、「その職の信用を傷つけ、または職員の職全体の不名誉となるような行為」を指し、「その職の信用を傷つけ」とは、「たとえば、職務の執行に当たって職権を濫用したり、収賄を行って職務上便宜をはかることなど」が、「職員の職全体の不名誉となるような行為」とは、「たとえば、職員が勤務時間外に飲酒運転を行ったとき、常習の賭博を行ったとき、道徳的に強い非難を受けるようなスキャンダルに関係したときなど」が、これに該当するとされている(旧自治省出身である橋本勇氏の「逐条地方公務員法」)。
 これは常識的な説明であるが、既に見たとおり、地方公務員は、公職選挙法や地公法36条等の制限を除けば、政治的行為は自由にできるのであるから、たとえ、それが市長の意向と違うものであったとしても、それだけでその政治的行為が信用失墜行為となるものではない。
これもまた、公務員の肩書きを付す・付さない、職場の内・外、あるいは何らかの権限を有する・有しないによって変わるものではない。

第4 職員団体・労働組合の言論活動

 第3までの議論は、あくまで、個々の職員が、個人の立場で活動する場合のことである。
 これに対し、大阪市職員の加入する職員団体ないし労働組合(以下、労働組合等)が、労働組合等としての政治的意見を表明したり、その実現に向けて活動することには何の問題もない(国労広島地本事件・最三小判昭和50年11月28日民集29巻10号1698頁)。
 また、労働組合等は、使用者である市長と対抗関係にあって、政治的意見を異にすることがあっても何ら不思議なことではない。労働組合等が市長の意見と異なる意見を表明したからといって、それが違法とされる余地はない。
 裁判例を見ても、労働組合等の言論は、指摘する具体的事実が真実に沿ったものであれば、論評は自由とされ(香焼町事件・長崎地判平成2年11月6日労働判例601号76頁)、当該記載が真実である場合、真実と信じる相当の理由がある場合、あるいは労働者の使用者に対する批判行為として正当な行為と評価されるものは適法とされている(三和銀行事件・大阪地判平成12年4月17日労働判例790号44頁)。

第5 結論~職員の市民的自由である言論を規制することはできない

 橋下市長の発想には、組織のメンバーは、組織上部の意思と異なる意見を表明すること自体が許されないとの考え方があると思われる。
 それは、橋下市長が最初に大阪市長に当選した直後、市職員がマスコミのインタビューに答えて、橋下市長の語る「民意」に対する違和感を口にしたところ、橋下市長が激怒して、当該職員に反省文を書かせた事件を想起させる。あるいは、2012(平成24)年7月、大阪市従業員労働組合及び同労組環境事業支部が連名で、ごみ収集事業の民営化・非公務員化によって市民のセーフティネットが危ぶまれている旨記載したビラを配布したところ、これが信用失墜行為であると決めつけた事件でも、同様の考え方が示されている。これに対しては、多方面から批判が寄せられたところである。
 こうした橋下市長の発想は、市職員の言論の自由を頭ごなしに否定しようとするものであって、民主社会において許されない考え方である。
 いわゆる大阪都構想(大阪市の解体・分割)は、市民にとって、経済活動のみならず生活全般にわたって極めて大きな影響を与える。しかも、ひとたび大阪市の解体を選択したならば、それは後戻りのできない結果をもたらす。したがって、市民の判断に当たっては、この上ない慎重さが求められる。
 そして、市民が慎重な判断をするためには、賛成、反対に関わらず、十分な情報が提供される必要がある。この点、大阪市で現に働いている市職員が、職場の実態をふまえて提供する情報は、市民の判断にとって極めて重要な判断材料となりうる。
 しかるに、そうした現場の市職員からの情報発信が禁止され、大阪市の解体・分割を推進する橋下市長からの情報しか与えられないことになれば、市民は誤った選択をさせられかねない。
 それは民主主義に反するのみならず、大阪市民(のみならず大阪市の周辺に居住し、あるいはそこで働く者)すべてにとって、将来に禍根を残しかねないものである。
 そのようなことにならないよう、大阪市に働く市職員とその労働組合等が、事実にもとづく率直な情報発信をされることを期待するものである。

風間規男(行政学)同志社大学教授

風間規男 @noriokazama

私の周りには、大阪都構想をまともに支持した地方自治の専門家は皆無だった。ところが橋下氏の口車によって、一般有権者は大阪都構想にあらぬ期待を抱いてしまった。私が授業をしているW大学ですら、2年前まで橋下批判をすると反発してくる学生がいた。その情緒性、思考停止状態が無性に怖かった。

2014-04-21 23:24:23
風間規男 @noriokazama

時間という要素はとても大切だと思う。2年前には某W大の学生でも授業で大阪都構想がいかにバカバカしいのかを話すと反発したものだが、2年も経つと、学生たちはこの話をすると思いっきりうなづいてみせる。理解したというよりも、彼らの政治的な動きからそのいい加減さを読み取ったのだと思う。

2014-10-13 21:56:07
風間規男 @noriokazama

最近の橋下氏のツイートを読んでいると、とにかく信じてくれ…と言い続けなければ、言い出した本人ですら信じきることができなくなってしまう…そういう切迫感がみられる。もはや信仰の域に達しつつある。大阪都教でも始める気かな〜。

2015-01-27 20:20:04

住友剛(教育学)京都精華大学教授

住友剛 @tsuyo0618

これ「公開討論」より、新聞・雑誌などの文字媒体に両者の見解をきっちりと出して比較してみたらいいと思うよ。まあ、維新側が嫌うだろうけど。:橋下氏、京大教授に公開討論を申し入れ : 社会 : スポーツ報知 hochi.co.jp/topics/2015020… @SportsHochiさんから

2015-02-04 09:29:55
住友剛 @tsuyo0618

こうやって京大総長に働きかける前に、藤井教授の都構想批判に橋下氏がリーダーシップ発揮して、維新の会としての見解を文書にして出せばいいのに。それこそ「言論の自由」でしょ。:京大大学院教授の批判に対し、橋下が大学総長に「公開質問状」準備へ kyouikublog.wpblog.jp/6903.html

2015-02-05 20:07:26

北山俊哉(行政学/公共政策学/地方自治)関西学院大学教授

Toshiya Kitayama @JackKiyuna

大阪都構想と、体細胞に酸や熱などの強い刺激を与えれば、多能性を獲得する、というSTAP細胞の話は驚くほど似ている。大阪市を廃止して特別区に分割したら、大阪が活性化する?

2014-08-31 21:20:59
Toshiya Kitayama @JackKiyuna

道頓堀プール計画、中止に 資金繰りや調整難航 - 朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASH1Y… 道頓堀にプール、妄想でした。都構想も同じこと。都構想=道頓堀プール計画。

2015-01-30 07:22:28
Toshiya Kitayama @JackKiyuna

資金繰りや調整難航って、まさに大阪の特別区が直面するであろう問題ではないか!固定資産税などなどは府に召しあげられ、資金ショートする、そして特別区間、区と一部事務組合、区と府との間で調整が難航。プールはやめられても特別区はやめられないので、さらにやっかい。

2015-01-30 19:18:42
Toshiya Kitayama @JackKiyuna

大阪都構想に関する住民投票が、大阪市民だけを対象にするのはなぜ、といういまさらながらの問いがまだ聞かれますが、大阪市民がいちばん損するからですよ。府民も損をしますが、大阪市民に比べたら比較になりません。

2015-02-07 19:03:48

まとめ 橋下市長が大阪都構想について市職員に箝口令 ことわざ:人の口に戸は立てられぬ 家の戸をしめるように、人の口の戸をしめることはできない、つまり世間の噂が広がっていくのはどうにもしようがないということ。 11399 pv 238 4 users 10