落ち度みっつまとめたら(短編集)
はじめに
#落ちぬい二次 、始まります。本作品は #不知火に落ち度はない の二次創作であり、オフィシャルではありません。指摘・感想などは #落ちぬい タグでお願いします
2015-02-08 22:09:57あきつ丸とイルカ提督編
とある鎮守府の司令室。課業後に提督がイルカちゃんのDVDをにやけながら見ているところにあきつ丸がやってきた。 提督は無言でその頭をひっぱたく。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:11:19「何をするでありますか!いたいけな乙女に手を上げるとは男子の風上にも置けぬであります!」 「イルカちゃんコレクションをザ・コーヴにすり替えたのを忘れたとは言わせないからな」 「あれもイルカちゃんの映画であります」 「次にやったら前歯くらい覚悟しとけよ」#落ちぬい二次
2015-02-08 22:12:48悪びれた様子もないあきつ丸が殴られた頭をさすりながら妙な事を訊ねる。 「それはそうとして提督殿。中将というのは自ら現場に出て実働部隊を率いるものでありましょうか?」 提督は早く癒しタイムを再開したいが、律儀に答える。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:14:18「中将が実働部隊? まずないだろうな。中将って海幕長とか地方総監クラスだし」 「ふむ。ま、そうでありましょうな」 中将といったら海自時代で言えば海将だ。統合幕僚長たる将が大将に相当する日本軍においては実質的に中将が最高位である。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:15:41艦娘を率いる鎮守府の長や艦艇の艦長職は大佐まで。それ以上の階級になると群司令などの複数部隊をまとめる方になる。 海ぼうずの長たる夏目も、大将と呼ばれているがそれは退役後に特例として昇任したもので、現役時代の最終階級は中将、横須賀地方総監であった。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:16:48あと少し長く奉職していれば海上幕僚長、統合幕僚長と目されていたのだが、あの海戦の負傷による体力低下には敵わなかった。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:18:27また夏目団長の知り合いの女性提督も、既に将軍に昇格してしかるべき実績を上げているにもかかわらず現場を離れようとしないので「名誉大佐」なる特例措置が取られているくらいだ。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:20:03「あ、それもしかして大本営絡み?」 「そうであります」 「だったらあり得るかもな」 「というと?」 「適任者をポストに据えるために一時的に昇任させるケースがあるそうだ。そのポストを外れたらまたもとの階級に戻る。ま、あくまで噂だけどな」#落ちぬい二次
2015-02-08 22:22:10つまり、何らかの強大な権力を持った秘密の部署があったとして、その権限に見合った指揮官は将官になる。ところが、権限に対して規模は極々小さいので指揮官が自ら動かなければならない。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:24:45そこで自ら動ける階級の者を特例的に将官と看做して、あるいは限定的な条件のもとで昇進させて指揮官に据えているのではないか、という事だ。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:26:55「ははあ、ずるいやり方でありますな」 「江戸幕府を参考にしたって話だ。役職ごとに家格とか禄高とか決まってたから、それ以下の人間を登用する時は差分を支給してたって制度」#落ちぬい二次
2015-02-08 22:28:42「なるほどなるほど、いやあさすが将校殿。海ぼうずというのは伊達ではありませんな」 着任した頃は煙に巻いていたが、今ではあきつ丸はこの提督が海ぼうずの一員だと知っていることを隠そうともしない。 「で、なんでこんなことを?」#落ちぬい二次
2015-02-08 22:31:01「単なる興味であります」 「興味でこんなややこしいこと突っつくわけないだろ」 「純粋に興味でありますよ。今朝このようなものが自分宛に届いたもので」 そう言ってあきつ丸が背嚢から取り出したのは小ぶりの西瓜程度の包みだ。 「ほれ、こんにちは、であります」#落ちぬい二次
2015-02-08 22:32:30被せられていた白い布をめくると、そこには、まるゆがいた。 まるゆの首だけが。 「うわあっ!」 「ちょっと気になって一昨日そのあたりに送り込んだらこのザマであります。戦国時代みたいですな」 はっはっは、と生首を手に笑う。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:33:55「お前、何とも思わないのか!?」 「大本営とは怖いところでありますなあ」 「違うそうじゃない、まるゆが殺されてるんだぞ!」 「所詮まるゆでありますよ?」 青ざめる提督とそれを見て笑うあきつ丸。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:35:14まるゆは生きた人間ではなくあきつ丸の式神のようなものなのだが、あきつ丸はそれを提督に明かしていない。明かしたところで何の問題もないのだが、まるゆが死ぬ度に大男が真っ青になるのが面白いのだとか。 「ところで提督殿、まるゆの葬式のために弔事休暇が欲しいのでありますが」#落ちぬい二次
2015-02-08 22:37:45「やる!やるからこっち持ってくんな!」 「気前がいいでありますな。まるゆもお礼を言うであります。あーりーがーとーうー、であります」 生首の顎に手を添えてぱくぱくと口を動かしてみせる。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:39:21「ぎゃー!!!」 ついに耐え切れなくなった提督は執務室から逃げ出す。 「あっ、隊長!お疲れ様でーす!」 「ぎゃー!!!」 逃げ出した廊下で普通に生きているまるゆに鉢合わせてさらに悲鳴。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:40:19「はっはっは、提督殿は騒がしい御仁でありますなあ」 逃げてゆく背中を笑って見送りながら、あきつ丸はその生首からまるゆを再構成する。群体の船魂を用いた量産型艤装をベースにした式神であるまるゆは、破壊されても艤装さえ無事ならいくらでも復活するのだ。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:41:50「あっ、3号おかえりー」 「ただいまー。酷い目に遭っちゃったー」 先程まで生首だったまるゆ3号が5号と談笑する。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:43:10「ほれほれまるゆ、お待ちかねの飯の時間であります。早く食堂に行くであります」 「「はーい」」 大本営を突っついたのは失敗だったが、思いがけず休暇が手に入ったのは嬉しい誤算だ。明日は大月を呼び出してどこか遊びに行くとしよう。だがまずは飯だ。#落ちぬい二次
2015-02-08 22:45:09