- mesuinu_1993
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10 (Ruki)
ちひろ
@mesuinu_1993
これも似合うがあれも悪くないと次々に店員に手渡す彼に、一度には着れないから一枚でいいよと声をかける。どれも自分では手の届かない高価な服。彼は、俺は強欲な男なんだと微笑んだ。色々なお前を見てみたいからな、と言う彼の強い眼差しに、食べられてしまいそうだと思いながらも目が離せなかった。
2015-02-25 17:11:3711 (Ruki&Yui)
ちひろ
@mesuinu_1993
彼女の足から止めどなく溢れる血。それを拭ってやりたいと思いながらも立ち止まるわけにはいかないことはお互い分かっていた。大丈夫と彼女はまた強がりを言う。この足が同じ温度で、同じ痛覚を持っていたならどんなに良かっただろうか。やり場のない気分に終止符を打ちたくて静かに彼女を腕に抱いた。
2015-02-27 22:00:40
ちひろ
@mesuinu_1993
痛いほど抱き締めてくる手の強さと苦しげに名を呼ぶ声だけが、現実に引き止めてくれている。痛いのは自分ではなく彼ではないか。ちらりと見えた表情はそれくらい深刻だった。今すぐその身体ごと彼と同じ温度になって、ここではないどこかに飛んでいけたら。そんなこと言えなくて、大丈夫とだけ呟いた。
2015-02-27 22:13:19