大澤聡『批評メディア論』読書メモ集

大澤聡『批評メディア論』(岩波書店、2015)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

新居格=にいいたる。いつも読み方忘れちゃうので改めてメモ(キラキラネームすぎる)。

2015-03-01 13:07:03
荒木優太 @arishima_takeo

「この立論は完全なる転倒を孕んでいる。というのも、そもそも論壇時評には論壇の「輪郭」を規定する機能が期待されているからだ。その期待を受けてはじめて成立するメディアである」(大澤聡『批評メディア論』45p)。ん? これってなんでそう言えるんだ?? よく分からん。

2015-03-01 13:33:37
荒木優太 @arishima_takeo

「論壇時評がリクルーティングの機能をはたす。人的資源を新たに投入=登記する仲介者役を担うのである」(『批評メディア論』60p)。ああ、ここは面白いな。こういう特徴から「輪郭」決定がされるという指摘なら納得感がある(他方で、それは「期待」されてんのか?とも思うが)。

2015-03-01 13:44:36
荒木優太 @arishima_takeo

しかし大澤聡って「ことほどさように」って言い回し好きだな。お前は宇多丸かっ‼︎

2015-03-01 14:18:01
荒木優太 @arishima_takeo

「私たちはこう定式化することができる。文芸復興期とは、大文字の政治に前後を囲い込まれながら、小文字の〈政治〉が遍在的に成熟していった時空間である、と」(『批評メディア論』133p)。へぇー。

2015-03-01 16:52:16
荒木優太 @arishima_takeo

『批評メディア論』がとうとう悪名高き四象限を使いだした(230p)。実名・匿名・有名・無名の四つの組み合わせ。これやると一気に社会学っぽくなるよなー。

2015-03-02 17:56:52
荒木優太 @arishima_takeo

私たちはある人物が有名であるがゆえにそれを欲する。と同時に、それを欲することによって有名性を増大させてもいる。そうした読者の水準に対応すべく、ジャーナリズムによるアカデミズムの馴致が勧められた(「お得意」化)。その「成功」事例が「岩波」書店だった。by『批評メディア論』252p

2015-03-02 18:44:48
荒木優太 @arishima_takeo

「そもそも、批評とは境界侵犯の欲望に支えられた営為であったはずだ」(『批評メディア論』269p)。えっ…そうだったのか…。

2015-03-02 18:59:34
荒木優太 @arishima_takeo

大澤聡『批評メディア論』読了。面白かった。カタカナ語の感覚も私と結構近い気がする。その中二心をこれからも大切にしていって欲しい。石原千秋の「「日本に」と問いかけながら、外国との比較をまったく行っていない」評に対しては「そんなに知りたきゃテメエがやれよ」と言っとけばいいんじゃね。

2015-03-02 19:57:42
荒木優太 @arishima_takeo

個人的に興味深かったのは、1920年代後半から大森義太郎、石濱知行、佐々弘雄、向坂逸郎、山田盛太郎、そして三木清といった書き手のアカデミズムからジャーナリズム(官学から在野)への移動現象。大学に頼らない(頼れない)書き手を支えるメディア状況の考察は私こそちゃんと勉強せねば。

2015-03-02 20:07:33
荒木優太 @arishima_takeo

しかし、『批評メディア論』の文脈でもやっぱり寺田寅彦のような人は面白い研究対象なんじゃないだろうか。昭和7(1932)年あたりの寺田の連句論では個人を超えた「集合人」のアイディアを提出するが、あれなんかは大宅壮一の「集団」主義とシンクロしてる気がする。

2015-03-02 20:20:15
荒木優太 @arishima_takeo

しかも、大宅の「集団」や「編輯」が最終的には固有名に回収されてしまうパラドックスを強いられるように、寺田の「集合人」もアナーキーに陥らぬよう「統率的人傑」(典型は芭蕉)が管理するようになる。集団のダイナミズムが固有名消費において安定化(予定調和化)される。

2015-03-02 20:25:42
荒木優太 @arishima_takeo

どうも大澤はこれが嫌らしいが、しかしこういう一個人の固有名に仮託された代表者制を回避しようとすると、寺田の場合出てくるのは「日本」とか「風土」という名のナショナリズム(潜在的構造)だったわけで、それはやっぱり危険じゃね?って気もする。p.booklog.jp/book/92722

2015-03-02 20:29:12
荒木優太 @arishima_takeo

大澤の記述は所々「大宅壮一研究」になりそうになるが、それを禁欲して「批評メディア論」に戻そうとしているのがよく分かる。私だったら禁欲せずに、「大宅壮一、サイコー」とか言い出すと思うので、すごいなあと思う。

2015-03-02 20:34:23
荒木優太 @arishima_takeo

例えば、私にとって小林多喜二はメディアの(内容でなく)形式を問うた人で、それはビラ、落書き、壁小説、レポといった非公式の無名のテクスト群についての描写に現れているが、私は「そういうこと考えた多喜二、マジサイコー」と固有名消費してる…し、それでいいやとも思っている。

2015-03-02 20:35:41
荒木優太 @arishima_takeo

さて、『批評メディア論』がいい本だったのは分かったが、しかし、これで読書会できるかっていうと(そういう計画を立てていたのである)、結構微妙だな。なんやかんやで難しい。やるなら、「序章、一章、二章を読んできてね」という形で分割でいくべきか。このくらいなら集中力続くだろ。

2015-03-02 20:40:16
荒木優太 @arishima_takeo

とりあえず、結論としては、これから先、水嶋ヒロ問題に言及する者は『批評メディア論』第五章「匿名批評論」を避けて通ることはできないってことだな(なんだそれ)。

2015-03-02 20:43:52