中国古典における偽書、伝世文献と研究関連

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ゆう @royaki09

久々に目を通した張心澂『偽書通考』、巻頭の総論部分が思った以上によくまとまってる。

2015-03-09 14:50:59
ゆう @royaki09

『偽書通考』総論で特に気になったのが最後の「弁偽事之発生」。 (一)古人不自著書 (二)古人著書不自出名 (三)古書世傳非成一手 (四)書名非著者之名 「因不明古時情状、昧於古書之来源、以今人著書之法例之、由誤会揣測…遂躋於偽書之列」なんて記述まで… @pianxing

2015-03-09 14:54:38
ゆう @royaki09

ちなみに「古書」の定義は、確か清末 張之洞の『輶軒語』かどこかに明記されていた記憶がある。特に余嘉錫は、それをそのまま忖度してる印象があったけど、張心澂もかな?というか、影響関係、どうなってるんだろう?

2015-03-09 14:59:42
ゆう @royaki09

※「古書」とは? 讀書宜多讀古書。除史傳外、唐以前書宜多讀、爲其少空言耳。大約秦以上書、一字千金。由漢至隋、往往見寶、與其過也、無亦存之。唐至北宋、去半留半。南宋迄明、擇善而從。(張之洞《輶軒語・語學第二・通論讀書》)

2015-03-10 09:18:22
ゆう @royaki09

管見の限り、余嘉錫『古書通例』に『偽書通考』の言及は見えないし、今のところ張心澂『偽書通考』にも『古書通例』(『古籍校読法』)の言及は出てきてない。見落としてる可能性もあるので、しかとは言えないけど。

2015-03-09 15:08:00
リューイチK @RyuichiKogachi

@royaki09 こんにちは。余嘉錫は、姚際恒の「弁偽」や「偽書」観にかなり強く批判しています。『古書通例』拙訳、p.271。それなので、民国時代に姚氏流の弁偽を再評価した人々をも総じて無視しています。余氏は、「偽」という概念を使うには慎重であるべきという立場のようです。

2015-03-09 15:19:55
リューイチK @RyuichiKogachi

「疑古」(古い書物の内容を疑う立場)とか「信古」(信じる立場)とか、「証古」(考古資料などで書物の内容を証明できるとする立場)など、いろいろなレッテルが中国学術史には用意されているが、余嘉錫はそのどれにも当てはまらない。

2015-03-09 15:28:47
ゆう @royaki09

@pianxing こんにちは。ご示教、ありがとうございます。「偽」という評価軸が間違っているとの主張は理解できていたつもりでしたが、弁偽学者が総じて無視されているのは、『古今偽書考』批判の存在感からか気づきませんでした。…

2015-03-09 15:31:24
ゆう @royaki09

@pianxing …ただ、あまりに『偽書通考』総論・弁偽事之発生の内容が、古書通例のそれに酷似していたので気になった次第です。「因不明古時情状、昧於古書之来源、以今人著書之法例之、由誤会揣測…遂躋於偽書之列」という一節など、余嘉錫の主張そのもののようにも思えましたので。

2015-03-09 15:31:37
リューイチK @RyuichiKogachi

@pianxing 古い書物の成立過程を見つめ、未詳の点には判断をひかえる立場。だから、「何時何時以前に成立していた」とは言っても、「何時何時に誰が書いた」とは言わない。

2015-03-09 15:32:33
ゆう @royaki09

@pianxing …その一方で「偽書」とそうではないものという区別が暗にされているのも確かで、その意味でご示教が腑に落ちました。

2015-03-09 15:36:00
リューイチK @RyuichiKogachi

@royaki09 仰る通りです。ご指摘の点については、まったく同じ主張です。張氏がそのように考えるようにいたった経緯は、ひとつの問題です。姚際恒や梁啓超ばりのクリアな断定とは、少し違うように思えます。

2015-03-09 15:36:09
リューイチK @RyuichiKogachi

@royaki09 張氏の場合、「偽」の範囲が広すぎて、ほとんどの古文献が偽書になってしまっていますが、そうであるからこそ、かえって資料集としての意義が生まれていると思っています。ある書物についての歴代の議論をすくい取る網の役目をしており、重宝しております。

2015-03-09 15:44:40
ゆう @royaki09

@pianxing そうですね。まったく同感です。今回、総論部分を読み直して、さらに予想外の収穫が得られたのは僥倖でした。一口に弁偽学と言っても、まだまだ見るべきところが多いことを再認識した思いです。

2015-03-09 15:48:19
大野裕司(術数学)😷 @onoyuji_daye

この論文がよくまとまってそう。 陳力「二十世紀古籍辨僞學之檢討」 ruzang.com/displaynews.as… PDF coe21.zinbun.kyoto-u.ac.jp/papers/shomots…

2015-03-09 18:26:08
大野裕司(術数学)😷 @onoyuji_daye

弁偽の学の重要性については、一般向けには坂出祥伸『中国古典を読むはじめの一歩―これだけは知っておきたい』(集広舎、2008)があります。

2015-03-09 18:26:32
大野裕司(術数学)😷 @onoyuji_daye

書くと言っておいてほっといてた骨董市場流出簡の話ですが、要は中国学には先学が積み重ねてきた弁偽の学の蓄積があるのだから、それを無視せず、科学的考古発掘を経た資料だろうと、盗掘でそれを経ていない資料だろうと、疑いの目を以て接すればいいのでは、というのが私の立場です。

2015-03-09 18:27:11
大野裕司(術数学)😷 @onoyuji_daye

「弁偽」といっても真/偽の二項対立ではなくそこに種々様々なグラデーションがあることは上引のTLや論文に言う通りです。

2015-03-09 18:27:41
大野裕司(術数学)😷 @onoyuji_daye

ただ中国学の中でも考古学に重度にコミットメントされている一部の方(あるいは逆に関心の薄い方も?)は、そもそもの中国学的方法を(故意に?)忘却して骨董市場流出簡を最初から「偽」の目で見てしまう傾向があるようです。

2015-03-09 18:28:12
大野裕司(術数学)😷 @onoyuji_daye

承前)しかしながら、そのような態度は、従来の弁偽の学を重視してきた中国学的立場から離反するものではないかと個人的には考えます。

2015-03-09 18:28:40
大野裕司(術数学)😷 @onoyuji_daye

伝世文献は当然「科学的考古発掘」を経てるわけがないですが、これまでの中国学研究において歴史や思想の資料として(弁偽をした上で)使って来ているわけですし。そしてその成果の上に我々の今日の学問もあるわけです。一部の研究者の方はここに矛盾を感じていないのかなと私は思います。

2015-03-09 18:29:20
望月うさぎ @usagitan

@soukann2009 『史記』仲尼弟子列伝の篇末に「太史公曰・・・」があり、かの壁中書(孔壁)に弟子一覧の竹簡があったということですね。 そもそも、無位無官であった孔子を魯の重要職に就いていたと捏造した弟子たちですから、その内部抗争も凄まじかったでしょう

2015-03-11 11:36:07