エボラウイルスワクチンとリバースジェネティクス

エボラウイルスに関する研究はここ1、2年で急速に進んだのでしょね・・・。
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とうとうできたみたい。しかも日本の東京大学で。

ぶたやま@「ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん」発売中 @Butayama3

ついにきたエボラウイルス丸ごと加工。 遺伝子操作して繁殖能力を無くしてさらに過酸化水素水で不活化させてワクチンにって…すっごいんじゃない? /エボラ熱に新ワクチン 日米チーム、サルで効果確認 nikkei.com/article/DGXLAS…

2015-03-27 08:17:39
リンク www.nikkei.com エボラ熱に新ワクチン 日米チーム、サルで効果確認 東京大学の河岡義裕教授を中心とする日米の研究チームは、特効薬がなく致死率が高いエボラ出血熱の新たな予防ワクチンを開発した。サルに新型ワクチンを投与したところ、多量のエボラウイルスが体内に入っても発症

質問タイム。

ぶたやま@「ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん」発売中 @Butayama3

過酸化水素水で不活化…て簡単すぎない? 今まで何でやらなかったの? 一番大事なのは「遺伝子操作で繁殖能力を…」ってとこなんだろうけど、それって具体的にどの部分の能力のこと? それ無くなったらウイルス増えないけどどうやってワクチン増やすの?

2015-03-27 08:35:59

先生きた。

Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 そこでリバースジェネティクスですよ。

2015-03-27 11:11:26

えっ、昨日「光るインフルエンザウイルス」の話していた時に出てきたアレ? 
そういえば、同じ東大のプレスリリースでしたね。

というわけで、昨日のわいたんべさんの「リバースジェネティクス」についてのツイートをどうぞ。

Y Tambe @y_tambe

ウイルスの実験系では、リバースジェネティクスは割と常套手段だし、蛍光タンパクを入れて標識するのはウイルスに限らず遺伝子解析の常套手段。河岡先生のところが、インフルエンザウイルスでのリバースジェネティクスを立ち上げたところだから、ある意味「お家芸」みたいなもの。

2015-03-26 12:48:35
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 ウイルスの場合、「リバースジェネティクス」って手法は、もう少し別の意味に使われます。元のウイルスが存在しない条件でも、遺伝子と培養細胞を使ってウイルス粒子を人工的に作り出す、くらいの意味になる。

2015-03-26 12:58:44
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 インフルエンザウイルスの遺伝子はRNAだけど、「遺伝情報として」ならば、同じ情報のDNAでも構わないでしょ? エンベロープとかカプシドなど、細胞内に侵入するために必要なタンパク質は、別のかたちで細胞内にそのDNAを注入すれば不要だし(続

2015-03-26 13:02:10

昨日はインフルエンザウイルスの話。
今日はエボラウイルス。でもどっちもウイルスの遺伝子操作の話です。

Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 この「遺伝子操作して〜」というのを河岡先生が作ったのは2008年。 pnas.org/content/105/4/…

2015-03-27 11:13:42
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 結局のところ、「ウイルス」は「タンパク質と核酸の集まり」なわけで。まぁそれ言ったら、僕らの細胞とかも「いろんな生体分子の集まり」に違いないけど、それに比べると遥かに構造的にも成分的にも単純というか。(続

2015-03-27 11:16:22
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 承前)だから、「細胞自身のDNAに、クラゲ由来の遺伝子入れて、蛍光タンパク質を作らせる」と同じくらいのノリで「細胞自身のDNAに、ウイルス由来の遺伝子入れて、ウイルス粒子を作らせる」ことも可能。それがウイルスのリバースジェネティクス。

2015-03-27 11:17:54
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 そうするとこの細胞は、せっせと「VP30欠損エボラウイルス」のウイルス粒子を作るわけ。これはVP30以外は正常だから、動物に感染させると細胞の中に入って、ウイルス由来のタンパク質や核酸をせっせと作る。ただVP30がないので、そこから「娘ウイルス」が生まれない

2015-03-27 11:23:03
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 だから「最初に感染した細胞」だけには、いろいろ変化を起こしても、変化を起こすのはソイツらだけに留まって広がらない。やがて免疫細胞が、ソイツらに気付いて、作ったタンパク質への抗体が作られたり、その感染細胞をキラー細胞がやっつけたり。で、さらにそれが記憶される。

2015-03-27 11:26:39
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 ただ、今回のケースでは「過酸化水素による不活化」で、さらに安全なものにしている。この処理は実用化されてるワクチンにはあまり見られないのだけど、実験室なんかでは、細胞とかの処理にも割とよく使う方法で、今回の論文によると(続

2015-03-27 11:29:38
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 承前)「過酸化水素処理したウイルスでは、抗原性が保たれやすい例がいろいろ知られている(大意)」ということ。通常、ウイルスの不活化ワクチンは熱処理やホルマリンなど、タンパク質の変性(構造変化)を起こして「増えないけど、抗原性は保たれてる」状態にしたもので(続

2015-03-27 11:32:53
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 承前)今回のケースでは「過酸化水素処理の方がより効果が高いだろう」ということで、そっちを選んだ、という感じ。(続

2015-03-27 11:36:41
Y Tambe @y_tambe

@Butayama3 承前)そういう、もろもろのことを合わせると、今回の「VP30だけを持たない(他の遺伝子は全部持ってる)増殖しないエボラウイルスを、過酸化水素処理してワクチンにした」という意味は、大体理解できるかと。

2015-03-27 11:44:41
Yukihiko Sugita @yuki_sugi

@y_tambe @butayama3 たぶん逆で、VP30だけ細胞に作らせて、その他の遺伝子はウイルス由来だと思います。プレスリリースの図2が分かりやすいです。ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/files… (PDF)

2015-03-27 12:15:02
Y Tambe @y_tambe

@yuki_sugi @Butayama3 あっと失礼。その通りでした。(どうも最近この手のポカが多いな…

2015-03-27 12:17:46