グランクレスト大戦：ザンビ日記まとめ　そのよん　43日目～56日目（最終日）

45日目：HP51/SP161/調査点0/口うるさい文官/危険を求める邪紋使い/オルガノンの狂戦士：教えるのは性に合わない

「さて、始めるのだよ」
対峙し、それこそ食事でも始めるかのように軽く言ってのける
リーヴェス候の後方部隊の練兵を請け負った、緑の髪の男は冷笑とも微笑ともつかぬ薄笑いを彼らの前に突き付けた
温雅な立ち居振る舞いに騙されてはいけない、と言うことを彼らは既に知っていた
正規の訓練を受けた使い手が、我流の戦士など、相手にせぬのと同じこと、そう考えていた彼らは、もうどこにもいない
だが、自分達も数々の修羅場を潜り抜けて来た、叶わずともせめて一泡吹かせることぐらいは出来るはずだ、と思っていた
それまでは

彼らが彼を甘く見たのには、彼らが長剣で向き合ったのに、あくまで素手で応対しようとしたということもあったかもしれなかった
格闘を主技とする者には珍しい長衣の裾が風に靡いた
違う。ゆっくりと裾が動いたのは、風ではない
彼の動作を受けてのものだった

反応の身動ぎひとつさせず、その手刀の、蹴りの一閃は、皮膚一枚の精密さで、確実に戦意を奪っていく
「おう、一日目でそんなに苛めるでないぞ」
彼らに不利な勝負の均衡を破ったのは、双方の雇用主たるリーヴェス候である
出の時宜を図ったかのような見事な登場であった
「腕が違う故。命に関わる怪我などさせぬのだよ」
しれしれとリーヴェス候に言ってのけた、一見優男とも言えなくない邪紋使いの男は
「悔しいとくらい思って頂きたいのだがね」
そう、戦意を猶削り取られた彼らに追い討ちをかけた

通りすがりに支援したい

46日目：HP56/SP163/調査点0/口うるさい文官/危険を求める邪紋使い/オルガノンの狂戦士：fellow citizens

宿の名は『イサク』
各々の部屋でも食事が摂れるが、玄関奥で夜には騒がしい酒場になってしまうが、昼間は家族連れの利用も多い料理屋が営まれていたりなどもする
この地域での等級は、中の上と言ったところか
その席は店の真ん中と言うわけでもなく、寧ろ奥まった暗い席であったのだが、円卓を囲む３人の男達を中心として賑わっている
卓の上は、彼ら自身が注文したものではないものも含めて、酒と料理で溢れ返り、既に空けられた皿も山と積み重ねられている

彼らは戦場から一時引けて来た流しの傭兵らしい
一人はリーダー格らしい、長身の端正な男
整っているが冷たい印象を裏切って、話しかけられれば穏やかに応対し、なかなかの話し上手で話題も豊富だ
何処の出身なのか、長く伸ばした緑の髪は珍しく、容貌も相まって酷く目立つ

一人はにこやかに微笑む、どこか大型犬めいた雰囲気の茶色の髪の男
彼は人の話を聞いているのが好きらしく、自分からは話を振らないが、愛想よく眼を輝かせて聞いている
話の切れ目を見てはもの言いたげな次の話し手に話題を振ったりもしている
見た目に依らない力持ちらしく、腕相撲自慢達と意気投合するや、勝負し始める

もう一人は黒髪の、きつい眼差しの剣呑な男
食事を程々摂った後は、黙ってエールをあおりながら、それとなく周囲の様子を伺っているのが猫のようだ
時折、緑の髪の男に視線を向けるその時だけ、目許のきつさがほんの僅か緩む

酒場では時折程度を超した悪ふざけをする者がおり、『イサク』もその例外ではなかったが、そんな傍迷惑な飲んだくれは今夜は長居する間もなく、彼らにやんわりとつまみ出されたこともあって、普段の数倍の客が、この夜半過ぎになっても引きを切らない
何処から話を聞いたのか、彼ら狙いか、単に安全に夜を楽しめるからか、女達の姿も多い
三人が『イサク』の宿泊客で、明日昼までの投宿の予定であることに主人はほくそ笑みながら、サービスにエールと甘い果実酒を運んでやることにした

ザンビックと先ほどまで温泉の話で盛り上がっていた酔っ払いが一人上機嫌の千鳥足で立ち去っていく
と、見せて、彼はサディラの根回しした本職の間諜であった
彼がそっと手渡した紙切れに、酒場の喧騒の中でも『主』が用心深く目を通し終わるのを待っていたヘーゼルが
「なント？」と顔を寄せるようにすると端的に「是、と」と耳元で返され、かかった息にくすぐったそうにしている
それに対してらしく、女達が意味不明な歓声を上げているのに怪訝な顔をしながらザンビックは、『陸王』が腕相撲大会決勝戦で王手をかけつつあるのに視線を投げて
「囮も楽ではないのだよ」
と、そっと溜息を洩らした

47日目：HP61/SP165/調査点0/口うるさい文官/危険を求める邪紋使い/オルガノンの狂戦士：市場にて

宿の主の好意に甘えて、ゆったりと昼食を取った後、市場を冷やかして歩く
何処からか飛んできたもの…悪意や殺気は感じないから、差し入れと判断して受け止める
甘いが、果肉は硬い果物だ
飛んできた方向に視線をやれば、昨晩飲み交わしたらしい、何処か見覚えのある顔が、にっと笑っている
果物を掴んだままの手を少し突き上げ、礼の代わりにし、ザンビックは先に菓子を商う露店の前で、アレだコレだと物色し始めたヘーゼルと『陸王』の、珍しく浮き立った背中に近づいた

48日目：HP52/SP177/調査点0/口うるさい文官/危険を求める邪紋使い/オルガノンの狂戦士：せめて彼女達に傷を入れぬように

壁になるのだよ（職能）

私は後方をぽちったつもりだった（死のう）

だが女神様がいた（拝む）

ザンビック曰く「女子に傷を入れるなど男の恥」だそうです