「カルヴァート・キャリーズ・オン・ザ・デス」――『ニンジャスレイヤー』二次創作小説

うさぎ小天狗(実写版) @USAGI_koTENGU

「……ゴホッ」男が咳をした。タケヒトはゆっくりと、自分が組み敷いている男を見下ろした。……度重なるタケヒトのマウントパンチに、男のフードは剥がれ、その顔があらわになっていた。「アッ……」タケヒトはぶるりと震えた。全身の血の気が引いた。……見てはならないものを見たと思った。 48

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「ニンジャ……？」タケヒトは我知らずつぶやいていた。「ニンジャ……ナンデ……!?」タケヒトは見たのだった……男のフードに隠された素顔を。凶悪犯拘束具めいたマスク……いや、メンポ（訳注：面頬か）を半ば顔に融合させた痩せた男の顔を。ぎらぎらと愉悦に光る、凶暴な獣の顔を。 49

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「ドーモ、旦那さん」男が再び嗤った。「デスドレインです」 50

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……三十分後。「アッアッ」「ンでよ」「アグッアッ」「尻はやだ尻はやだッつうからさ、前もシてやったワケよ。そしたら泣くんだぜ」「アギッグア」「なア、旦那さん、あンた、娘にどういう教育してンの？」「アグッアッアッ」「知らない人になンか言われたらいうこと聞いとけって、なァ」 52

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「でもよ」「アッアッ」「いい匂いすンのな、子供ってよ」「アギッ」「俺、楽しくなっちゃってさ。先にシメちゃった。ここで奥さんギャン泣きだよ」「アグウッ……ホダヨ……」「あ、そういう名前なの？そうそう、それでホダヨ=サンだよ。この人もいい匂いすンのな。何？石鹸かなんか？」 53

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「グウッウウッ」「それともアレか？俺みたいな薄汚れたのとは、なんか育ちとか違うのかなァ？」「ウウッウッッ」「でよ、だからよ、あンたの匂い嗅いだ時にさ、ピンときたンだよな。『あー、こいつは俺がファックした幸せ家族のパパさんだな』ってヨ！」「ウオーッ！」 54

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……タケヒトは生きていた。全身を汚水に取り巻かれ、口孔を除く穴という穴に侵入され、燻されるような不快感と、絶え間ない鈍痛と、皮膚の引き連れるような痒みと……絶望に取り巻かれて、それでもなお、彼は生きていた。いや、生かされていた。 55

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「ウゴッゴロッ」「ン？」目の前の男が……彼の妻子を辱め、殺し、彼もまた辱め、いずれ殺すであろう男が……恐ろしいニンジャが彼を見た。「なに？」「ゴロ」「ア？」「ゴロ……ジデ……」「エッ!?」ニンジャが驚愕の叫びを上げた。「そんな！そんなひどいこと、俺にさせようってのか!?」 56

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「ゴロジデ……」タケヒトは言った。泣いた。泣いて懇願した。「ゴロジデ……」「やめてくれよ！」ニンジャが叫んだ。「そンなことできるわけないだろ！」「ゴロゼ……」「旦那さん、あんた、俺を人殺しにしたいのか？」「ボウ……ヤベデ……」「また、人を殺させたいのか!?」「ウグッ……」 57

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「アレッ？」ニンジャが言った。「死んだ？死んだの？」「ウグッ」タケヒトがうめいた。それを見て、ニンジャはにんまりと嗤った。「アーなンだよ、生きてンじゃねェか！ビビったわ。もうちょっと楽しめるかと思ってたから、な、もったいねエだろ？」 58

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その言葉に、タケヒトははらりと涙をこぼした。「アッ、あンた、泣いてンの？」ニンジャが嗤った。「アーアーいいオトナが泣いちまってよ。カワイソウだなァ。じゃあ、ここで奥さんになぐさめてもらうといい」その目がぎらりと光った。「アッ……アーイエエエエエエエエエエエエエエエエ！」 59

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タケヒトの視界……正面に立ち、彼を見上げているニンジャ、その背後に、ゆっくりと立ち上がるものがある。それは……。「『アナタ、アナタ、ダイッジョブ？』」ニンジャが甲高い声で言った。その声に合わせ、タケヒトの視界で、起き上がった妻の亡骸が、ジョルリめいてがくがくと動いた。 60

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「『アカチャン、泣かないで、オッパイ、触る？』」ニンジャが甲高い声で言った。妻の亡骸がジョルリめいてがくがくと動いた。「『ファックしてもいいのよ』……やっぱうまくいかねェわ」ニンジャが吐き捨て、次の瞬間、妻の亡骸はばしゃりと汚水を巻き上げて崩れた。 61

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「なンか飽きてきた」ニンジャが言った。「なんだこれ、初めてから二時間も経ってンの？もう十一時半？アッヘ」ニンジャが嗤い、そして、タケヒトは死んだ。 62

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（「カルヴァート・キャリーズ・オン・ザ・デス」）（おしまい）