《「原発事故発生から4年後の福島」を狭い枠に閉じ込めるという問題》

自己ツイートをまとめました。
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宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

今年の「311から4年」企画で、あちこちで開沼博氏のインタビューやら文章やらを、げっぷが出るほど見たんだけど。 正直、「たくさんの人と会って、多くの事例を見てきた専門家」を証するにしては、出せる話の引き出しが少ないんだよね。 メディアの側が、同じ話を求めてるんだと思うんだけど。

2015-03-31 22:42:33
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

で、一般的には「社会学者の公に求められるお仕事」というのは、 注文に応じて同じ話を繰り返せば良いんだよね。 例えば「新しい道路や空港を作ったら、こんなに経済効果が見込めるんです」みたいな感じで。 それを開沼氏は「原発事故発生から4年後の福島」に関して実行してるだけで。

2015-03-31 22:45:17
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

ただ、他の社会学者のお仕事と違うのは、 地方空港の開港の話や、高速道路の延伸の話とは違って、 話を求めるのが日本全国のメディアという広範囲で、なのに語れる社会学者が開沼氏1人しかいない、という事。 もっと大勢がそれぞれの持ち芸で語る事ができたら、同じ話も目立たないのに。

2015-03-31 22:48:15
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

さらに、開沼氏が辛いのは、 「今も福島県内に生活して不安に苦しんでいる人」とか「福島県外で不安に感じている人」とか「福島県外からさらに遠方に避難している人」とかから、体験を聞いているのに、ネタには使えないという事。 注文主の要望に応えるには、そういうネタは使えない。

2015-03-31 22:51:34
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

開沼氏にインタビューを受けた、「福島県内から県外に避難したままの人」を私は複数知っている。けれど、その人たちの話は、開沼氏のネタには全く反映されていない。 良いですか? 社会学者が、注文に応じて見通しや考察を語る、というのは、そういう事です。 注文から外れる材料は、削ります。

2015-03-31 22:54:21
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

「学者の仕事」って、そういうことですよ、一般的には。 出したい結論から外れるデータは、何かの理由でイレギュラーなものだとして、削除する。 削除の理由が正当ならば、批判はともかく、非難されるようなことではありません。 この場合の問題は、開沼氏が話を削ったことが公開されていないこと。

2015-03-31 22:58:16
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

社会学者に関しては、何かの予測や推計を出す「仕事」をしたとして、 その予測や推計が間違いだったからという理由で責任を問われることは、 基本的にありません。 静岡空港とか神戸空港とかが、開港前の需要予測と実際の需要が大きく違ったことについて、予測をした学者が批判されましたか?

2015-03-31 23:04:01
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

基本的に、公共事業の経済効果について、 予測が甘かった責任を問われるのは、政治家です。 それは、予測を立てるのが社会学者であっても、 政策として実行する責任が政治家にあることになっているからです。 この状況は「学問のゆがんだ政治的利用」だと感じるので、 私は承服しかねますが。

2015-03-31 23:07:57
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

とは言え、 「原発事故発生から4年後の福島」を、 NHK、朝日新聞、毎日新聞、各種雑誌まで、開沼博氏1人に語らせるのは、 社会学の活用法としては、あまりにも単調だし、不十分です。 まして、福島県民や福島県からの避難者を研究対象にしている社会学者は、他にもいるのに、です。

2015-03-31 23:13:25
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

とすると、開沼博氏1人が多くのメディアで取り上げられるのは、 開沼氏の側になにか理由があるのではなく、 彼1人を取り上げるメディアの側に理由があるのでしょう。 地方空港を何とか開港しようとする地方公共団体が、 その経済効果を大盛りにして計算してくれる人物に予測させるように、です。

2015-03-31 23:17:00