忍殺二次お題カラテ【シークレット・ビトウィーン・マザー・アンド・ドーター】（原文のみ）

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

＼ #4215tk エンタテイメント ／

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◇お◇ドーモ、シカナです。これより４月２３日に募ったお題をニンジャでギュルギュルゴンゴンした忍殺二次創作を投下します。タグ #4215tk をミュートすることでTLの圧迫やあるかもしれないニンジャ本編のネタバレを避けることができる。必要ならばしよう◇題◇

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◇前◇また、タグ #4215tk は実況としてもお使いいただける大変ハイ・テックなシステムです。実況があるとシカナのヤルキが三倍近くにもなり、なんか捗る。なお、頂いたお題は「ショッピング」「ケンドー機動隊」「秘密の花園」「紙芝居」「裏路地」「女騎士」でした。ではやる◇説◇

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【シークレット・ビトウィーン・マザー・アンド・ドーター】 #4215tk

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「お母さーんっ！」「グワーッ！？」突然の腹部の衝撃。スバルの意識が覚醒する。意識はゆるやかに闇へ「起きてーっ！」「グワーッ！？」沈む前に勢い良く体を揺らされる。右のサイバネアイが起動し、自分の腹の上に跨っている少女を捕捉した。カヤ。「いつまで寝てるの？」1 #4215tk

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むくれてこちらを見る娘を見て、バツ悪げな笑みを浮かべる。「アー……ゴメンね」サイバネアイ視界内の時刻表示を確認。昼前。「今起きるよ。だから降りて？あなた、もうそんな軽くないんだから」「ハーイ」カヤが素直に降りたことを確認し、スバルはフートンから身を起こした。2 #4215tk

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「朝ごはんは？」「自分で作った。お母さんのも作ったげようか？」「いい、いい……カラテトレーニングでもしてきな」「ハーイ」小走りに出て行く娘を見送り、スバルはのろのろと寝間着を脱ぐ。露わになった体は筋肉質で、そこかしこに傷がある。ケンドー機動隊時代の勲章だ。3 #4215tk

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顔の右上や右腕と置換されたサイバネは、彼女にとっても名誉の負傷だ。ニンジャとの大捕物の。彼女が所属していたのは、そうしたイクサも想定された精鋭部隊。あの時も数人の犠牲と引き換えにニンジャを爆発四散させた。忘れられない瞬間。カヤと出会いもあの現場だった。4 #4215tk

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カヤは実の娘ではない。養子だ。ニンジャの襲撃を受けたカチグミ家庭の、唯一の生存者。もう一人の侵入者と思しきニンジャの爆発四散痕の前で気絶していた。何が起こったのかを聞き出すことは結局できなかった。その取り調べ中に、スバルは彼女を養子として引き取ることを決めた。5 #4215tk

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あのような残酷な状況で親を失った子どもを、非合法すれすれの孤児院に送るのは許し難かった。当時の上司であったムナミ・シマカタの協力を取り付け、実際にカヤを迎えるまでにどれほど時間がかかったことか！報道機関からの的外れな批評など、どれだけ受けたかわからない。6 #4215tk

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中でも傑作だったのは、「秘密の花園を作る為の卑劣な引取り行為」というスカム記事。あれを見た時は怒りを通り越して笑ってしまった。同僚からもジョークとして使われるくらいに面白い記事だった。まあ、無責任な噂が立つ程度にはカヤが美しかったというのもあるかもしれない。7 #4215tk

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……着替え終え、遅めの朝食をとるスバルの前にカヤが座った。カラテトレーニング後にシャワーを浴びてきたのか、髪が濡れている。煌めくほどに美しい金色の髪。「お母さん、今日はどうする？」「そうだねえ」スバルはスシを食べる手を止め、考える。今日は特にビズの予定もない。8 #4215tk

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今の彼女はケンドー機動隊を辞職し、別のビジネスをして生活資金を稼いでいる。娘には言えない類のものだ。スバルは窓の外を見やる。ネオサイタマには珍しい快晴。最近はビズにかまけていたために、カヤとの時間を取れていない。「買い物でも行くか」それを聞いたカヤの顔が輝いた。9 #4215tk

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ブーンブーンブブーン。ブーンブーンブブーン。店内BGMを聞き流し、スバルはコケシモールの中を進む。「安い、安い、実際安い……」手を繋いだカヤが、楽しげに口ずさむ。「何か買いたい物あるかい、カヤ？」「本屋行きたい！」「本屋？またカートゥーン？」「別にいいでしょ」11 #4215tk

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「悪いとは言ってないさ」スバルは笑い、エスカレーターを目指す。その途中、ネコ耳めいたウェアラブル端末を着けた客とすれ違う。スバルは思わず足を止め、ぎょっとしたように振り返った。相手は気に留めた様子もない。サイバネ尻尾を機嫌良さげに振り、遠ざかっていく。12 #4215tk

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「お母さん？どうしたの？」「あ、ああ」訝しげに訊いてくるカヤに、スバルはぎこちない笑みを見せた。「ちょっと仕事仲間に似てたもんだから、つい、ね」カヤは無言ですれ違った女の背を見つめる。「ネコネコカワイイと仕事してるの？」「アー……そういうわけじゃ」13 #4215tk

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カヤが小首を傾げる。「お母さん、本当にどういう仕事してるのさ」「それは……エート」スバルは言葉に詰まり、視線を逸らす。カヤが溜息をついた。「まあいいけど。お母さんはそんなことするような人でもないだろうし」「悪い」スバルは頭を下げる。感謝と、若干の罪悪感。14 #4215tk

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「いいよ。その代わりカートゥーン何冊か買ってもらうから」「ハハ、ちゃっかりしてる」悪戯っぽく笑うカヤに、スバルは苦笑を返した。いい子だ。何年も暮らしている自分から見ても。彼女にいい暮らしをさせるためにも、『ビズ』を気張らなくては。スバルは決意を固めるのだった。15 #4215tk

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……買い物も終わり、彼女らはコケシモール１階の安らぎ広場にて憩っていた。並んでベンチに座り、途中で買った生姜ソーダを回し飲みする。「カヤ、お腹は空いてない？」「ううん、まだ大丈夫」「本当？」「本当。もう少ししたら一緒に食べよう」「そうだな」スバルは微笑する。16 #4215tk

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スバルは改めて広場を見回す。人通りの忙しないコケシモールの中、ここだけは時の流れが緩やかだ。パフォーマンスをやる者すらいる……例えば、広場の隅で行われている紙芝居のような。「イヤーッ！グワーッ！」イクサの場面なのか、演者の迫真のカラテシャウトが響く。17 #4215tk

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スバルは思わずその紙芝居に見入った。手書きの背景に手作りの紙人形。実際安い見世物。それでも人の目を集めているのは演者のワザマエか。演者の顔は深く被られた編笠で伺えない。不意に彼女は娘の様子の変化に気づいた。どこか緊迫した様子で、食い入るように紙芝居を見ている。18 #4215tk

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「……カヤ？」声をかけると、彼女は弾かれたように振り向く。「どうかしたか？」「う、ううん！カラテシャウトがスゴイから、聴き入っちゃって」カヤが笑う。しかし、その笑みはどこかぎこちない。「……大丈夫か？」「大丈夫だよ！やだな、そんな深刻な顔しないでってば」19 #4215tk

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スバルは嫌な想像に思い当たる。かつて彼女の家族を奪ったニンジャの襲撃。あのカラテシャウトがその時の思い出を刺激しているのでは？「別のところ行く？」「だ、大丈夫だって……本当だよ」カヤが困ったように言う。その時だ。スバルのサイバネアイ視界にIRC通信の知らせ。20 #4215tk

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スバルは顔をしかめ、通信内容をスキャニングする。「カヤ」「何？」「ゴメンな。ビズだ」カヤが一瞬だけ悲しげに顔を歪める。が、すぐに気丈な笑顔へ代わった。「忙しいんだね、お母さんは」「ゴメン」「いいよ。ほら、早く行って？今日は早く帰ってきてくれると嬉しいな」21 #4215tk