忍殺二次創作【シー・イズ・オールウェイズ・イン・トラブル】(原文のみ)

(これまでのあらすじ:どこにでもいる普通の女子高生、キサキは味気ない人生に絶望し屋上から身を投げる。その時、彼女にニンジャソウルが憑依したのだ……!) こちらは原文のみです。実況付きはこちら→ http://togetter.com/li/820118
0
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

◇短◇ドーモ、シカナです。これより短編めいたニンジャ二次創作を投下します。今回はオリジナル要素がとても強く、原作キャラとかは出ない。なのであまりそういうのはなあと思う方はタグ #4215tk をミュート推奨。なおこのタグは実況にも使えるハイ・テックなシステムです◇編◇

2015-05-11 20:33:42
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

【シー・イズ・オールウェイズ・イン・トラブル】 #4215tk

2015-05-11 20:36:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

今日もアッパーガイオンの空は青い。しかしキサキは学校へ行くために外に出た瞬間、凍りつかんばかりの寒気を覚えた。「オハヨ、キサキ=サン」家の前でにこやかにアイサツを送ってきたのはアカネ。演劇部所属の三年生。男装の麗人、という言葉が似合いそうなセンパイである。1 #4215tk

2015-05-11 20:39:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「お……オハヨゴザイマス。アカネ=センパイ」キサキはなんとかオジギを返した。アカネは微笑む。「別に呼び捨てでもいいのに。じゃあ、行こうか」そう言って、ごく自然な動作で腕を組んでくる。キサキは身を強張らせかけた。組んだ腕からはアカネの熱だけが伝わってくる。2 #4215tk

2015-05-11 20:42:16
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

そのまま、連行めいてエスコートされるキサキは自宅を振り返る。自宅の窓から視線を感じたからだ。「どうしたの?叔父さん?」「あ、いえ」手を小さく振り返すキサキを見咎めたのか、怪訝な声でアカネが問う。「アー……いとこです。叔父はちょっと遠くへ」「ふうん……?」3 #4215tk

2015-05-11 20:45:32
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

アカネは不思議そうに首を傾げていた。しかしそれ以上踏み込むのは奥ゆかしくないと考えたのだろう。再び微笑を浮かべて学校へ向かう。無論、キサキと腕を組んだままで。(慣れない)キサキは胸中で呟く。あの日から変貌した己の人生に、彼女は依然として馴染むことができないのだ。4 #4215tk

2015-05-11 20:48:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「オハヨ、キサキ=サン!」「今日もカワイイだねー」「あ……アリガト」クラスルームに入るやいなや声をかけてくるクラスメイトの女子たちに、キサキはぎこちない笑顔と共に答えた。キサキは彼女らの名前を覚えていない。つい最近まで、何の関係もない人間だったからだ。6 #4215tk

2015-05-11 20:51:26
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

キサキは元々ナードだった。人前に出るのも苦手だし、運動もできない。勉強はそれなりだが、それを人間関係の形成に繋げられるほど器用でもなかった。家族にもあまりいい思い出がない。両親は早くに亡くなり、引き取られた叔父ともうまくいかない。彼女は人生に倦んでいた。7 #4215tk

2015-05-11 20:54:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

だからキサキはキヨミズを決めた。一週間前の事だ。彼女は学校の屋上にハッキングを駆使し潜入し、そこから飛び降りた。空に投げ出され、気絶しそうになった意識の中で、彼女は見知らぬ誰かの幻影を見たように思った。そして無傷で着地した時、自身がニンジャになったことを知った。8 #4215tk

2015-05-11 20:57:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

最初に感じたのは全能感よりも戸惑いである。何故自分が?するべきことも思いつかなかった彼女は、帰宅して己の変化を確かめることにした。ニンジャらしい身体能力も身についてるようだったが、それ以上に目についたのが身体つきの変化だ。一言で言えば女性らしさを増していた。9 #4215tk

2015-05-11 21:00:18
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

自分でも目を疑う程の変化であったが……目立った変化はそこだけだ。ニンポが使える風でもない。まあこんなものか、と落胆した翌日からこの人気だ。あのアカネとて、それまではこちらを気にも留めていなかったはずなのに、急に声をかけてくるようになったのである。10 #4215tk

2015-05-11 21:03:20
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

その一日で、キサキはニンジャソウルが己に与えたおおよその力を把握した。どういうわけか、女性に好かれる体質になった……らしいのである。(もう少しカッコイイのがよかったなあ)クラスメイトに囲まれながら、彼女は嘆息した。男子クラスメイトの怪訝な視線が痛い。11 #4215tk

2015-05-11 21:06:14
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ともかくキサキは、アカネを初めとした学園女王(クイーンビー)達の中に名を連ねたことになる。それとて彼女には負担にしかならぬ。人の輪の中心になることに慣れていないのだ。「……キサキ=サン!」「エッ? あぁ、ゴメンナサイ。何?」「アカネ=センパイが来てるよ」12 #4215tk

2015-05-11 21:09:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

キサキは顔をしかめた。考え事に耽っているうちに昼休みか。アカネがわざわざこのクラスに顔を出すということは、そういうことだ。「……断ってもらっていい?」「お呼ばれしないの?」「気分じゃないの。お願い」視線を向ける。報告に来たクラスメイトが頬を赤らめた。「ハイ!」13 #4215tk

2015-05-11 21:12:20
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

どこか嬉しげに駆けていくクラスメイトの後ろ姿を見て、キサキは再び溜息をついた。言うことを素直に聞いてくれるのはありがたい。あの態度さえなければ。彼女は例のクラスメイトと話しているアカネを見やる。そして眉間にしわを寄せた。いつも通り豊満なバスト。気に食わない。14 #4215tk

2015-05-11 21:15:20
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

昨夜あんなことがあったばかりだというのに、なぜ彼女は平気で顔が出せるのだろう。キサキにはそれがわからなかった。その上で、普段のように自分を迎えに来たのも不可解だった。(気をつけなきゃダメだね)教室を離れていくアカネを見ながら、彼女はそう思案するのだった。15 #4215tk

2015-05-11 21:22:36
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

下校時刻。キサキはまた学校の屋上にやってきていた。アカネをやり過ごすためである。あそこまでしつこい性格だとは思わなかった。キサキはぼんやりと空を見上げる。綺麗な夕焼け空だ。日が沈むまでここにいれば、アカネもあきらめるだろうか。そう思っていた矢先、視線を感じた。17 #4215tk

2015-05-11 21:25:01
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

キサキは勢い良く振り返る。何もいない。彼女は何か得体の知れない感覚を覚えていた。少なくとも、アカネからは感じたことのないものを。やや躊躇し、キサキは鞄から携帯IRCを取り出した。『いとこ』に連絡を取り、迎えにきてもらうためだ。インセクツ・オーメンを感じる。18 #4215tk

2015-05-11 21:28:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

メッセージを送り、大人しく待っていようと「キサキ=サン?」したところ、屋上扉の向こうから聞き慣れた声。キサキは顔をしかめた。アカネだ。もうここを嗅ぎつけたか。仕方ない。「……イヤーッ!」声量を抑え、キサキは屋上から飛び降りた。数秒後、校舎裏へ着地。19 #4215tk

2015-05-11 21:30:44
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

キサキはいとこへIRCメッセージを再送信。落ち合う場所を変更する。「イヤーッ!」そして常人の三倍はあるであろう脚力でその場を高速離脱した。(ここまですれば、さすがに追ってこれないでしょ)そう気楽に考えながら。20 #4215tk

2015-05-11 21:33:32
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

……残念ながらその数秒後、キサキは自らの行動が軽率なものであったと実感することになる。「ハァーッ!ハァーッ!」息を切らし、彼女は走る。しかし背後の気配は離れることなく追ってくる!無論、アカネではない。常人がニンジャに着いてくることなど不可能!つまり、これは、21 #4215tk

2015-05-11 21:36:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「イヤーッ!」「アイエッ!?」目の前に降ってきた何かに、キサキは思わず足を止める。そして地面に突き立ったものを見て目を剥いた。スリケン!「追いかけっこはこれまでだ」言葉と共に人影が落ちてきた。「ドーモ。ローカストです」ナムサン!茶色装束のニンジャである!22 #4215tk

2015-05-11 21:39:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ドーモ!シャドウライダーです!」背後からもアイサツ!キサキはびくりと震え振り向いた。そこにいたのは黒色装束のニンジャ!「もはや逃れられんな。ンン?」「な、なんですかあなたたちは!?」キサキが叫ぶ。正面に立ったローカストが眉根を寄せる。「まずアイサツせよ」23 #4215tk

2015-05-11 21:42:12