忍殺二次創作【クイーンビー・ダイビング・トゥ・ペイルファイア】前編(原文のみ)

(これまでのあらすじ:ひょんなことからニンジャとなったハイスクールの女学生、キサキ。彼女が得た力は『同性から好かれる』というどうしようもないものだった……) こちらは原文のみとなります。実況付きはこちら→ http://togetter.com/li/835208
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

【クイーンビー・ダイビング・トゥ・ペイルファイア】 #4215tk

2015-06-15 21:03:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

目覚めたらすぐそこに顔があった。中性的な美貌の少女の寝顔。キサキはぼんやりとそれを眺める。知らない相手ではない。アカネだ。ハイスクールのセンパイ。なぜここにいるのだろう。……なぜ?ようやくキサキは異常に気づいた。どうして彼女は自分と同じフートンで寝ている!?1 #4215tk

2015-06-15 21:06:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「アイエエエ!?」キサキはワーム・ムーブメントでフートンを抜け出し跳ね起きる!「ン……ふあぁ」彼女の悲鳴と大げさな動作にもかかわらず、アカネはのんびりと身を起こした。大きく伸びをして、彼女はキサキへと向き直り、柔らかい笑みを浮かべた。「オハヨ、キサキ=サン」2 #4215tk

2015-06-15 21:09:19
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「お、オハヨ、アカネ=サン……じゃない!なんで私のフートンに」「イヤーッ!」ターン!キサキが言い終えるより早く寝室のフスマが勢いよく開かれ、艶のある黒い軽装鎧のニンジャがエントリー!フートンから身を起こしたばかりのアカネにトビゲリ・アンブッシュを仕掛ける!3 #4215tk

2015-06-15 21:12:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「イヤーッ!」アカネはその場でブリッジ回避!跳ね起きた彼女の身を包むのはもはや寝巻きではない。チャイナドレスめいた深紅のニンジャ装束である!彼女もまたニンジャなのだ!「ドーモ、メジャーアント=サン。フェネクスです」「ドーモ、フェネクス=サン。メジャーアントです」4 #4215tk

2015-06-15 21:15:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

アイサツを終えた両者はほぼ同時にカラテを構えた。「またぞろ私の留守を盗んでやってきたか。恥知らずの夜這い女」憎々しげにメジャーアントが呟く。「キサキ=サンに不埒な真似はさせんぞ」「同意なしにそういうことをやるつもりはないよ」フェネクスが言う。5 #4215tk

2015-06-15 21:18:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「こっちも手出しさせるつもりはないぞ、押し入り強盗!さっさとケビーシ・ガードに自首してきたらどう?」「バカを言え。私がいなくなったらキサキ=サンを養う者がいなくなるだろう」メジャーアントが反論する。実際、今のキサキの生活を支えているのは彼女のビズなのだ。6 #4215tk

2015-06-15 21:21:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

二人のニンジャは互いに不退転の意志を感じ取った……毎度のことであるが。儀式的なやりとりを終えたあと「「イヤーッ!」」両者ワン・インチ距離に踏み込み木人拳めいたミニマルなカラテ応酬開始!「アー……」ようやく自失状態から立ち直ったキサキが呻く。止めなければ。7 #4215tk

2015-06-15 21:24:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「あの、二人とも?」「イヤーッ!」「イヤーッ!」おずおずと声をかけるも、二人のカラテは止まらぬ。「その、ほら。近所迷惑になるから」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「それにね?家の物が壊れるかもしれないし」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ナムサン、両ニンジャの耳に届かぬ!8 #4215tk

2015-06-15 21:27:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

遠慮がちに注意を促していたキサキの堪忍袋が、だんだんと温まってきた。彼女は深く、深く息を吸う。そして「ヤメロ!!!」大音声。カラテ応酬が止まり、二人のニンジャがゆっくりとこちらに向き直る。バツの悪い表情を浮かべて。キサキは腰に手を当て、精一杯の睨みを効かせた。9 #4215tk

2015-06-15 21:30:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……まったくもう。ナカヨシになってとは言わないけど、もうちょっとどうにかならないの?」「「ゴメンナサイ」」悄気る二人のニンジャ。キサキは苦笑して彼女たちの前に朝食を並べた。生活環境がいくら変わろうと、食事の担当が自分であることは変わらないのだ。11 #4215tk

2015-06-15 21:33:18
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

なぜこの少女が重篤なNRSに陥らないのか、疑問に思う読者もいることだろう。簡単なことだ。彼女もまたニンジャだからである。ニンジャとしての名はクイーンビー……ということになっている。初めてのイクサでそう名乗りを上げてからというもの、なんとなく定着してしまった。12 #4215tk

2015-06-15 21:36:17
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「でもしかたないんだよキサキ=サン。わかってほしい」アカネが言い募る。「もちろん昨日、僕はそのまま帰ることだってできた。けど僕が帰ったあとにあのザイバツとかいう連中が襲撃したらどうする?それを防ぐためにも、キサキ=サンの近くにいる必要があったんだ」13 #4215tk

2015-06-15 21:39:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……まあそれならばフートンに潜り込む必要はない気がするがな」アンコトーストを齧りながらメジャーアントが揶揄する。「が、その思考は素直に賞賛する。ザイバツと事を構えた以上、警戒はすべきだ」そう言って彼女はキサキを見つめた。「君のカラテはあまりにも乏しい」14 #4215tk

2015-06-15 21:42:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

キサキは黙って頷いた。メジャーアントの言葉は事実だ。この二人と比較して、自分はあまりにも弱い。なにしろニンジャになって得た力が『同性に好かれる』だけときた!(まあ、それがなかったらオーテ・ツミになってたのは事実なんだけど)彼女は心中で嘆息する。15 #4215tk

2015-06-15 21:45:03
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

『……次のニュースドスエ。連続刑務所襲撃事件に新たな展開が……』テレビからはオイランニュース。『……死傷者多数。さらに何名かの凶悪犯が行方不明。ケビーシ・ガードは実際注意を促して……』「こういうのもニンジャの仕業なんだろうね」何気なくフェネクスが言った。16 #4215tk

2015-06-15 21:48:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「だろうな。しかしザイバツを知らぬイディオットだ」コーヒーに砂糖を入れながらメジャーアント。「あんな派手な真似をすればすぐに目をつけられる。近いうちに始末されるだろうさ」「犯人の方はそれでよくても、脱走犯は野放しでしょう?物騒だよね」キサキは本心から言う。17 #4215tk

2015-06-15 21:51:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

しかしその言葉に、メジャーアントは怪訝そうな顔を向けた。「そうか?襲ってきたら殺せばいいだけの話だろう」「アイエッ……そ、そうかなあ?」あまりのサツバツに、キサキはしどろもどろに言葉を返す。「そいつの考えを鵜呑みにしない方がいいと思うよ、キサキ=サン」18 #4215tk

2015-06-15 21:54:18
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

半ば呆れたように言うアカネをメジャーアントが一瞥する。「……そうだな。住む世界が違う。だがそれはお前も同じだぞ、フェネクス=サン」「どういう意味さ」「さきのイクサは幸運の結果であることを忘れるな。あれ以上の使い手、ザイバツにはごまんといる」その顔は真剣だ。19 #4215tk

2015-06-15 21:57:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

何か言い返そうとしたアカネが曖昧に頷く。相手の真剣さに呑まれたか。しばし気まずい沈黙が続く。「……そうだ、キサキ=サン」ミルクを飲み干したアカネが思い出したように口を開く。「レンタル・ドージョーに行ってみない?簡単なカラテ・レッスンなら僕にもできると思うんだ」20 #4215tk

2015-06-15 22:00:58
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「カラテ・レッスンかぁ」キサキは考え込む。「私もフェネクス=サンの意見には賛成だな」メジャーアントがぽつりと会話に混ざる。「私が言えた義理ではないが、カラテあってこそのニンジャだ。簡単なインストラクションを共有するのも悪くないだろう」そしてアカネを見やる。21 #4215tk

2015-06-15 22:03:45
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「無論、私も同席するぞ」「そう言うだろうと思ったよ」アカネが肩を竦める。「好きにすればいい。カラテで決着をつけるいい機会だ……で、どうする?キサキ=サン」笑顔を向けられ、キサキは迷うことなく頷いた。「行く。ヨロシクオネガイシマス」22 #4215tk

2015-06-15 22:06:06
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