ミイラレ！第三話：青行燈のこと（実況付き）

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

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「ちょっと四季！？正気なの！？」泡を食って詰め寄る怜に、四季はゆっくりと頷く。「正気だよ。一応は」「考え直しなよ！百鬼夜行なんて……！」「あんまりぞっとしない。けどさ」彼はまっすぐ幼馴染の瞳を覗き込んだ。「自分の問題は、できるだけ自分でなんとかしてみたいんだ」95 #4215tk

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なおも言い募ろうとした退魔師が小さく息を呑む。「……あんまり俺のせいで怜に迷惑かけるのも、その、悪いし」四季はそう続けた。「悪いだなんて、そんな」「そうそう。いい心がけですよう、若旦那！」退魔師の言葉を押し退けたのは、やたらと明るい鬼女の言葉。96 #4215tk

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「若旦那……？え、俺のこと？」「そうですとも。いやあ今日は実にめでたい日です。今後ともよろしくお願いしますねえ」うきうきとした調子の巡に、怜が苦虫を噛み潰したような顔を向ける。ややあって、彼女は眉をひそめた。「待って。『今後とも』ってどういう意味？」97 #4215tk

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「これからあたしは若旦那にお仕えする、って意味だよ」あっさりとした言葉に、四季たちの目が丸くなった。「仕える！？なんで！？」「なんでもなにも……いいですか若旦那。あたしゃ山ン本組の一員なんですよ？新たな頭領についていくのは当然のことじゃアありませんか」98 #4215tk

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呆然とする四季を置いて、巡は退魔師を一瞥する。「ま、そういうわけさね。わかったら他の退魔師のバカどもに伝えておいてくれるかい。齟齬があると面倒だからね」怜の眉間のしわがさらに深くなる。『……あいわかった。こちらから確かに伝えておく』蛇神が苦い声で返答する。99 #4215tk

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「よしなに。ふふ、今日は良き日です」「それはよかった。じゃあ早速お願いがあるんだけど」幸せそうな巡に、四季は言った。巡がきょとんとこちらを見る。「はて。なんでございましょう」「いい加減、蜘蛛とか異界とか引っ込めてくれないかな」「ああ、ああ！そうでしたねえ」100 #4215tk

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巡が思い出したように手を打った。それと同時に青白く光る蜘蛛たちは姿を消し、部屋に光が戻る。食卓にはまだ湯気を立てる夕食の数々。数時間は経っていたように思えるのに。その齟齬は暗闇のためか異界の影響か。「ああ、夕食前でしたねえ。さあお食べになってください」101 #4215tk

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巡の言葉に怜が不愉快そうに眉をひそめ、しかし無言で腰を下ろす。それに続いた四季は、ふと鬼女を見上げた。「えっと……巡、さんは食べる？」意外そうに彼を見下ろした鬼女は、少しの間をおいて破顔する。「ありがたいお言葉で。ですがあたしは遠慮させていただきたます」102 #4215tk

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「そ、そう？でも、そこでずっと立ってられるのも気になるというか」咎めるような幼馴染の視線を気にしながらも、彼はそう主張した。「そうは言いましても、退魔師の施しを受けるのはちょっと……寿司でも頼んでくださるなら話は別ですが」厚かましい答えが返ってくる。103 #4215tk

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「もうほっときなよ、そいつ」怜の言葉には隠しきれない棘がある。溜息をついた四季は、大人しく箸に手を伸ばした。真後ろの視線を感じたまま。(どうも、妙なことになってきたなあ……)その思いを口に出すことは、さすがにしなかった。104 #4215tk

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【ミイラレ！第三話：青行燈のこと】終わり #4215tk