遠藤正二朗さん @Shoujirou_Endo が語るPCE版『魔法の少女シルキーリップ』が開発に至った経緯

取り急ぎまとめました。 ※追記1:タイトルを修正いたしました。申し訳ありません。 ※追記2:George Amanoさん @TOKYOMEGAFORCE より貴重なコメントを頂きましたので追加。
11
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

本日はメガCD『魔法の少女シルキーリップ』の発売記念日です。 今年は幻のPCE版リップ開発に至った経緯を呟きます。 かつてのインタビュー等との重複はご容赦で。 発売は1992年6月19日。 当時は宮澤内閣で、テレビではエクシードラフトとかママは小学4年生とかやってた時代です。

2015-06-19 19:25:25
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

事の起こりはメガCD版リップ開発当時。このコンセプトを一作で終わらせるのは惜しいと思い、 二作目となる『魔法の刑事ファイヤールージュ』という企画を起ち上げた事に端を発します。 ルージュもメガCD用企画。男子中学生と合体して、12時間だけ魔法少女でいられる主人公を描いた内容でした。

2015-06-19 19:26:01
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

同時に、PCE版のリップも企画しました。こちらは開発をPCEの得意な開発会社さんに依頼する前提で、内容的には未使用コマンドや、不具合修正等を施したベタ移植というコンセプトでした。 しかし、会社側の二つの企画に対する返答は「売れないから、どちらもNO」でした。

2015-06-19 19:27:11
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

そしてこのあと、当時私のいた渉外部という部署が解体となり、私自身は開発部のPCエンジン新設ラインに異動となってしまいました。 異動先のチームで、まずは開発タイトルの企画を起ち上げなければならなくなりました。

2015-06-19 19:27:46
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

PCEにて『重装ブレネイド』という新企画を起ち上げ、シナリオ作業やデザイン発注等が始まりました。 当時あの会社はライン毎に開発期間を定め、ブレネイドも8ヶ月程の開発期間で した。 しかしある日、会社は私に「ブレネイドは中止、PCE版リップを開発せよ」なる命令を下しました。

2015-06-19 19:28:33
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

なんで突然リップが生き返る? その謎の答えは後に一部が判明するのですが、後述します。 とにかく、現場は大混乱です。なにせブレネイドを起ち上げて2ヶ月は経過していたので反発をしました。 ですけど、最終的には命令には従うしかありませんでした。発注した各方面には、私が謝罪をしました。

2015-06-19 19:29:18
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

リップをこの手で再度作るという事ならシナリオも書き直し、三人目の女王候補等、新キャラも出し、メガCD版をやった人でも楽しめる内容にしようと企画し、それに伴う開発期間を会社側に提出しました。概ね新規起ち上げ企画なのでブレネイドと同期間の8ヶ月です。 しかし会社側の返答はNOでした。

2015-06-19 19:29:52
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

会社側の提示した開発期間は、8ヶ月-2ヶ月=6ヶ月でした。 「期間は短いけど、ベタ移植なら間に合うだろう」という意図でした。「遠藤は以前、PCエンジン版ベタ移植リップの件は提案してたよな」とも言われました。 提案はしましたが、あれはルージュという新作ありきという前提でした。

2015-06-19 19:30:27
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

何度も話合いを重ねた結果、最終的にはリニューアル版を開発という事で、私と会社側は同意して、開発はスタートしました。 シナリオやキャラクターデザインを全て書き直し、音声も新たに全収録し、メガCD版と同じ部分は歌のみという形です。 そして……迎えた結果は皆さんもご存じの通りです……。

2015-06-19 19:30:59
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

正直、ベタ移植版だったら、あるいはPCエンジン版シルキーリップは世に出ていたかもしれません。 そういった商品を期待していた人に対しては、この場を借りて謝罪いたします。

2015-06-19 19:31:30
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

なぜ会社側がブレネイドを開発中止し、PCE版リップの開発命令を下したのか。 この謎の一部は翌年判明しました。 当時ある企業のプロデューサーがリップを気に入り、テレネットの上層部に商品性をアピールしたらしく、その結果、会社側がリップの商品価値に初めて気付いた。そんな話を知りました。

2015-06-19 19:32:02
遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

今年はこんなところで。 字数の制約などもあるので、行間の事情は察してくださいませ。 あと、すべては私からの一方の見解としてご理解ください。 当時、私は23歳でした。 明日はMARICAかな?

2015-06-19 19:32:38

お詫び

遠藤正二朗 @Shoujirou_Endo

@takakomadness2 引用は良いのですが、 開発中止になった経緯 ではなく、 開発に至った経緯 です。

2015-06-19 20:03:05

タイトルを間違えてしまいました。大変失礼いたしました。

追記

George Amanoさんのコメントより

ちなみに「かつてのインタビュー」は、以下の雑誌記事になります(版元に在庫が無くて古書だけになるから宣伝にならない)。内容は、『セツの火』『Aランクサンダー完結編』『PCE版シルキーリップ』について。 『GAME SIDE (ゲームサイド) Vol.3 2006年12月号』 http://gameside.jp/gs/gs3/ http://amzn.to/1Bs7f9T