【GUNNER】- GUNNER V.S. KARATE Blizzard -

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「偶然も何もあるか！」リカルドは未だ怒り心頭である。「テメェが工廠を襲ったと聞いたぞ」リカルドの青い瞳は、言外に弁明を求めていた。仮面ガンナーは焦った。弁明を誤ればこの男も敵に回してしまう！ただでさえ少女一人に武装を破壊され、身体能力を強化してすら互角であったというのに！ 48

AKITO @MASKEDGUNNER

「あー…それについてか…いやぁ…襲うつもりはなかったんだが…」仮面ガンナーはこうなった理由を話し始める。「俺がぶっ殺そうと思った戦艦がここに突っ込んじまってな…それで……な……？」 49

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「戦艦…？」リカルドは吹雪を見た。「始末しました」吹雪は淡々と言った。「その後、この男が艤装違法所持しているのを確認し、追撃しました」「艤装を？」リカルドが顔を顰めた。「何でもありだな、お前」「それほどでも…」「褒めてねぇよ…取りあえず、俺の執務室に来い」 50

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「いいね…久々に話もしたいしな…そうだ…それと…」仮面ガンナーはパワードスーツを解除し、吹雪の方を見る。「お前さんも来いよ…提督のお気に入りだろう…？」意外な提案に吹雪は戸惑った。 51

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そうして、3人は歩き出した。リカルドと仮面ガンナーは何事かを話し込んでいる。吹雪はふと、足元にカードが落ちているのに気が付いた。「……？」拾い上げてみると、そこには摩耶と思われる艦娘の姿が映っていた。ふと、戦闘中に沈黙させた武装がカードになったのを思い出した。 52

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「ん…？」仮面ガンナーがふと後ろを振り返ると、吹雪がFGWカードを持って立ち止まっている。「ああ…それか…格納したと思ったんだが……」仮面ガンナーは吹雪からカードを受け取る。「みんな大破か中破までいってんな…VR高速修復材を投与するか……」仮面ガンナーがカードを眺め呟く。 53

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「VR…ヴァーチャルリアリティ？」吹雪は訝しんだ。「まぁ、それも含め色々喋ってもらうぞ」リカルドが振り向き、言った。「場合によっちゃ、お前さんを豚箱に入れる手伝いをせにゃアカン」「それは、勘弁してくれ…」「勘弁して欲しいならついて来い」リカルドはそれ以上は何も言わなかった。 54

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「そうだ…」仮面ガンナーが言う。「気になるなら…少し見せてやる…」そう言って仮面ガンナーはライザーを取り出す。するとライザーからバケツ上の物が形成された。「VR高速修復…対象…吹雪…」仮面ガンナーが呟くと、吹雪の身体がみるみる修復されていく！修復が終わると、バケツは消えた。 55

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「ほお…」「おお…」リカルドと吹雪は不思議そうにその光景を見守った。吹雪は自身の艤装を隅々まで確認した。「直ってますね」「反則だな」そうこうしている内に、3人はリカルドの執務室に辿り着いた。「今帰った」リカルドが無造作に扉を開ける。「提督！」傍に黒髪の女性が駆け寄った。 56

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「おー……なるほどなるほど……」仮面ガンナーはその様子を見て、吹雪に小声で問う。「さては……提督の嫁さんだな…？」吹雪は戸惑いながら答える。「えっ？そうですけど…それが何か？」「いや…何でもないさ…？」仮面ガンナーは抱き合う二人を見て、うんうんと頷いた。 57

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後ろからの生暖かい視線に気づき、二人は直ぐに離れた。「残念…」「何ほざきやがる」リカルドと大淀は赤面した。やがて、リカルドは落ち着きを取り戻し、自身の椅子に座った。大淀はその右隣、吹雪は左隣に移動する。「さて、改めて聞こうか。世界を旅する者。仮面ガンナー。何でこの世界に？」 58

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「ん…？ああ…理由な…それはちゃんとある……」仮面ガンナーは語り始める。「あの深海棲艦とかいうイカ野郎共がいるだろう…？」「ああ。」「我が同志…アーチャーから連絡を受けた俺は…その危険度を確かめるため…調査しようと思ったんだ…あいつそそっかしいからさ…情報が不十分だった…」 59

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「あの餓鬼か…」兜を脱いだリカルドは額に手を当て呻いた。今は北の幌延で提督をしているであろうかの少年を思い浮かべた。彼はそそっかしく、正義感はあるが、如何せん間の抜けたところがあった。かの少年の拙い報告が面倒なトラブルを召喚したとなると、カラテの一つでも見舞いたくなった。 60

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「んで…なんだかんだで来てみれば…目の前で戦闘が起こっていた…その時…こいつに命を救われたんだ…」仮面ガンナーはライザーを取り出す。「駆逐艦『漣』…召喚……」画面に表示されたボタンをタッチすると、ライザーから光が発せられ、そこから一人の艦娘が出現した！「俺の秘書艦だ…」 61

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『ドーモ！初めまして、漣です！』ライザー上に表示された漣は畏まってアイサツをした。「ドーモ、艦娘・吹雪です」「大淀です」「リカルド。ハンター兼提督だ」リカルド達は各々アイサツを返す。『ウワ、何か全員真面目…あ、そこの化け物駆逐艦！』漣は唐突に吹雪を指差した。 62

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「えっ？私！？」驚きを隠せない吹雪。『あなたよあなた！なんでそんなピンピンしてんのよ！』「俺が高速修復を行なった…」仮面ガンナーが答える。『えぇっ！？なんでなんで！？ご主人様ぁ！』「俺の知り合いのお気に入りだ…戦う理由はあっても…憎む理由はない…」『むぅー……』 63

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「ハッ！」リカルドがニヤリと笑った。「コイツは俺直々にカラテを仕込んで、コイツ自身がカラテを怠らなかったからな。…強いぞ？自慢じゃねーが」「提督」大淀がたしなめる。「オイオイ、部下の自慢位させてくれよ…まぁ、そうだな。で、何でその助けられた奴がデータとやらになってんだ？」 64

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「ああ…それはな………」少し間を置き、仮面ガンナーが話す。「こいつが一度………死んでるからだ……それも俺の目の前で…な……」漣が少しうつむく。吹雪と大淀は驚きを隠せず、リカルドは顔が引きつっていた。 65

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「死……取りあえず待て、お前ら」リカルドはカラテを構えた両隣を制した。「提督」「続きを聞こう。コイツは自分勝手ではた迷惑な奴だが、無関係の人間を殺すような類じゃない」リカルドの目はシリアスだ。「何か、事情があるんだろ？」 66

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「俺の事を庇って死んだんだ……」仮面ガンナーはライザー内の漣を少し見て、またリカルドの方を向いた。「なんか…後味悪くてな…それに俺の攻撃も敵に通用しないし…やばかった…そこで思いついたのが…」ライザーから漣をカードとして取り出す。「死んだ艦娘を武装化し…蘇生させることだ…」 67

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「成程な…」リカルドは頷いた。「一応、信じるッちゃあ信じる」「提督」大淀がリカルドを見た。「宜しいのですか？」「ああ、嘘をつくタイプじゃないし、仮に嘘ならこの場で縊り殺してる」リカルドは改めて、仮面ガンナーを見た。「だが、艤装で再生するってのは、拙かったな…」 68

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「ああ…そのようだな……」カードを眺め、仮面ガンナーが言う。「最近…それを理由にして艦隊に襲われるようになった…まあ…まとめて轟沈か大破させたが……」「…！？」リカルドが驚きの表情を見せる。「でもまあ流石に…殺した艦娘はそのまま放置だ…俺への恨みが強くて…FGWにできん…」 69

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「……」「……」「……」３者の視線が、地獄めいて冷え込むのを仮面ガンナーは感じた。「な…何だ？」仮面ガンナーは身構える。漣は手で顔を覆った。『ご主人様…その言い方は…』「えっ…」「テメェ」リカルドの青い瞳が仮面ガンナーを射竦める。「マジで、殺ったのか？」 70

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「あー…すこし勘違いをしているようだが…」仮面ガンナーは嫌な予感を感じ取った。「ぶっ殺した艦娘には…共通点がある…」「共通点…？」リカルドは未だ睨み続ける。「そいつら全員…深海棲艦になってるか…なる寸前だった……」仮面ガンナーはリカルドに告げた。 71

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「なりかけ…？」リカルドは訝しみ、大淀を見た。「…ごく少数ですが、確認されたことがあります」大淀は説明を始めた。「まず深海棲艦とは、怨念が海中の物質と融合したことにより誕生した存在であるとわかっています。…よって、轟沈した艦娘も彼らの依代になるのですが、時折異常があります」 72