【ミイラレ!第八話:三本足の人形のこと】(実況つき)
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「これは」デタラメに鳴り続ける携帯から目を離し、四季は怜の様子を伺う。彼女の顔はすでに退魔師のものへと変化していた。「『メリーさんの電話』か。いつの間に目をつけられたんだろう」「つまらぬ人形の怪異」鬼女が嘲るように笑みを見せる。「ここに乗り込んでくると?」1 #4215tk
2015-07-22 21:24:22メリーさんの電話。それくらいは四季だって知っている。電話に出る度に近づいてくる怪異。最後には電話主の背後に到達して……そのあとはどうなるんだろう?「と、とにかく。電話に出なければいいんだよね?」「まあ、理屈から言えばそうなるんだけど」退魔師が厳しい表情で言った。2 #4215tk
2015-07-22 21:27:04「ま、たぶん無理でしょうな」「え?」あっさりと言う巡。四季がその意味を問いかけようとしたその時。『もしもし。私メリー・トリスケル』携帯電話がひとりでに喋り出す。四季は慌てて画面に目を下ろした。操作もしていないのに通話状態。『今、北都高校の校門にいるの』3 #4215tk
2015-07-22 21:30:03ぶつん。対応するより早く通話切断。「……おかしいな。触ってないはずなんだけど」「関係ありませんよう。怪異ですもの」巡が笑う。「人間が知恵を回してどうにかなっちまうようじゃ、商売あがったりなんですよ」「なるほど」『なるほど、じゃねえだろ!?』ナナが悲鳴を上げた。4 #4215tk
2015-07-22 21:33:04『ど、ど、どうすんだよ!このままじゃそいつ、ここに来ちまうぞ!』「え?あー、うん。そうだね」耳元で騒がれ、四季は顔をしかめる。彼は怜に視線を送った。彼女は申し訳なさそうに両手を掲げる。得物であるはずの反物は、半ばから焼失し無残な焦げ跡を見せていた。5 #4215tk
2015-07-22 21:36:03『もしもし、私メリー・トリスケル。今アパートの前にいるの』『はやっ!?」唐突に再開した電話越しの声に、小夜子が声を上げる。四季は顔をしかめた。学校からここまでゆっくり歩いても十分足らず。怪異ならばそれよりも早く着けるということだろうか。彼は立ち上がった。6 #4215tk
2015-07-22 21:39:33『お、おい?どうするんだ?』ナナの問いに答えず、四季は携帯を持ったまま移動する。相手の名前に聞き覚えはない。が、正体の検討はついた。『もしもし、私メリー・トリスケル』嘲笑うような声が携帯から響く。『今、貴方の部屋の前にいるの』いよいよ時間がない。7 #4215tk
2015-07-22 21:42:08彼はドアの前に立ち止まり、そこに背を向けた。怜たちが怪訝な顔でこちらを見ている。彼は右手を振ってみせた。その手に小槌が現れる。デタラメな着信音。四季は自分からそれに出た。「はい、日条四季です」『キュルキュルキュル、私メリー・トリスケルキュルキュルキュル』8 #4215tk
2015-07-22 21:45:07不快なノイズが混ざる。四季は自分の背後に怪異の気配を感じた。今だ。小槌を後ろ手に振るう。「今、貴方の背後に」怪異の言葉が終わるより早く、小槌は目的のものに当たった。『背後にあったトイレのドア』に。ドアが内側から勢いよく開く。怪異の気配が増える!9 #4215tk
2015-07-22 21:48:06「いるのあッ!?」驚嘆の声。四季はそこで初めて背後を見た。すぐ目の前に西洋風の人形が浮かんでいる。これが『メリーさん』か。その体は、生白い手で鷲掴みにされていた。「な、なにが」「……メェェリィィーさーん」騒ぎかけた怪異が、その声を聞いて身を凍らせる。10 #4215tk
2015-07-22 21:51:21