アメリカによって再建された新生西ドイツ軍に受け継がれたドイツ国防軍魂

あんだけボロボロにされて解体され、その後アメリカによって再建された軍隊なのに、中身はまさにドイツ国防軍だったのってなんかおもしろいです。 いい言い換えが思いつかなくて「魂」としてしまいましたが、運用ノウハウというかドクトリンというかそういうニュアンスでしょうかね。
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Bunzo @Kominebunzo

基本的に西独軍は米軍の指揮系統に組み込まれ米軍司令部に指揮される。マナーと軍事的文化の違いから米軍司令部内で西独軍将校は「躾の悪い失礼なヤツ」に見えた。 そもそも西独軍は米軍から見れば「若い下級将校が分不相応な数の装甲車両を率いている野蛮な軍隊」だった。

2015-08-28 08:39:40
Bunzo @Kominebunzo

西独軍には米軍式判定は「ずる」に見えたけれども米軍には西独軍の装備が「反則」に感じられた。撃たれるまで発見できない低車高の「突撃砲」を歩兵旅団が中隊規模で持っていたり、対空機関砲付きの中戦車が歩兵に向けて乱射して来るような西独軍は米本土から来た部隊にとって異世界の陸軍だった。

2015-08-28 08:30:51
Bunzo @Kominebunzo

前世紀からドイツ軍は独断専行(イニシアティブ)を尊び、60年代末でもタスク型の命令を出す組織だった。達成すべき目標を提示して手段を任せるやり方は、ひとつの面では下級指揮官に対して負担の重いやり方だったけれども、人を育てるには早道だったことは間違いない。それは演習成績で証明された。

2015-08-27 22:45:26
Bunzo @Kominebunzo

大戦後、日本より遅れて、日本より遥かに厳しい国民的反発の中て再軍備を果たした西独軍はアメリカナイズされたアメリカ式の軍隊として再生したかと言えばさにあらず。19世紀以来のドイツ軍として復活していた。 それは1960年代末からのNATO軍機動演習からも濃厚にわかる。

2015-08-27 21:22:36
Bunzo @Kominebunzo

冷戦下の機動演習は面白い。現代ではもはや許されないだろうレベルの交通事故や不慮の事故が「NATO軍の演習だから」と許されたからだ。西ドイツ国内を戦車が走り回るのだから当たり前といえば当たり前なのかもしれないが、この演習の名は「RFORGER」、リターンフォアジャーマニイだ。

2015-08-27 21:39:00
Bunzo @Kominebunzo

任務達成までの行動を詳細かつ膨大な命令で細かく規定され、それを遵守することに価値を置く組織重視の米軍と、簡潔な命令書と地図を与えればひと通りの事をこなして来るように鍛えられている西独軍は大企業と中小企業のように文化が違った。

2015-08-28 08:04:32
Bunzo @Kominebunzo

西独軍の国内演習とNATOの、中でも米軍との演習はかなり趣きが違う。指揮系統、戦闘ドクトリンの全てが米軍式かつ英語で行われる。 なんとなく、ほぼ米軍式の軍隊のような印象のある西独軍は米軍とは組織も戦い方も言語も異なる軍隊として育った、前大戦を引きずる紛れもない「ドイツ軍」だった。

2015-08-28 07:56:12
Bunzo @Kominebunzo

米軍と西独軍は演習の勝敗判定からして異なる。前線指揮官の機略と度胸で有利な状況を作り出すと「勝ち」を判定される西独軍に対して米軍は部隊が事実上撃破されても「命令に従って行動」と認められると「理論的勝利」と判定され、勝てた。 西独軍はこうした考え方の演習に馴染めない。

2015-08-28 08:12:59