黄昏町(柊)四十三日目

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@hiiragi_r_t_d

【四十三日目】 【魂15/力10/探索6】 【異形】複口(力+2、探索+1)、長指(力+1、探索+2)、鬼腕(力+5)、竜尾(力+5)、半透明(探索+3、力-3) #hollytk

2015-09-07 21:49:15
@hiiragi_r_t_d

[ハンドアウト]気が付くと、薄暗い路地を歩いている。視線を感じて振り向くと、割れた地蔵が片目で君を見ている。《開始地点[町]shindanmaker.com/541547#黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541552 #hollytk

2015-09-07 21:50:06
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コツ、コツ、コツ、コツ……… 薄暗い路地に、一人分の足音が響く。 下駄の足音も、やかましい笑い声も、もう聞こえない。 「…………静かになりましたね」 ふと視線を感じて振り返ると、そこには割れた地蔵菩薩が佇んでいた。 慈悲の眼差し、その半分が私を見つめる。 01 #hollytk

2015-09-07 21:50:34
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「……特に罪はありません。ありませんが」 これから何か罪を犯した時に、地獄から引き上げてくれるかもしれない。 私は淡い期待を込めて、胸ポケットに入れっぱなしになっていた白い花を地蔵菩薩に供える。 手を合わせ、目を閉じてしばしの間、祈りを捧げる。 02 #hollytk

2015-09-07 21:52:13
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簡単な参拝を終え、立ち上がった私に後ろから声がかかる。 「バケモノがお参りとは、殊勝な心掛けだな」 「そういう貴方がたは、お参りというわけではなさそうですね」 振り向いた私の視界に映るだけでも、二十人近く。 「どうもこんにちは。何か御用ですか?」 03 #hollytk

2015-09-07 21:54:23
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「別に大した用じゃねえよ。アンタに一つ、頼みがあるんだ」 バットを持った大柄な男が、一歩進み出る。 男は懐から縄を取り出し、私に差し出して言った。 「死んでくれ、我々の安心のために」 「中々、直球なお願いですね。今までに聞き入れられた事はありましたか?」 04 #hollytk

2015-09-07 21:56:13
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「時々いるんだよ、そういう妙なバケモノがさ」 「なるほど、試すだけならタダですからね。その判断は正しい。ですが」 私は竜の尾をゆらりと構える。 「貴方自身の身の安全については、どのように考えているのですか?」 男は笑って答えた。 05 #hollytk

2015-09-07 21:58:17
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「問題ないさ。俺が死んでも、誰かが女房とガキの面倒は見てくれる。そういう仕組みになってんだ」 「貴方は、それで満足なのですか?」 「アンタには関係ないだろう?」 「まあ、そうですね。貴方が死んだ後どうなったとしても、私の関知するところではありません」 06 #hollytk

2015-09-07 22:00:35
@hiiragi_r_t_d

「地獄にでも堕ちるってか?」 「そうですね……貴方のようにバケモノを毛嫌いする人間にとっては、地獄のようなものかもしれませんね」 「なんだそりゃ?」 「良い事を教えてあげましょう。バケモノに殺された人間は、バケモノになって蘇るんですよ」 07 #hollytk

2015-09-07 22:02:09
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「ハッ、馬鹿言ってんじゃねえよ!死んだやつが生き返るはずがねえだろ!」 「では、私が元は人間だった……と言えば?」 「……話にならねえな。バケモノ、答えは『ノー』なんだな?」 「ええ。ここで死ぬ事に、意味があるとは思えません」 08 #hollytk

2015-09-07 22:04:43
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私は、男達の装備を確認する。シャベル、バット、角材、ツルハシ。飛び道具も刃物も見当たらない。しかし、遠くに飛び道具がある可能性も捨てきれない。 「やれ!このバ」 大男の頭を竜の尾が叩き潰す。肩から上が無くなった男が倒れるよりも先に、私は建物の壁を背にする。 09 #hollytk

2015-09-07 22:06:11
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とりあえず、これで後ろから撃たれる心配はなくなった。私を扇状に取り囲む男達が、じりじりと距離を詰める。 「貴方達、今ならまだ見逃してさしあげますよ?私は人間には興味がありませんから」 異形を持たない人間など、面白くもなんともない。 当然、殺す意味もない。 10 #hollytk

2015-09-07 22:08:19
@hiiragi_r_t_d

「ふざけんな!俺達が逃げたら、待ってる女どもはどうすんだ!」 「そうだ!」「殺してやる!」「死ねバケモノ!」「兄さんの仇!」 私は深く深く溜息をつく。 どうして、理解しあえないのか。 どうして、こうも争うのか。 どうして、信じられないのか。 11 #hollytk

2015-09-07 22:10:20
@hiiragi_r_t_d

「貴方達の現状は人間ではない。ただの家畜です」 疑いもせず、ただ誰かの為にバケモノを狩る、哀れな猟犬。 「もう少し自分の頭で考えられるように、まずは前提を破壊してあげましょう」 私は最大まで大きく変化させた尾を振り上げ、全力で地面に叩き付けた。 12 #hollytk

2015-09-07 22:12:35
@hiiragi_r_t_d

路面が半径10m近くに渡って陥没し、背後の家が傾く。 男達もその多くが揺れに耐え切れず、その場に転がっていた。 私は手近な一人の髪を左手で掴み、目が合う高さまで持ち上げる。 「これが異形の力です。貴方達は今まで、少しでも不思議に思った事はないのですか?」 13 #hollytk

2015-09-07 22:14:32
@hiiragi_r_t_d

「私一人でも、貴方達のコミュニティを皆殺しにする程度は容易い。現にこうして、一撃で全員が無力化されている」 私は男を地面に放り投げる。 「考えなさい。どうして貴方達が今日も生きていられるのか。これから異形を持つ者に、どう接するべきなのか」 14 #hollytk

2015-09-07 22:16:10
@hiiragi_r_t_d

分かっている。これは私の自己満足だ。 この程度では、集団の意識は変わらない。 「さて、今のうちに逃げましょうかね」 「う、う、動かないで下さいっ!」 振り向いた先には、黒光りする銃口。 しかし小刻みに震え、それを構える少年の目には、涙が溜まっている。 15 #hollytk

2015-09-07 22:18:12
@hiiragi_r_t_d

「撃ってもいいですよ、少年」 私は手近に倒れていた数人の男を集め、その首に尾を添える。 「私が撃たれてから死ぬまでに、何人殺せるでしょうか。試してみるのも、面白い」 「それでも………ボクは…兄さんの、仇を…ッ」 16 #hollytk

2015-09-07 22:20:05
@hiiragi_r_t_d

仲間の命よりも復讐を優先すると宣言したものの、なかなか少年は引き金を引けない。 私は更に揺さぶりをかける。 「もし貴方がその拳銃を捨てて下されば、こちらの方々の身の安全は保証しますよ。もちろん、そちらから危害を加えられない限り…ですが」 17 #hollytk

2015-09-07 22:22:12
@hiiragi_r_t_d

もはや少年の目は、こちらを見てはいなかった。手元は震え、虚ろな目で誰かの名前を呼び続ける。 このまま放置しても安全だとは思うが、狂人はどんな行動に出るか分からない。私は尾を伸ばし、少年の手から拳銃を叩き落とした。 「こんな物騒なモノ、どこで入手したのやら」 18 #hollytk

2015-09-07 22:24:08
@hiiragi_r_t_d

その場に座り込んでブツブツと呟く少年と、首のない男と、陥没した道路に倒れる男達を後に、私は歩き出した。 隣にカスカはいない。行き先は風任せ。 「明日も、退屈しない一日だといいのですが」 拳銃は尾で叩き潰してから、そこらへんの排水溝に捨てた。 19 #hollytk

2015-09-07 22:26:09
@hiiragi_r_t_d

──────── 【四十三日目】 【生存】 【魂-2】 【魂13/力10/探索6】 【異形】複口(力+2、探索+1)、長指(力+1、探索+2)、鬼腕(力+5)、竜尾(力+5)、半透明(探索+3、力-3) 20 #hollytk

2015-09-07 22:27:05
@hiiragi_r_t_d

[町]「しんでくれ、我々の安心のために」周りを囲んだ住人たちが、縄を君へ差し出す。《抵抗して住人を戮す【魂-2】or大人しく従って吊死【魂-3/『虫羽(探索+3、力-1、水や火の判定で消失)』入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 #hollytk

2015-09-07 22:27:39