黄昏町(柊)四十七日目

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@hiiragi_r_t_d

【四十七日目】 【魂16/力10/探索6】 【異形】複口(力+2、探索+1)、長指(力+1、探索+2)、鬼腕(力+5)、竜尾(力+5)、半透明(探索+3、力-3) #hollytk

2015-09-12 10:55:26
@hiiragi_r_t_d

(これまでのあらすじ)謎の殺戮集団を調査しようと、彼らの拠点と思しき商業地域に侵入したアイズミ。 しかし目の前で殺されそうになっていた同類の少年を見捨てることができず、彼を連れて一度脱出するのであった。 00 #hollytk

2015-09-12 10:55:57
@hiiragi_r_t_d

「さて、と」 犬と少年を見送った私は、彼らとは反対方向に歩き出す。 「良い子たちでしたね」 彼らが言っていた「自警団」…すなわち私とカスカを死をもって引き離し、また彼らをも殺そうとした集団。 俄然、興味が湧いてきた。 01 #hollytk

2015-09-12 10:56:15
@hiiragi_r_t_d

当然、怒りはある。しかし彼らの行動にも、何らかの理由があるはずだ。 怒るのは、それを知ってからでも遅くはないだろう。 私は足音を潜めながら、ビルの立ち並ぶ商業地域に再び踏み込んだ。 高いビルの間を吹き抜ける風が、前方から濃密な死の匂いを運んでくる。 02 #hollytk

2015-09-12 10:58:20
@hiiragi_r_t_d

先程の彼は運良く助けられたが、他にも多数のバケモノが彼らによって殺されているのだろう。 私は名も知らぬ彼らのために短く祈りを捧げてから、早足で先へと進んだ。 ビルの合間を縫うように走る薄暗い裏通りから、広く明るい表通りが見えてきた。 03 #hollytk

2015-09-12 11:00:31
@hiiragi_r_t_d

私は覚悟を決め、表通りに一歩踏み出す。 とりあえず近くの喫茶店跡に飛び込んだ次の瞬間、大勢の足音がアスファルトの路面を鳴らした。 規則正しい足音は表通りに異常が無いことを確認すると、どこかのビルへと消えていった。 「間一髪、でしたね……」 04 #hollytk

2015-09-12 11:02:12
@hiiragi_r_t_d

今回は運良く目を逃れる事が出来たが、次もこう上手くいくとは限らない。彼らがこのビルに入ってくれば、私は囲まれ蜂の巣にされる。 悩む私の目に、上階へ繋がる階段が映った。 「……異形は、活用するべきですよね」 普通の人間は、ビルの間を渡ろうとは思わないはずだ。 05 #hollytk

2015-09-12 11:04:51
@hiiragi_r_t_d

一階の喫茶店を後に、二階の朽ちたマネキンの転がる服屋、三階の黄ばんだ紙箱の並ぶゲームショップ、四階の事務所を通り過ぎた私は屋上へ繋がるドアを左拳で吹き飛ばした。 「…やりすぎました」 吹き飛ばされたドアがビルの端から落ちていくのを見ながら、私は頭を掻いた。 06 #hollytk

2015-09-12 11:06:50
@hiiragi_r_t_d

「久しぶりに使ったので力加減が…」 誰にともなく言い訳をする私に、後ろから声がかかる。 「ほう、なら私と手合わせしないか、バケモノ」 「………ここに来ることまで含めて、予想通りですか…」 私が吹き飛ばしたドアの上に置かれた貯水槽に、一人の人間が座っていた。 07 #hollytk

2015-09-12 11:08:17
@hiiragi_r_t_d

「その通り。貴様のように異形を過信しているバケモノは行動が読みやすい」 「それにしては」 私は左右のビルに目をやる。 「貴方一人しかいないように見えますが」 伏兵が置かれていれば、今頃私は頭に風穴を開けられていただろう。 「私一人で十二分だ、と言っている」 08 #hollytk

2015-09-12 11:10:25
@hiiragi_r_t_d

「見たところ、貴方に異形は無いようですが?」 「貴様らのようにバケモノの力に頼らねば戦えぬほど、ヤワな鍛え方はしていない」 そういうと人影は立ち上がり、私の前に飛び降りる。 09 #hollytk

2015-09-12 11:17:14
@hiiragi_r_t_d

私の眼前に降り立ったのは……妙齢の女性であった。鍛え上げられ、体を覆う鎧のような筋肉には、幾筋もの古傷が刻まれている。 「なるほど。では私が……逃げ出したら?」 私は踵を返すと、脱兎のごとく逃げ出した。 ビルの谷間を跳び超え、脇目も振らずに私は走る。 10 #hollytk

2015-09-12 11:19:36
@hiiragi_r_t_d

ハッキリ言おう。アレは勝てる相手ではない。 私とは積んできた修練とくぐってきた死線が違う。 「逃がさん。それも含めての、十二分だ」 私のすぐ右を、鋭い何かが空気を裂いてかすめる。私は左へ方向転換する。 11 #hollytk

2015-09-12 11:21:31
@hiiragi_r_t_d

私のすぐ左を、鋭い何かが空気を裂いてかすめる。今度はどうにか確認することができた。有刺鉄線。ワイヤーに鉄の棘を植えたものを彼女は鞭のように振るい、私を追い詰める。 12 #hollytk

2015-09-12 11:23:16
@hiiragi_r_t_d

私は右へ方向転換すると、大通りへ向かう。 錆びた線路を挟んで、次のビルまでは大きく離れている。 私は助走をつけて大きく飛ぶと、竜尾を長く伸ばして向こうのビルの手すりをなんとか掴んだ。 竜尾がスルスルと縮み、私は向こうのビルへと着地した。 13 #hollytk

2015-09-12 11:25:19
@hiiragi_r_t_d

「そろそろ諦めて見逃しては…」 ふと足元を見た私は気付く。私の右足に、有刺鉄線が巻き付いている。 「逃がさん。私に二言はない」 有刺鉄線が強く引っ張られ、私は地面へと引きずり落とされる。 強い力のかかった右足が裂け、透明な血が吹き出す。 14 #hollytk

2015-09-12 11:27:29
@hiiragi_r_t_d

「痛っ…たた…」 「どうだ。観念したかな?バケモノどの」 錆びた線路の上に横たわった私を、女が踏み付ける。 「は……はは…そうですね…」 しかし本当に、彼女は強い。 「あ……」 生身でバケモノに勝てる人間。そんな話を、どこかで聞いたような気がする。 15 #hollytk

2015-09-12 11:29:04
@hiiragi_r_t_d

「最期に幾つか、聞いてもいいですかね?」 「構わんぞ。言ってみろ」 「『黄昏町第二自警団』のリーダー……貴方なのでは?」 「…………知らんな。そいつは死んだのだろう?」 「…そうですか」 私は女の顔を見る。逆光でよく見えない。 16 #hollytk

2015-09-12 11:31:04
@hiiragi_r_t_d

「貴方達の目的は?」 「見ての通り、全てのバケモノを殺す。そしてこのふざけた町を終わらせる。その為に私は自警団を組織した」 「本当に全てのバケモノを殺せると?」 「私は常に本気だ。私は絶対に」 女は拳を握る。 「この町を終わらせる」 17 #hollytk

2015-09-12 11:33:07
@hiiragi_r_t_d

少しの望郷の念をそこから感じ取れた気がするのは、私の勝手な思い込みだろうか。 「気は済んだな。それでは」 女は厳かに宣告する。 「これより私刑を執行する。罪状は殺人及びその他。」 私に巻き付けられた有刺鉄線のもう一端が、近くの架線にかけられる。 18 #hollytk

2015-09-12 11:35:19
@hiiragi_r_t_d

「電気椅子だ。喜べバケモノ、人間と同じ処刑方法で死ねるのだからな」 架線で火花が散った。いや、火花が散ったのは私の視界?私自身? 硝子が割れる音が響いて、私の意識は闇に落ちた。 19 #hollytk

2015-09-12 11:37:37
@hiiragi_r_t_d

──────── 【四十七日目】 【死亡】 【魂-2】 【魂14/力10/探索6】 【異形】複口(力+2、探索+1)、長指(力+1、探索+2)、鬼腕(力+5)、竜尾(力+5)、半透明(探索+3、力-3) 20 #hollytk

2015-09-12 11:37:53
@hiiragi_r_t_d

[町]武装した自警団は君の体に有刺鉄線を巻きつけた。その先は、切れてぶら下がった電車の架線へ…。《所持異形5つで感電死【魂-2/『纏雷(力+4、探索-3)』入手】、異形4つ以下は見逃される【魂+1】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 #hollytk

2015-09-12 11:38:10