「いじり」という下品な笑い

現在では人気の関西芸人でも芸にすることが多い「いじり」。しかし人格を揶揄するこの笑いはかつて関西でも下品とされていた。「ひょうきん族」から笑いが変質し、今や学校現場でのいじめの一形態として定着している。笑いをもう一度見つめ直す必要がある。
393
shinshinohara @ShinShinohara

「いじる」という笑いの取り方は、実際には関西でも、昔はあまり好まれなかったと思う。「いとしこいし」師匠みたいな上品な笑いが昔は好まれた。 togetter.com/li/885051#c221…

2015-10-13 20:27:48
shinshinohara @ShinShinohara

「ひょうきん族」から笑いが変質した。ビートたけしの辛辣な笑いが登場し、いじり倒して笑いをとる、関西でも「下品」とされていた笑いが定着した。関西出身の紳助も後にいじりの名手になった。しかし「ひょうきん族」以前、人格を貶めるようないじりは関西でも「下品」とされていたのは注意が必要。

2015-10-13 20:29:41
shinshinohara @ShinShinohara

なぜ下品とされたかと言うと、やはりいじられた方は傷つくことが少なくないから。実際、関西の人でも「サラリーマンに聞く、上司だったら嫌だ」No.1だったのが、当時のいじりの天才、島田紳助。

2015-10-13 20:30:39
shinshinohara @ShinShinohara

「ひょうきん族」以前の関西の笑いでは、行為を笑っても人格を笑うことは下品だとして嫌われていた。「アホなこと言いなさんな」「アホなことしたな~」と、行為をこき下ろすことは平気だったけれど、人格をバカにするのは嫌われていた。それが「ひょうきん族」からすっかり笑いが変わってしまった。

2015-10-13 20:31:23
shinshinohara @ShinShinohara

なぜこれをよく覚えているかと言うと、「ひょうきん族」をみているときに父親が「人をバカにするような下品な笑いが増えた」と、苦虫かみつぶしたように怒っていたのを記憶しているから。

2015-10-13 20:31:58
shinshinohara @ShinShinohara

それをきっかけに笑いの変化に注意が向かうようになった。確かに「ひょうきん族」以後は笑いが変質したように思う。相手の人格、存在そのものを笑う「いじり」という分野が、すっかり根付いた。今は関西出身の人気タレントも、「いじり」を得意芸にするのが多い。

2015-10-13 20:33:13
shinshinohara @ShinShinohara

「いじり」の芸に私が今でも否定的なのは、学校現場でいじめの一形態であるから。いじる側といじられ側の立場は固定化しやすい。いじる側は器用なことが多く、いじられ役は不器用でおっちょこちょいが多い。このため「いじられキャラ」という言葉まで生まれている。

2015-10-13 20:35:18
shinshinohara @ShinShinohara

しかし「いじられる」内容は、本人もコンプレックスを持っていることが少なくない。「いじり」という笑いのジャンルだと分かっていても、それを笑いの対象にされることが不愉快で仕方ないことも多い。しかし笑いの形態だという表面を取り繕う以上、それで怒るわけにいかない、という同調圧力がある。

2015-10-13 20:37:15
shinshinohara @ShinShinohara

それをいじられるのはこの上なく不愉快なのに、「これはお笑いだから」という空気が支配している以上、怒る方が大人げない、ということになってしまう。だから怒れずに、笑うしかない。関西では「いじり」が「いじめ」の一形態になりやすい。

2015-10-13 20:38:38
shinshinohara @ShinShinohara

困ったことに、いじる側は「俺は笑いを取っただけ。いじられた側も笑いが取れてうれしかったはず。その証拠にあいつもあの場で笑っていた」と考え、相手を傷つけていたことに無自覚なことが少なくないこと。すでに「いじめ」に変質していることに気が付かずにいることが多い。

2015-10-13 20:40:04
shinshinohara @ShinShinohara

関西の笑いは本来、人の心を傷つけるような下品なものではなかったはず。しかし「ひょうきん族」でビートたけしが見せつけた辛辣な笑いの衝撃が大きかったのだろう。その後、関西人(特に大阪人)も「いじる」という芸を身に着けてしまった。島田紳助もその一人。

2015-10-13 20:42:53
shinshinohara @ShinShinohara

関西の「あほ」は、少々の欠点を笑いで包み「お互いさまやんか、みんな一緒にあほでええやん」というやさしさを持っていたはず。「いとしこいし」師匠の芸が「ひょうきん族」以後も上品な笑いとして最後まで好まれたのも、関西の伝統を記憶する人たちが残っていたからかもしれない。

2015-10-13 20:46:00
shinshinohara @ShinShinohara

しかし今や、そこそこの高齢者でも「ひょうきん族」以後の笑いしか記憶にない人が多い。笑いが「下品」になったまま、笑いは本来どうあるべきなのかを忘れてしまったのかもしれない。「いじる」というジャンルの笑いは、関西の伝統でも下品とされていた、ということを思い出す必要がある。

2015-10-13 20:47:25
shinshinohara @ShinShinohara

「いじり」を笑いの一形態として許すのは、そろそろやめた方がよい。そうでないと、「いじり」という名の「いじめ」がなくならない。関西でのいじめは「いじり」の形をとることが多い。大人が好む下品な笑いに、傷つく子供が発生する状況だ。

2015-10-13 20:49:02
shinshinohara @ShinShinohara

「いじり」を笑いの一形態とするのは、そろそろ考え直そう。相手の人格を辛辣に笑う「いじり」は、やはり質の良い笑いとは言えない。どんなに欠点だらけの人間でも笑って包む、本来の伝統的な笑いを取り戻す作業を、始めたほうがよいのではないだろうか。

2015-10-13 20:50:53