HIGHLAND VIEW さんのシャアの考察

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それが安彦さんの作家性を現しているように、私がシャアに父性から全力で抗う姿を強くイメージしてるのは、私自身が未だ独身で誰かの父親であったことがない、というのと無関係とは思いません。実際にマンガ連載中に子供生まれると作風変わる方もいますし、結構影響はあるんだろうなという気はします。

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以上、昨日やっとけよという感じのシャアに関するツイートでした。準備してなかったので思いつくままツイートして、話があっちいったりこっちいったりして、とりとめがなくて申し訳ないです。「冗談は仮面だけにしろよ！」ということで、冗談はこのあたりでやめておきます。

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ちなみに『キャスバル坊やは人気者』的なシャアいじりネタは過去にもしてるんですが、全く反応を頂いたことがないので、今なら行けるかも的な機運を勝手に感じて、いくつか再ポストしてみます。

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（ナレーション：納谷悟郎）「たったひとりの妹捨てて、生まれ変わった仮面の体。白い悪魔を叩いて砕く。キャスバルやらねば誰がやる」 ア・バオア・クーから脱出するザンジバルのブリッジで、でもお前は白い悪魔に砕かれたよねキャスバル坊や、と笑うキシリアの眼前に、敬礼するシャアが現れた。

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シャアはザンジバルにバズーカを構える。シャア「仮面に顔を奪われ四十と三話。生まれの証さえたたん、このわたしがなんの因果かザビ家の手先。けんどなあ、おまんら許さんぜよ！」放たれる弾頭。え？キャシャーンネタじゃなかったの？と思うヒマもなく吹き飛ぶキシリアの首。＜少年鉄仮面伝説・完＞

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あとシャアの話で足りないのは、途中でも言った「貧しい愛」の話。これ私のものじゃないので、理解できてるとは言い難いのですが。「貧しい愛」という言葉自体は『∀ガンダム』のハリーとキエルの間で出てきています。

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キエルがハリーに「私は、ハリー殿が好きなのです」と言い、ハリーがキエルに「あなたには、ディアナ様の盾になっていただきたい」と言い、そして「そのかわり愛するという愛では、それは貧しいでしょう」と言う。

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ハリーはキエルをディアナの盾として利用すると言っている。しかし、その目的のために、キエルの好意を利用することも、それと引き換えに愛を与えることもしない。ハリーはそこで発生する愛は貧しい愛だという。だから貧しい愛と引き換えに女性（キエル）を利用しないと言っている。誠実ですね。

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キエルは若いので、ハリーが「愛してる」とさえ言って来れば、何でもやると言うのですが、それを貧しい愛だと止める。ハリー・オード自体がそういう誠実な人でもあるんでしょうが、もっといえば、ハリーも相手がキエルだから、キエル嬢とは貧しい愛を交わしたくない、という宣言が出てくるのでしょう。

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シャアの話に戻ると、自分を救ってくれたシャアのために何でもするよ、というララァに対して、シャアはこの貧しい愛をやってなかったか？という話です。にふこさんの言葉を借りれば「貧しい愛を実行することで、ほんとにララァに対して抱いている感情を自分で裏切っちゃってることに気がついてない」

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『∀ガンダム』は、シャアに限らず、これまでガンダムシリーズで何度となく出てくる「貧しい愛」に、ハリー・オードがストップをかけるという意味でもとても意義のあるものだったんだろうな、と思います。ハリーはあの時点でキエルに間違いなく好意を持ってますが、それを「貧しい愛」にはしない。

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シャアは役割を背負うのが大嫌いなのに、ララァには母親という役割を期待するんですよね…。ニュータイプの女性とは、ニュータイプ同士の関係の前に、男女の関係になってしまう。多分、これしかつながる方法を知らない。だからアムロとララァの戦場セックスが始まると、狼狽えて嫉妬することになる。

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以前ツイートしたことがあるけど、そういう意味で面白いのはやっぱり、カミーユが男の子なことですね。カミーユが女の子だったら、シャアは確実に寝ていると思う。そして関係をはっきりさせる。でもカミーユは女扱いしたら殺すマンだから、いつもの手段も使えず、むしろ殴りかかってきたりする。

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シャアが父性的なものから逃げずに、生まれ変われるポイントがあるとしたら、やっぱりカミーユに対して逃げずに父が出来るかという事になるような気がする。結果はご覧のとおりなんだけど、かといって女カミーユってクェスですからね。「そうか。クェスは私に父親を求めていたのか」ですからね。

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まあ止める人がいないので、とりとめもなく色々書きましたけど、こんなシャア・アズナブルというキャラクターがどうなのか、と言えば、最高にすばらしいキャラクターとしか言いようが無い。人類の革新ニュータイプとか出てくる話で、よくこんな人間そのものみたいなキャラクター出しましたよね。

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これも何度も書いてることですが、ニュータイプが人類の革新なんたらという話は、最初のニュータイプ三角関係で全て終わってますからね。ララァはニュータイプとしてのつながりよりシャアを優先するし、シャアは嫉妬でニュータイプ同士の邂逅をぶち壊すし、人間であるが故のドラマにしかなってない。

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ララァの死において、アムロとシャアは全く別の絶望を共有して、永遠の同志となり、同時に永遠に分かり合えないと決まった。私は最初のニュータイプ三角関係をああいうものにしたというのに感服します。新人類ニュータイプと言うものを本当に描きたいなら、最初にこんなこと普通しないと思います。

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では何かといえば、要するにドラマを描くための道具であることを優先してるんですよね。ニュータイプを描くことで、人間というどうしようもない生き物を描いている。だからこういう意味で、ガンダムはSFじゃない、という事は可能というのが私の持論です。とことん人間ドラマ重視。

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その人間ドラマの主役がシャア・アズナブル。人類進化SFに発展できるようなポテンシャルを持つテーマを、誰にでもあるようなほんのちょっとの嫉妬心で台無しにする。しかもその時点でニュータイプの可能性を最も信じていた男が。だから私はファーストでニュータイプの話は終わってると思っています。

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あ、あと役割から逃げなかったシャアという意味では、のちの『vガンダム』でクロノクル・アシャーを出してます。名前も仮面も逆のクロノクルは、真面目に女王の弟をやって、地球クリーン作戦も実行します。これを見る限り、逃げるならとことん逃げた方がマシというパターンもあると分かります。