1部 1章【芋嵐が吹く】

入江の魔人シリーズ第2弾
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えみゅう提督 @emyuteitoku

アカシもそれに応えて左手を出し、再び困惑した。どこを握ればいいんだこれ?!アカシが行き場を失った左手を震わせていると、チクマがくつくつと笑い、吹き出した。「ったハッハッハ!悪い悪い、真面目そうなもんでちょっとからかっちまった!」「ああ…そうですか」アカシは苦笑いを返す。 25

2015-11-27 20:50:24
えみゅう提督 @emyuteitoku

チクマは艤装を床に落としアカシの手を強く握った。「貴重な工作艦がいきなり着任ってことは、まともなルートじゃないよな。私もだ、仲良くやろう」見りゃわかる、という言葉をアカシは飲み込んだ。握手をする二人に向かって、江見が声をかけた。「おーい、動くよアレ」 26

2015-11-27 20:52:53
えみゅう提督 @emyuteitoku

江見が指さす先では、立ち上がったハ級が歯をガチガチと鳴らしていた。そう、立っているのだ。「おお?!後期型!最高級品じゃないですか!」アカシの驚嘆にチクマはふうと息を吐く。「その反応だと、足生えでもよかったみたいだな」「バッチおっけーです!」 27

2015-11-27 20:54:52
えみゅう提督 @emyuteitoku

アカシが喜んだのは束の間で彼女の額に冷や汗が垂れる。「でも、ちょっと新鮮すぎかなって…傷つけずに中身出したいんですが」ハ級は弾薬の尽きた主砲を空撃ちしながら威嚇を続けている。しかし、チクマは気にせずハ級を指す。「ああ中身出したいの?委細承知だ」 28

2015-11-27 20:56:58
えみゅう提督 @emyuteitoku

チクマは素手でハ級に歩み寄り、壊してしまった。それはあっという間のことで、上部に殴って穴を開け、ひびに指を刺しこみ装甲をはがしてしまった。「えっ…ゆで卵じゃないんだから…いや、ホテルの半熟卵?」アカシは上半分の装甲がなくなったハ級を前に間抜けな感想を漏らす。 29

2015-11-27 20:59:09
えみゅう提督 @emyuteitoku

「それで、アカシちゃん」チクマが動かなくなったハ級の中にある粘液に包まれた人型をつまみあげる。「これ、どうすんの?」彼女は奢ることも誇ることもなく、本当に卵を割る程度だと言わんばかりに、無傷の後期型の内部というアカシが夢にも見なかった光景を披露した。 30

2015-11-27 21:00:04
えみゅう提督 @emyuteitoku

「さあさ!開封したら早めに使い切らないとね。ハーハーハァ!」呆然とするアカシに江見が叱咤をかけた。部下の強烈なパフォーマンスに対し提督もまた平然としている。アカシは自分の腕をきつく握った。私の憧れの場所って…こんな灰汁強かったっけ? 31

2015-11-27 21:01:11
えみゅう提督 @emyuteitoku

【芋嵐が吹く】 了 続 【磯良を削る】

2015-11-27 21:01:50
えみゅう提督 @emyuteitoku

工作艦→港湾防衛施設アカシ 勝手な行動で鎮守府を一つ壊滅させた大悪党。戦艦に強い適正を持つが遠視で断念、撫肩で艤装を背負えず駆逐も断念、巡る間に得た知識で工作艦となる。後に長距離航行能力を代償に港湾基地として極めて高い殲滅力を得る。 pic.twitter.com/uciCQBuJzd

2015-11-27 21:08:27
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えみゅう提督 @emyuteitoku

仕草がいちいちかわいいやつです。なお158.5㎝と平均身長 #芋嵐が吹く

2015-11-27 21:09:46