- tarorininja
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読者諸氏はご存知だ。この男にとって、世界は自分のために用意された舞台に過ぎないことを。他者は自分を際立たせるための役者であり、その劇の観客は自分ひとりであるということを。「さあ。地図を塗り替えよう」カンザキがチャントを唱えた。 #tnjtk 22
2016-02-28 11:45:03たろ「カンザキを演じるトニー・ヤマガタの本領発揮だ。彼はもともとアクション俳優ではなく性格俳優だからね」りん「ノリノリだよね」たろ「役者にとっては、カンザキを演じるのは楽しいだろう」 #tnjtk
2016-02-28 11:45:39オオトリが牙を剥き、カンザキに躍り掛かった。その身のこなしは動物的な洗練されたしなやかさと速度を備えている。左脚に電流が奔り、鎖を伝い鉄球が帯電!「AAARGH!!」空中で左脚を振り回す!野生的なシャウトにそぐわぬ洗練されたカラテ! #tnjtk 23
2016-02-28 11:50:05帯電鉄球がカンザキの頭部をカチ割らんとす!カンザキは緩やかに一歩だけ前に前進した。鉄球はカンザキの背後を空振る。カンザキは中空のオオトリの頭を掴み、地面に叩きつけた。「ンアーッ!」オオトリが土の上を跳ねる。必要最小限のカラテ! #tnjtk 24
2016-02-28 11:55:03なっなんと!カンザキ自身も凄まじいカラテの持ち主…でもそれを使うのは本当に必要な時だけ、ここぞという時に自分自身の力を知らしめて目的達成を確実にするためなのでしょうね…冷酷… #tnjtk
2016-03-04 22:44:01バウンドしたオオトリがお池に落ち、水柱を上げた。「オオトリちゃん!」ミヤコは水没してゆくオオトリを見、たろりんやコケシマートマンを見た。既にARX-05はレールガンをコケシマートマンに、プラズマチェーンソウをたろりんに向けていた。 #tnjtk 25
2016-02-28 12:00:26手詰まりだ。ミヤコにとって、これはオーテ・ツミに他ならない。「守らなければならないものが余りにも多い。だから君は負ける」カンザキは両手を広げた。「降伏したまえ、ミヤコ先」カエルがカンザキの台詞を遮るようにケロケロと鳴いた。 #tnjtk 26
2016-02-28 12:05:04カンザキは不機嫌そうに黙り込むと、カエルを撃ち殺した。それから言い直そうとした。「降伏したまえ、ミヤ」「カエルチャンが何をしたッ!!」たろりんが叫んだ。カンザキはたろりんの胸に弾丸を撃ち込んだ。「大事なシーンだ。台詞を遮るな」 #tnjtk 27
2016-02-28 12:10:12たろりんがパクパクと口を動かし、倒れた。ミヤコが叫ぶ。ARX-05がコケシマートマンに向けたレールガンを威圧的に鳴らした。ミヤコは歯を食いしばり、止まる。「降伏したまえ、ミヤコ先生」カンザキはそう繰り返し、満足そうに微笑んだ。 #tnjtk 28
2016-02-28 12:15:07沈みゆくオオトリ。透明度の高い青く冷たい水の中に、銃声とミヤコの叫び声が聞こえた。叩きつけられた背骨の神経が麻痺して、身体が動かない。((ああ、あいつ、強いや))オオトリはぼんやりと思った。その背中を、巨大な何かの頭が受け止めた。 #tnjtk 29
2016-02-28 12:20:04「何か」はオオトリを頭に乗せ、水面へと浮上していく。((ミヤッシーだ。ミヤッシーは、本当に居たんだ))オオトリは、鱗を備えたその頭を指先で撫でた。クルル、と巨体に似合わぬ可愛らしい鳴き声が聞こえた。お池の水面に再度水柱が上がる。 #tnjtk 30
2016-02-28 12:25:06