「緊急事態条項」で安倍政権とナチスを同一視したい人たちに知ってほしいこと~現代フランスでの動向も含めて~

ナチスを引き合いに批判されることが多い「緊急事態条項」。しかしそんな単純な話ではありません。こなたまさんのツイートでワイマール共和政時代の大統領緊急令の復習を、井上武史教授のツイートでフランスの緊急事態に関する情報をまとめました。
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こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

どこから突っ込めばいいのか twitter.com/reservologic/s…

2016-01-10 08:26:12
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

最初、米国はナチのドイツに投資していたためドイツとの戦争を望まず中立を保った。ドイツはソ連牽制のために日本と日独同盟を結んでいた。真珠湾攻撃で米国民は日本となら戦争する気になった。ドイツは集団的自衛権を行使して米国に宣戦布告した。世界大戦が始まった。集団的自衛権とはそういうもの。

2016-01-09 21:55:09
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

安倍叩ければいいってもんじゃない。

2016-01-10 08:26:33
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

ヒトラーはこういった、ああいったっていうのを使うなら、ヒトラーは「国民よ、我々に四年を与えよ、しかるのち我々を審判せよ」とも言ってるのね。引用するだけなら民主党disにだって使えちゃう。

2016-01-10 08:43:36
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

ノストラダムスの大予言みたいなもんですよ。「ヒトラーはこう言った」というのを引用だけして、攻撃したい対象を引き合いに出して同じ扱いするの。でもノストラダムスと同じく引用者の恣意的な解釈、選択がつねにある。相当、当時の事を分かってる人でなきゃ取り合うべきでない。総統だけに

2016-01-10 08:46:05
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

今の日本で議論されている「集団的自衛権」を、ヒトラーが第二次世界大戦を起こした歴史的な文脈や史観に結びつけて非難するのはムリがある。さっきみたいに「聞いてる人が無知だと思って作り話する」くらいしか手がない。

2016-01-10 08:59:42
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

第二次世界大戦が始まったのはドイツがポーランドに侵攻したのに対し、英仏がポーランドに安全保障条約と結んでいた関係でドイツに宣戦布告したのが直接の要因である。あと独ソ不可侵条約どこいった。

2016-01-10 08:28:26
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

まず、ヒトラーの「全権委任法」の恐ろしさっていうのを矮小化してます。「内閣が法律を国会での議決によらずに制定できる」という点と、安倍首相の方針とそれからワイマールの大統領緊急令をごたまぜにして、なんとなく危機感を演出してる。よくないよこういうの。

2016-01-10 09:05:03
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

全権委任法のコワさというのは、「国会の議決によらずに政府が法律を制定できる」……だけじゃなくて、「その法律は憲法に背反することが許される」という条文もあったことも重要なのよさ

2016-01-10 09:06:23
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

これもつっこまないとダメかなぁ twitter.com/reservologic/s…

2016-01-10 09:02:45
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

「ヒトラーはまもなく一つの法案を提出した。『全権委任法』。内閣があらゆる法律を国会の採決なしに制定できる法案である」(NHK「新映像の世紀第3集」)ヒトラーにこれが可能になったのはワイマール憲法の48条が「緊急条項」を含んでいたから。安倍政権が改憲して9条に入れようとしてる条項。

2016-01-09 19:50:02
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

ヒトラーやムッソリーニの言葉っていうのは、当時のドイツやイタリアの国内政治、また世界情勢の「流れ」や「文脈」があってこそなのね。

2016-01-10 08:32:19
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

現在、自民党が主張している改憲案の「緊急事態の宣言」は、条文を読めば国会での事後承認が必須とされているし、それを先延ばしにしてはならないとも明記されているし、憲法に背反する命令も可能だとも書いてない。こういうことを伏せて軽々しく全権委任法を引き合いに出してはいけない。

2016-01-10 09:09:42

自民党憲法改正草案

第九十九条
緊急事態の宣言が発せられたときは、
法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の
効力を有する政令を制定することができるほか、
内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、
地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。


前項の政令の制定及び処分については、
法律の定めるところにより、
事後に国会の承認を得なければならない。


緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の
定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の
生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発
せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、
第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、
最大限に尊重されなければならない。


緊急事態の宣言が発せられた場合においては、
法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、
衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及び
その選挙期日の特例を設けることができる。

自民党憲法改正草案 https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf

ドイツ国1919年憲法

第48条 ドイツ国内において、公共の安全および秩序に著しい障害が生じ、またはそのおそれがあるときは、ライヒ大統領は、公共の安全および秩序を回復させるために必要な措置をとることができ、必要な場合には、武装兵力を用いて介入することができる。。この目的のために、ライヒ大統領は一時的に第114条(人身の自由)、第115条(住居の不可侵)、第117条(信書・郵便・電信電話の秘密)、第118条(意見表明の自由)、第123条(集会の権利)、第124条(結社の権利)、および第153条(所有権の保障)に定められている基本権の全部または一部を停止することができる。

世界史の窓 http://www.y-history.net/appendix/wh1502-078.html

民族および国家の危機を除くための法律(全権委任法)

前文:国会(ライヒスターク)は以下の法律を議決し憲法変更的立法の必要の満たされたのを確認した後、第二院の同意を得てここにこれを公布す

第1条 ドイツ国の法律は、憲法に規定されている手続き以外に、ドイツ政府によっても制定されうる。本条は、憲法85条第2項および第87条に対しても適用される。
第2条 ドイツ政府によって制定された法律は、国会および第二院の制度そのものにかかわるものでない限り、憲法に違反することができる。ただし、大統領の権限はなんら変わることはない。
第3条 ドイツ政府によって定められた法律は、首相によって作成され、官報を通じて公布される。特殊な規定がない限り、公布の翌日からその効力を有する。憲法68条から第77条は、政府によって制定された法律の適用を受けない。
第4条 ドイツ国と外国との条約も、本法の有効期間においては、立法に関わる諸機関の合意を必要としない。政府はこうした条約の履行に必要な法律を発布する。
第5条 本法は公布の日を以て発効する。本法は1937年4月1日と現政府が他の政府に交代した場合、いずれか早い方の日に失効する。

Wikipedia「全権委任法」 https://ja.wikipedia.org/wiki/全権委任法

補足・ドイツ連邦共和国基本法

第35条(3) 自然災害または災厄事故が一のラントを越える領域に危険を及ぼすときは、連邦政府は、これに有効に対処するのに必要な限度において、ラント政府に対し、他の乱とのために警察力を使用させるべきことを指図することができ、また警察力を支援するために、連邦国境警備隊および軍隊の部隊を出動させることができる。第1文による連邦政府の措置は、連邦参議院の要求があるときはいつでも、[また]その他の場合には危険が除去されたのち遅滞なく、中止するものとする。

第80a条(1) この基本法、または民間人の保護を含む防衛に関する連邦法律において、本条の基準に従ってのみ法規定を適用することが許される旨が規定されているときには、その適用は、連邦議会が緊迫状態の発生を確定した場合、または、連邦議会が特別にその適用に同意した場合にのみ、許される。緊迫状態の確定、ならびに第12a条第5項第1文および第6項第2分の場合における特別の同意には、投票数の3分の2の多数を必要とする。
(2) 第1項における法規定に基づく措置は、連邦議会の要求があるときは、廃止するものとする。
(3)省略

新解説世界憲法集 第2版 176P、189P

こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

なぜワイマール憲法48条の「大統領緊急令」と比較せず「全権委任法」を引き合いに出すのか、といえばそれはもうヒトラーという悪のコンテンツを利用したいがためではないのか。それがいかんというておる。

2016-01-10 09:11:28
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

むしろ、自民党案の「緊急事態の宣言」とワイマールを比較するなら、そのワイマール憲法48条の「大統領緊急令」とであろう。

2016-01-10 09:10:32
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

ワイマール憲法が制定される前後の事情というのは、ドイツ革命の混乱とその余波で、ドイツのあっちこっちでスパルタクス団をはじめとする武力反乱が頻発していまして

2016-01-10 09:13:10
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

自民党案の「緊急事態条項」と、ワイマール憲法の「大統領緊急令」の比較ならばある程度の意味は見出せる。が、1933年からの「乗っ取り」の過程でのナチ政権の言論弾圧や思想統制と自民党案の比較ならば、「ナチス」という悪のコンテンツを利用したレッテル貼りである可能性が高まる

2016-03-18 22:48:13
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

それを抑えるために、ドイツ社会民主党のフリードリヒ・エーベルト大統領が旧ドイツ帝国軍を母体とした「義勇軍(フライコーア)」を組織し、皆殺しまがいの鎮圧をバババとやってまして。そうでもしないと収まらないほどの混乱が当時のドイツにはあった

2016-01-10 09:14:09
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

この「義勇軍(フライコーア)」がナチスの源流の一つとなったことは否めないが、とにかくそういう文脈があったので「国内で反乱が起きたら速やかに強力な権限をもって対抗しなければならない」ということでワイマール憲法48条に「大統領緊急令」が定められた

2016-01-10 09:15:54
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

この大統領緊急令は強力な権限で、これに対する安全装置は「国会の議決によりそれを無効にできる」とされているくらいしかなかった。でも用途は治安維持の緊急措置である、という共通認識があったし、何より運用者がエーベルトだったので危険は顕在化しなかった

2016-01-10 09:17:55
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

さて、エーベルトが死に、そのあとをガッチガチの右派のヒンデンブルクが継ぐと、なんとかして国内からアカを一掃させてあわよくばドイツ帝国を復活させたいヒンデンブルクと、右派と左派がせめぎあうドイツ国会の対立が顕著になった

2016-01-10 09:19:40
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

また当時のドイツは選挙制度の不備で、小政党が乱立して右派左派ともに連合しても国会議席の過半数を占められず、本当に文字通り「何も決められない」という状況もあった。これがヒトラーとドイツ人の議会制民主主義では何も決まらん、という印象につながる

2016-01-10 09:24:54
こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo

で、ヒンデンブルク大統領とその側近たちは、半ば忘れられていたワイマール憲法48条の「大統領緊急令」を使えば、あのクソうるさい議会を無視して事実上の法律を作って発布できるのでは? と気づいてしまった

2016-01-10 09:31:05
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