【第5話】魔法少女れいるたん【ゲルに満ちた世界の果てで】
「偶然拾った風邪薬はよく喋る風邪薬だった。唐突な展開とわけのわからんバトルに巻き込まれ気がつけば魔法少女になっていた。この先どうなるかなんて知らない。……魔法少女れいるたん、はじまります」(以下OP曲)
2011-02-04 19:03:44RT @koudakei: 「偶然拾った風邪薬はよく喋る風邪薬だった。唐突な展開とわけのわからんバトルに巻き込まれ気がつけば魔法少女になっていた。この先どうなるかなんて知らない。……魔法少女れいるたん、はじまります」(以下OP曲)
2011-02-04 19:04:22丸い月が闇を減らしている下を、持田餅子はゆっくりと歩いていた。微かに顔をあげ、月を眺めながら。餅子が思い出すのは自分の国のことだった。彼女の国にも綺麗な月があった。今はもうない、滅ぼされたお餅の国にも。
2011-02-04 19:07:05平和な国だった。年に一度、年越し前後が大騒ぎになる以外はいたって平穏に毎日が過ぎる平和すぎるほど平和な国だった。それを踏みにじり、破滅させた者がいる。国を滅ぼし、守護聖獣までも奪って行った――「アレはこの町にいる」月を見る餅子の双眸には復讐の炎が昏く燃えていた。
2011-02-04 19:11:40月夜の晩。「丑三つ時ってヤツですかねえ」風邪薬はひとり呟き、月下を“歩いて”いた。れいるは寝ている。日頃の疲れがたたっているせいか、最近は夜更かしもせずにすぐに眠りに落ちている。「ちょっと錠剤使いすぎですよね」確認するまでもなく、風邪薬は自分に残された錠剤の残数を把握している。
2011-02-04 19:16:06魔力の供給源たる錠剤はこの人の世では精製できない。手持ちがなくなれば薬の国に帰らなければならなくなってしまう。しかし、それでは見失ってしまう。「これも策略の内、なんですかねえ……」困りました、と吐息してとぼとぼと歩く風邪薬は、暗い夜道の曲がり角でばったりと餅子に出くわした。
2011-02-04 19:18:16「あら、もちこーぅさんじゃないですか」「風邪薬。ひとりなのね」「そちらはいつも“霊神”と一緒ですね」「……」微妙な沈黙の後、餅子はだしぬけにこう言った。「「私はアレを殺す」率直な殺意だった。負の感情の混淆した視線に晒されながらしかし、風邪薬はいつもの態度を崩さない。
2011-02-04 19:21:42「まあ、罰は受けなければならないとは思いますが、罪を憎んで人を憎まずと言いますし」「目には目を、よ。報いを受けさせる。必ず」「もちこーぅさん、キャラ変わってますよ」「誤魔化さないで」「……困りましたねえ。見解の相違ってヤツじゃないですかコレ」睨み合う。
2011-02-04 19:23:47「お互い捕らえるところまでは一致しているのだから、そこまでは共闘ということで」風邪薬の示す妥協案に餅子は薄く笑った。「その後の処遇は実力勝負、ということね」「そんなヨユーがあればいいですけどねー。あ、お互いに、ですよ」「じゃあ」「今度は戦場で」
2011-02-04 19:26:53「なんじゃこりゃあ」朝、目を覚ましたれいるはまず自分の目を疑った。一瞬、夢かとも思ったが現実だった。つねった方が痛い。二階の窓から見渡す限り一面、否、世界が変容していた。
2011-02-04 19:31:10