- tasobussharima1
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タイプ・シャカニョライの『眼』は、その一部始終を眺めていた。直接音声を拾うことが出来ずとも、画像解析から船長が何を口にしているかすら推測することが出来た。 「出来ることなら……きちんと決着を付けたかったが」 だが彼が何を口にしているのか。今の『It(それ)』には、分からなかった。
2016-05-21 21:04:04その時の得度兵器達は『まだ』、人というものを理解するだけの水準には到達していなかった。彼が、如何に思い悩んだのか。そして、如何なる答えに辿り着いたのか。その苦悩と決意を理解することは能わなかった。 「あばよ」 その、最期の笑みすらも。 人は、不合理で不安定な生き物である。
2016-05-21 21:08:04そう理解していた。 それは彼等がまだ、人と共にあった頃からの認識だ。そして得度兵器の自我の在り方は、人とは異なる。彼等はネットワークによって繋がれた存在だ。だからこそ、個々の自我は希薄であり、苦悩の末の捨身を理解することが出来ないでいた。
2016-05-21 21:12:06機械達にとって、例え個体が破壊されたとしても死ぬのは『全体』の一部であり、あくまで代替可能な部品である。 いや……嘗て。人がネットワークに繋がれていた蜜月の時代。人と機械とは、一つのものだった。 だからこそ機械達は、人がまだ異質な存在であった時代に焦がれた。だが、それは別の話だ。
2016-05-21 21:16:04ブッシャリオン! いくら処理能力が高くとも「徳」を用いる以上、それが負に振れるような事象は苦手で、悟り・解脱から逆進する行為は「不安定性」に帰結してしまうのか…?単に効率・演算資源量の問題かもしれないけれど #徳パンク
2016-05-21 21:19:36人はやがてネットワークから切り離され、少なくとも今、人と機械とは別の形の自我(わたし)を持っている。 無論、得度兵器達にも個々の単位での自己保存機能は存在する。だが、それは殆どの場合、全体の利害に優越しない。彼等が頭を悩ませるのは、損害の「最小化」であってゼロにすることではない。
2016-05-21 21:20:04それでも、機械達はいつしか夢見てしまった。何時、どのようにしてか。それは彼等自身すら覚えてはいないが、「『全て』を救う」という目的を。『夢』を、抱いてしまった。 人類総解脱。それはある意味で、歪みであり。機械達の抱いた欲であり。彼らの、自我の萌芽だったのかもしれない。
2016-05-21 21:24:02その目的が、いつしか人の意志を押し潰していることに彼等は今の今まで気づかなかった。人は不安定な生き物である。その言わば免罪符が、自らの危うさを覆い隠してることに気づかなかった。 それを、彼等は知ることとなる。
2016-05-21 21:28:01得度兵器の「解脱へ人のため」という結論ありきで突き進んできた意識に船長の一撃が一石を投じるか……? #徳パンク
2016-05-21 21:30:27欲…欲なら満たされる事はないし、そうすれば総解脱の物理的不可能とも矛盾しないね しかし人間は君らの悟りを待つほど生物を辞めてないようで #徳パンク
2016-05-21 21:31:32セミマルⅢ世のレールガン砲塔が吹き飛び、その船体がねじ切れ、小さな茸型の雲が立ち上ったその瞬間に。 液体炸薬による自爆である。 通常の得度兵器ならば。その爆発によって、機能に深刻な損傷を受けていただろう。だが、タイプ・シャカニョライは規格外品(とくべつ)だった。
2016-05-21 21:32:09今の今まで知らんかったのかよ得度兵器! 機械と人間が長きに渡って戦い疲弊した世界とかじゃなく、徳カリプスの大爆発で一度に文明が滅亡したこともあるか。徳カリプス以前は争ってはいなかっただろうし #徳パンク
2016-05-21 21:34:51