- tasobussharima1
- 1099
- 2
- 0
- 0
徳エネルギーの防御転用。『奇跡』の域に、半ば足を踏み入れた技術。そして、自身の堅固な装甲が致命的損傷を阻んだ。タイプ・シャカニョライは機能を続けていた。 しかし、空間に充満した徳エネルギーを防御に転用したことで、徳エネルギーフィールドの力場が歪み、僅かな捻れ(キンク)が生まれた。
2016-05-21 21:36:03タイプ・シャカニョライのセンサ群は、間もなく事態を把握した。 だが、何故それが起きたのか分からなかった。他ならぬ己の観測結果が、それを指示した者が、少なくとも錯乱状態には無かったことを物語っていた。 解脱を望まぬ人類、救いを拒絶する者達は、今までにも多く存在した。
2016-05-21 21:40:06アバヨ!タイプ・シャカニョライ! 貴様の敗因は良すぎる目で理解不能な光景を終始観測できた事だ! #何たるバチアタリ #徳パンク
2016-05-21 21:43:22上空の巨大な手の輪郭が、揺らぐ。 人とは、偶に……いや、頻繁に不合理な行動をするものである。 だが、明確な判断の下で。他者を巻き添えにすることを厭わず、得度兵器達を攻撃した『人間』は、そう多くは居なかった。 一度なら、例外(エラー)として処理されただろう。
2016-05-21 21:44:45しかし、それは、一度では無かった。 彼等に、命を賭して抗う者達は、一人ではなかった。 タイプ・シャカニョライはネットワークの中枢(ハブ)だ。それは、他の得度兵器が蓄積した情報への距離が近いことを意味する。だからこそ、他の例外(エラー)の存在を認識出来てしまった。
2016-05-21 21:48:43絶対の目的に、蟻の一穴が穿たれた。自明の筈の回答は、自己犠牲によって揺らいでいく。 嘗て、ネットワークから切り離されたタイプ・ミロクMk-Ⅱが陥ったのと同種の矛盾。それが、より大きなスケールで発生したのだ。 だが、それでも。それは小さな『波』に過ぎない。
2016-05-21 21:52:10小さな波は、直ぐにかき消される。タイプ・シャカニョライがそれでフリーズしてしまう、などということは起こりえない。例外は、あくまで例外だ。行動原理が歪むことなど、ありはしない。 それでも。波は、僅かに広大な砂浜を抉った。
2016-05-21 21:57:25大規模な徳エネルギーフィールドの制御は、得度兵器と言えど容易ではない『実験』だ。 その制御に、僅かな綻びが生じた。 そして、防御転用によって生じた、徳エネルギーフィールドの小さな捻れ。通常ならば直ぐに解かれるであろうそれへの対処が、微かに遅れた。
2016-05-21 22:00:13それでも、ささやかな抵抗が無意味ではないということだ。得度兵器は合理的であるがゆえに、繰り返される例外を無意味と切り捨てたりはしない、か #徳パンク
2016-05-21 22:00:35これは、捨象された素描に過ぎない。その結果に至るまでには、幾つもの因果が複雑に絡み合っている。 それでも。結果として、タイプ・シャカニョライは徳エネルギーフィールドを維持しきれなくなり、その制御を放棄した。後に残されたのは、空間に充満した、解脱臨界寸前の膨大な徳エネルギー。
2016-05-21 22:08:23