空想の街・氷涼祭'16 一日日 #赤風車
@nowhere_7 「…………すみませんでした。僕は東海林 波留、湯屋の主人をしてます……」それから。恥ずかしさにいっそ殺して欲しいと思いながら波留は発見され、細面のお客様に一通り施設の説明をして、二人が上がる頃には番頭台横で頭を抱えていた。#空想の街 #赤風車 #浜の錦湯
2016-07-02 00:21:50@nowhere_7 「はっはぁ、東海林の旦那も可愛いとこあんだなぁ!」それを抱えて拳骨でグリグリと後から来た男がからかう。 #空想の街 #赤風車 #浜の錦湯 「あー…腹痛ぇいいもん見せてもらった!な、あんた外から来たもんだろぅ?俺ぁ鷲尾犬太郎つぅんだ、見かけたら遊んでくれよ」
2016-07-02 00:26:30「鷲尾殿、に湯屋の旦那の波留殿ね」復唱して、すっかり項垂れている湯屋の主人を一文字は見遣る。全くあんな場所へ隠れていてよくのぼせなかったものだ。 「――波留殿、会計を頼むよ。それから甘い牛乳でも頂けるかね」 @gp_c_ #浜の錦湯 #赤風車 #空想の街
2016-07-02 00:29:38@nowhere_7 「申し訳ないんでサービスさせて下さい……」という波留の申し出のままに(何故か鷲尾も含めた)三人は冷蔵庫を覗き込む #空想の街 #赤風車 #浜の錦湯 「俺ァ2本目だし珈琲」「フルーツにします、お客さんも。他は普通のとヨーグルトと、ここにあるのは全部甘いですよ」
2016-07-02 00:36:34詫びとして貰えるらしい。お言葉に甘えることに決め、一文字は冷蔵庫から茶色のものを取った。鷲尾という男のものと同じだ。「俺もこれを頂こう。――まあ、湯屋の旦那、いい銭湯だった。番台のご婦人にも宜しく言ってくれ」又来る、と手を振る。 @gp_c_ #浜の錦湯 #赤風車 #空想の街
2016-07-02 00:39:18@nowhere_7 「応、じゃ俺も行くわ。瓶はまた持ってくらぁ。うしおちゃーんまたなぁー」「来るのは一日一回でいいですよー」 #空想の街 #赤風車 #浜の錦湯 …鷲尾は先に立って行った青年の後を少し追って、その背中に声をかけた。「な、お前さんに聞きたい事があるんだがいいか?」→
2016-07-02 00:43:45灯りほのか
@nowhere_7 「ほかの街から来た奴に聞いて回ってんだが……この街、『優しい』か?」 #空想の街 #赤風車 #巣烏記 「……あ、後今夜泊めてくれそうな所ってねぇ?むしろこっちが本題だな俺にゃ」
2016-07-02 00:47:12瓶の返却は祭りの後になりそうだな、と一文字が飲みながら歩けば、後ろから追いついてきた男に声をかけられる。――懐かしい話題だ。 「…優しいとも。その基準がお主に当て嵌まればね」そしてつっと長い指で道の先を指す。→ @gp_c_ #浜の錦湯 #赤風車 #空想の街
2016-07-02 00:50:09「宿ならばな、南区に孔雀荘という大きな宿がある。もうひとつ、死人専用の宿も出ているらしいが――」お主は違うね、と結ぶ。 「またどこかで会うこともあろう。ではな」 @gp_c_ #浜の錦湯 #赤風車 #空想の街
2016-07-02 00:52:09@nowhere_7 「お、ありがてぇな!助かったわ……そう言ってくれんなら、もうちっと気張ってみらぁね。おう、これにて御免よゥ」 #空想の街 #赤風車 #巣烏記
2016-07-02 00:55:00ほろにがく更ける夜
ふらりと立ち寄った銭湯で奇妙なことに巻き込まれた気がする。一文字は夜風にうなじを晒して急ぎ曳舟荘へと歩みを進めた。 明日はどうなるだろう。客足よりも戻ってくるもののほうが気になり、矢張り足は遅くなりがちだ。 どうあれ、自分は仕事をするしかないが―― #赤風車 #空想の街
2016-07-02 00:58:10夕方、徒華に会ったときには醜態をさらしてしまったのだ。半分はそうであれと考えてやったことだったが――、もうあれとは金輪際関係がないこととして捨ておくしかない、弁当のこともだ。 街の中、一文字の無音である筈の下駄が僅か鳴り響いて、氷涼祭一日目の夜は更けゆく。 #赤風車 #空想の街
2016-07-02 01:02:23一日目・終