空想の街・ハンツピィの宴2015　2日目

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

小説家には色々といる。客観的なカメラマンのように書くものもいれば、登場人物になりきって書くものもいる。作家はどちらかと言うと後者だった。物語に自分の魂を織り交ぜて、つくりあげる。それが作家のやり方だった。ところが三年前から、作家は一作も書けていない。＃空想の街　＃作家と女房

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

作家はじろりと宙を睨んだ。 「いるんだろう？　語り部」 何もない空間からぐるりと一回転して、男が現れる。 前の開いた背広にネクタイ、作家よりもずっと立派な身なりをしているが、どうにも道化の印象がぬぐえない。 「どうしたんだい？」 語り部は笑った。 #作家と女房　#空想の街

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どうしてこの男は、いちいち動作がうさんくさくて、くしゃみが出そうなほどに演技の匂いがするのだろう。そして時々作家の頭に直接言葉を語りかけて思考の邪魔をするので、作家は苦慮していた。 「お前。昨日、見ていただろう」 「何がだい」 「私たちの寝る前の会話をだ」#作家と女房　＃空想の街

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

「ちゅーしてたね。結構長く」 作家はむっとして、語り部を睨んだ。 「そうではない」 「そうではない？」 「あの時。お前は花月の心の奥を見ていただろう」 「なんでそう思うんだ」 「私が目を開けたとき、花月が泣いて怯えていたんだ」 本人は自覚はないだろうがな。#作家と女房　＃空想の街

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

「花月が夢で泣くときはあのことだけだ。私たちが離れた、あの国の」 作家は一息ついた。 「お前は私と花月を見ることを定められた観測者で傍観者だ。あの時も、花月の自覚もないほどの心の奥までお前は観測していたのだろう」 作家にしか見えない語り部はにやりとした。#作家と女房　＃空想の街

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

「見ていたよ。まぁ、あんたの予測通りさ。だけどなぁ、あんたやっぱり、奥さんの心の底の願い分かっていないんだな」 作家は黙り込む。 「あー拗ねるなよ。不惑超えて格好悪い……」 「勝手なことを言うな。私は拗ねていない」 「はぁ、そういうことにしとくよ」#作家と女房　＃空想の街

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

「俺はあんたら二人の物語に関しての観測は絶対に正しい。だから無理なんてしなくていいんだぞ。ある意味俺はあんたの可愛い奥さんよりはずっと気安い、友達なんだから」 作家はそうかと短く呟き、語り部を無視して宿へと戻った。 語り部はそれを見ながら、息を抜く。 #作家と女房　＃空想の街

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

「素直じゃないねぇ。作家先生は」 語り部は人間ではない。かといって黄昏時に現れる化け物でもない。何者でもない、孤独な何か。三年前、作家の魂がヒトはないものに好かれたときから、ずっと観測している。彼は初めてであった話せる者だった。 彼は嗤う。 #作家と女房　＃空想の街

萌葱［moegi］ @hmoegi

外へ出ると、空はもう青くなっていた。このところ朝焼けを眺めることが多かったせいか、得したような、損したような、なんとも言えない気分になる。ただ目覚めは随分と良かった。今朝は行ってみたい場所がある。#色売り #空想の街

萌葱［moegi］ @hmoegi

道順は足が記憶していた。最後の角を曲がると、#さるカフェ が見えてくる。まだ時間が早いせいか店内に人影はなかったが、ふわり、と珈琲が香っていた。『月夜の漆黒』の深煎り珈琲に手を伸ばしながら、店主と自分の仕事は似ている——と思う。#空想の街 #色売り カップに月夜の名残が沈む。

萌葱［moegi］ @hmoegi

窓の外は明るい朝で、けれど珈琲の香る店内には夜の気配が漂っている。夜を引き戻してしまったことに詫びを入れながら、#朝空色（あさぞらいろ）の小瓶をひとつ。帽子を小さく傾けて、静かな店に挨拶をする。またいずれ。#空想の街 #色売り 店に朝が満ちる。@sarukotonagara

さることながら@さるカフェ @sarukotonagara

急いで店に駆け込んで、かすかに漂う夜の気配に、コルク箱の横の瓶の脇をすり抜け、そのまま外へ飛び出した。@hmoegi ごめんなさい！！#空想の街 朝の街に響く声。#さるカフェ 届いただろうか。

萌葱［moegi］ @hmoegi

朝の空気に染まりながら、呼ばれた気がしてふと振り向く。誰も居ないことは解っていたが、それが誰であるかも解っていた。ひっそりと、苦笑い。お気になさらず。お楽しみは後に取っておくもの。或いは旅行の計画のようなもの。@sarukotonagara #空想の街 #色売り #さるカフェ

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

「いやー結構扱い雑なのに、それでも嬉しいなんて。俺って精神的なマゾヒスト？　それとも一途なのかね」 よく分からないなぁと彼は喉の奥をならした。#作家と女房　#空想の街

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

作家とて馬鹿ではない。女房が一番心の底で思っていることなど最初から悟っている。彼女ははじめに惚れたのは自分ではない。自分の書いた作品なのだ。その己が小説を書かなくなったとしたら、花月はとてつもなく心配するだろう。同時に読みたいと願っているだろう。#作家と女房　＃空想の街

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

なのに、自分は小説を書けない。腹立たしさは自分に募った。 文字を綴れば小説をかけるわけではない。自分の魂を入れ込めないと少なくとも自分は小説を書けない。けれど書けど書けども、人物には魂が宿らない。分かっている、私は今、何を書くべきなのかを見失っている。＃空想の街　＃作家と女房

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

あの時代の唯一の良いところと言えば、けして自分の物語の息を絶やさないという強い炎が燃え上がり、それは物語に確実に反映していた。けれども弾圧の後、炎はどこかに消えてしまった。強い動機を持つ必要がなくなったことが逆に潮引くように私から何かを奪ってしまった。＃作家と女房　#空想の街

佐和島ゆら@星月堂へようこそ（新作）販売中 @sawajimayura227

この悩みを言えば妻は余計に気をもみ、動転していくのだろう。妻には言えぬ、言ってはならない。 作家は苦悶する。そして情けなく呟いた。 「今の私は、何を書くべきなのか？　いや、書きたいのか」 それに誰も答えない。道化のような語り部も口を挟まなかった。＃作家と女房　＃空想の街

柚子小町＠イベント参加したい @yuzu_knit

朝、パンの入った籠からドライフルーツたっぷりのパンを取り出し、食べたい分だけを切り出す。キアロの作るパンは甘さ控えめだからバターが良く合う。今夜はハンツピィの宴だ。早めにポムの星を貰いに行かないと宴に合う洋服に時間がかかる。優柔不断なのだ。 #空想の街 #メェメェ雑貨屋

黎沓 @Re_TnoiSa

「今日も寒いなぁ」飴売りは眠気を覚ます為にわざと冷たい空気を身体中に感じさせた。「まぁ、私は火を使うから平気なのだけれどね」ベースとなる飴を融かしながら呟く。 #空想の街 #飴売 どろりと流動性を帯びた琥珀のそれは、甘い匂いを通り過ぎてゆく風に乗せていった。

空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

おはようございます。すこーんと晴れましたね。今日はこのまま晴れ模様。今夜のハンツピィの宴に合わせ、料理コンテストも開催します。あたたかい格好でおいでくださいね。それでは、いってらっしゃい。(情報窓口　佐々木類) #空想の街

春木のん @Haruki_Non

《#なごみ茶屋 ・お品書き》 ■飲み物（冷温） ・煎茶　５クルーク ・番茶　５クルーク ・抹茶　８クルーク ・抹茶ミルク　10クルーク ●秋冬期限定（温） ・甘酒　５クルーク 【玉露等、各種茶葉あります。贈答用にも】 #空想の街

すなお＠創作 @rullino_s

朝起きたら背中の甲羅は消えていた。宴の日に相応しい晴れ空を見上げて伸びをする。昨夜はなんだかんだ遅くまでBAR330に居座ってしまったが、幸い酒は残っていなかった。さて商売商売。昼は早めに食べて宴に顔出して食事したいなあ、と思案しつつリアカーを引いて歩き出す。 #空想の街 #街商

空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

さて、今日は14時から料理コンテストが行われます。開催は中央区役所前の時計塔広場。優勝作品はその後の17時からのハンツピィの宴にて皆さんにふるまわれます。15時には実食と投票も予定。腕に覚えのある方もない方も、ぜひふるってご参加くださいませ。（堂坂みかこ）　#空想の街

空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

なお、コンテストは時計塔広場に設置したキッチンを使用して行われます。見学大歓迎！投票の際に実食も行われますので、つまみ食いはそれまで、ちょっぴり我慢でおねがいしますね。作るのが苦手な方も、投票なら参加できるかも！（堂坂みかこ）　#空想の街